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 聖女召喚を無くすこと。

 恩赦を受け入れる条件として国王陛下に伝えて欲しいと言った私に、アーク兄様は首を傾げた。


「そんな事で良いのか?こう言ってはなんだが、次の聖女が召喚されるのは何十年も先だ。リアには直接関係ない事を条件にするよりも、例えば、レグルス王子達に今後一切近寄らせないこととか、そういった事にした方が良くないか?」

「私だってレグルス王子達とはもう関わりたくないよ。でもあの3人くらい、アーク、が撃退してくれるでしょ?」


 それよりも私は、この国の歪んだシステムを壊したい。1人の少女に犠牲を強いるような非道をせずとも、魔は少しずつ、皆で浄化していけば対処出来るんじゃないだろうか。イザール兄様が創ってくれた浄化魔導具が超高性能みたいだし、改良を重ねていけば完全自動浄化システムとか構築出来ないかな。


 もちろん今すぐには無理だろうし、どうしようもなくて聖女が必要になる事もあるかもしれない。その場合でも、聖女となる人には詳しく事情を説明し、承諾を得るようにして欲しい。最低でも命を保証してあげて欲しい。聖女が死ななくても何とかなると、私とミモザちゃんが身をもって証明したのだ。是非とも今後に活かしてほしい。


「聖女召喚を止める方向で国が動いてくれるなら、私は一生神殿に籠もっていても良いから」

「リア」

「その話も出たんでしょ?」


 私の右眼は色が変わり、黒くなっていた。長期間大量の魔を身体に留めているせいで、魔力が変化したのだろうとイザール兄様が言っていた。左目は白金色のままで光魔法も使えるので、私は光と闇の二属性持ちになったのではないかと目されている。

 歴史上数える程しかいない闇属性持ちの一人は、魔王となってからの元聖女だ。私が危険視されるのも道理だ。王家としては、何処かに閉じ込めて監視をつけたいところだろう。


「これ以上リアが犠牲になることはない」


 兄様の声は苦しげだが、私はそんな風には考えていない。


「あら、私としては大歓迎なんだけど。面倒くさい社交をしなくて済むし、親戚縁者が多いから居心地良いし、この部屋だって快適だから引っ越したくないし。それに多少のお忍びなら、イザール兄様が協力してくれるんじゃない?」

「それは、そうだが」

「それに此処なら、イチャイチャし放題だよ」


 アーク兄様の目の色が変わる。余計なことを言ってしまった気もするが、まぁ、良い。神殿の皆様は、この8年で兄様の狂愛ぶりに慣れている。ミモザちゃんによれば、父様の手によるアーク兄様の取扱注意事項なる物が、神殿内で回覧されているのだとか。


「リアとこのまま死ぬまでイチャイチャ結婚生活……良いな……レグルス王子達には身の程を思い知らせてやったから、こちらに関わってくることもないだろうし……」

「……レグルス王子達に何したの?」

「大した事はしていない。偶に浄化魔導具の実験等でリアと引き離された時に、憂さ晴らしに付き合ってもらったくらいだ」


 それはがっつりトラウマになってそうだ。


「程々にしてあげてね」

「お前は本当に聖女だな」

「いや、やり過ぎるとかえって恨まれそうだし」

「そんな中途半端な事はしていない。きっちり心を折ってから、二度とリアに手を出す気が起きないよう心身に叩き込み、魂に刻み込んだだけだ」

「……程々にしてあげてね……」


 確実にトラウマ案件だ。これなら二度と、私達に関わろうとは思われないだろう。


「私は生き残れたから、もう良いよ」


 死ぬはずの命を拾えただけで御の字だ。アーク兄様の目の色が、また変わった。


「リア、お前は───死ぬつもりだったのか?」


 妙な所で鋭いのはアーク兄様の方だ。

 積極的に死ぬつもりは無かったが、死んでも仕方がないとは思っていた。でも、アーク兄様の私への執着を知って、これは死ねないと思い直した。


「死ぬつもりなんて無かったよ」

「本当か?さっきミモザ嬢と、リアが死ぬとかなんとか話してたよな?」


 うん?その話をしてた時、アーク兄様はこの部屋に居なかったような。


「盗聴器?」

「何の事だ」

「あ、やっぱり有るんだ。どれ?どれが盗聴器なの?まさか全部?」


 衣服をあちこち探してみるが分からない。魔力の気配を探ってみても引っ掛からない。8年の間にどれだけ改良されてんの?


「ちょっと、盗聴器どれか教えてよ!」

「さあ?」

「絶対知ってるよね?受信機も持ってるよね?出しなさい!」

「そう言われてもな。盗聴器が仕掛けられているか心配なら、全部外せば良いんじゃないか?」


 脱がさないで!確かに全部脱いじゃえば、どれが盗聴器でも関係ないけども!


 兄様はスルスルと私の衣服を剥ぎ取ってゆく。


「手慣れてるね!」

「当然だ。ずっとリアの世話は俺一人でしてきたんだからな」

「え、着替えとかも?」

「着替えも風呂も下の世話もだ。だから我慢出来なかった」

「何を!?」

「これからする事だ」


 あっという間に裸にされて、抱き上げられる。向かう先は隣接する寝室だ。そういう事だよね。


「良いよな?リアは俺とイチャイチャし放題を望んでるんだろ?」


 その顔はズルい。私がアーク兄様のその表情に弱いって分かっててやってるよね?

 

 

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