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悪逆_5
暗くなったら部屋にこもる。
それをするだけで平和に過ごせるのなら、
みんな仲良く同じ屋根で暮らしましょう。
それだけの話だが、
現実はそう上手くいかなかった。
「どけよ!」
「うるせえ! ここは俺たちの場所だ!」
前述したとおり、同じ空間に他人がいることを
嫌がり、各地で縄張り争いが勃発する。
安住の地を求めて戦い、
余計な飛び火で他所が破壊され、
関係がなかった者が乱入して
さらに戦いを劇化させる。
どこまでも足の引っ張りあいを続け、
負のスパイラルを深くさせた。
「市街地は……無理か。
もうあらかた取られてる。
仕方ねえ。山の方で空き室か
穴掘って寝るか」
「えー」
駄々をこねる少年を軽くなだめて、
男は新たな目的地に向かう。
その横で短い足をせわしなく
動かす少年が言った。
「あんな奴ら、兄貴にかかりゃ
瞬殺なのに……。
アイツら、弱いクセに
いきがりやがって。あいて!」
愚痴を言う少年の頭を軽くぶった。
「物騒な事を言うんじゃねえ。
戦わずに済むならそれが一番だろうが」
「ですけどぉ」
「穏便に進められるなら、
それに越したことはねえんだ。
特に俺たちみたいな『力』を
持ってる奴らはな」
少年は自分のことも挙げられ、
大人しく言うことを聞いた。
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