表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチングアプリで最強パーティを作った結果!!!  作者: MMM
帝都クライペダ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

583/612

花束の祈り、白と薄紫の願い-2

 その時、背後からリリスの声が飛ぶ。

「へえー」

 振り返ると、リリスがいかにも面白そうな顔をしてこちらを見ていた。目が笑っている。完全に“何か見つけた”という顔だ。

「レオン、そういうのもらうんだ」

「茶化すな」

「茶化してないよ? へえーって思っただけ」

「絶対茶化してるだろ」

「でも似合うじゃん。真面目に」

 その言い方は軽いのに、どこか本気の温度が混じっている。リリス特有の、相手の肩の力を抜かせる柔らかい軽口だった。


 レオンが返答に困っていると、エルザまでこちらを見ていた。真面目な顔で、しかしどこか少しだけ優しい目で。

「大事に持て」

「お前まで」

「無事を祈られているんだ。それを雑に扱うな」

 その言葉は、エルザらしい不器用な優しさだった。彼女の声はいつも通り落ち着いているのに、その奥には、“その願いを裏切るなよ”という静かな想いが宿っていた。


 朝の風が吹く。レオンの手の中の花束が、白と薄紫の花弁をふわりと揺らす。

 リリスの軽やかな笑いと、エルザの真っ直ぐな言葉。その二つに挟まれたレオンの胸に、小さな花束の重みが、ゆっくりと深く沈んでいく。

 それは剣の重さとは違う。戦場の責務とも違う。もっと柔らかく、もっと静かで、けれど確かに心を動かす重みだった。


 セシリアがくすりと笑う。その笑いは朝の風に近かった。冷たい空気の中に、ほんの少しだけ柔らかな温度を混ぜるような笑い。

「素敵だと思うわ」

 その一言は、花束の白と同じくらい静かで、けれど確かにレオンの胸に触れる優しさを帯びていた。


 カインは何も言わなかったが、花束とレオンの顔を一度ずつ見て、ほんのわずかに目を細めた。それが何を意味するのかは分からない。だが、少なくとも否定的な色ではなかった。むしろ、“それは良いものだ”と静かに肯定しているようにも見えた。


 ロアンが肩をすくめる。

「人気あるなあ」

「お前にだけは言われたくない」

「ひどいな。事実確認しただけなのに」

 そのやり取りに、小さな笑いが起きる。

 別れの朝の、ほんの小さな笑い。だが、その小ささが、この場ではやけに温かかった。

 喧騒の中で生まれた、ひとつの花束を中心にした小さな輪。そこには、戦場へ向かう者たちの緊張も、別れの寂しさも、未来への不安も、すべてを一瞬だけ忘れさせる柔らかな光があった。

 レオンの手の中で揺れる白と薄紫の花弁は、まるでその笑いに応えるようにふわりと震えた。その震えは、“無事で帰れ”という願いと、“必ず帰る”という決意をそっと結びつける合図のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ