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ロールプレイン・ディス・ワールド  作者: たる。
第五章 絶望の先の光と
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 ……が、そう簡単にはいかないようだった。

『第九層に侵入者を発見。警戒レベルA。〈ギガス〉を起動します』

「な、なんだ!?」

 空間に響く機械音声。志乃は辺りを見回した。

「し、志乃さん、あれ……」

「天ヶ崎、一体……は……?」

 瑠璃の指し示した方を見て、志乃は言葉を失う。

 広間の壁際、扉のすぐ近くに、巨大な柱が立っていた。

 否、柱ではない。そう見えるほど巨大な……。

「〈ゴーレム〉……なのか……?」

 二人で見ている前で、超巨大〈ゴーレム〉が起動していた。見上げるほどに大きな、10メートルはあろうかという巨体。〈ギガス〉という名の通り、その姿はさながら巨人のようだ。

 〈ギガス〉はゆっくりと起動し、その柱のような足を持ち上げ、下ろした。あれだけ巨大な体をしているというのに、その挙動は不思議と重さを感じさせない。

「なんでこんなのがいるんだよ! 悠月は先に行ってたんじゃないのか!?」

「いえ……。あそこを見てください」

 瑠璃が指し示したのは、〈ギガス〉の右腕だった。何故かあの部位だけが動きがぎこちない。

「一部が切断されています。おそらく……」

「悠月が……やったってのかよ」

 あの綾音が、この巨大〈ゴーレム〉を一瞬でも無力化して、その隙に突破したというのか。

 信じられなかった。自分の知る綾音は、もっと弱い。こんな化物を相手にできる力など持っていない。

 ここに辿り着くまでの戦いが、それほどまでに彼女の力を高めたとでも言うのだろうか。

「志乃さん、来ます!」

「くそっ、だったら俺達も越えるしかねえだろ……!」

 〈ギガス〉の挙動は巨体に見合わず俊敏だった。走ることは出来ないものの、素早く歩いて距離を詰めてくる。

 歩きながら、左肩についているポッドを開く。そこから放たれたのは、十本近くのミサイル。

「嘘だろ、そんな武器持ってるのかよ!」

「志乃さん、わたしの陰に! 〈障壁展開プロテクションウォール〉!」

 瑠璃の広げた防御魔法がミサイルを受け止める。

「くっ……」

 爆風の衝撃がビリビリと伝わってくる。耐え切れなくなった障壁が砕け散った。

「うああ!」

「ぐあっ!」

 二人とも吹き飛ばされる。立ち上がるのを待たず、〈ギガス〉が次のミサイルを装填した。

「させません!」

「天ヶ崎!?」

 瑠璃はグンジョウを起こして前に出た。〈賢者の書〉のページが激しくめくられていく。

「わたしがなんとかしますから、志乃さんは隙をついて先へ行ってください」

「こんなヤツ一人で相手できるわけ無いだろ!?」

「バカにしないでください。わたしを誰だと思ってるんですか?」

「だからって……」

「話してる時間はありません。〈雷鎚招来トールハンマー〉!」

 空中に出現した巨大な雷球が〈ギガス〉のミサイルポッドに直撃する。一瞬だけ機能が停止したようだ。

「今です!」

「天ヶ崎……。……くそっ!」

 混乱する〈ギガス〉の隣をすり抜け、扉へ向かう。志乃の姿を見つけた〈ギガス〉は、兵器が使えないと判断したか拳を振り上げた。

「〈雷槍一閃ライトニングストライク〉!」

 一筋の巨大な雷槍が拳を弾いた。隙を突いて志乃は扉を潜り抜ける。

「天ヶ崎……」

 後ろ髪ひかれる思いで、志乃は頂上へ続く一直線の階段を駆け上がる。残っているのは小型の相手ばかりだったが、その全てがバカにならないほど強力だ。

「チッ、あとちょっとだってのに……!」

 複数の〈ゴーレム〉が壁を為す。志乃が突破するのは困難だ。

「なら……」

 志乃は右手を静かに見下ろす。それは今まで試しのない行いだった。

「"二回目"なんてやったことないが、やるしかない!」

 高く刀を掲げて、力を込める。

「はぁぁあああああ……!」

 そして、体中の全ての力を、その一点に集約、開放する。

「〈放て〉!」

 刀身が炎のように揺らめく魔力を纏う。

「はあああああああああ!!」

 〈バグ技〉の刀を振りかざし、〈ゴーレム〉の壁にねじ込んだ。

「邪魔を……するなぁあああああ!!」

 全力で振りぬいた魔刃が〈ゴーレム〉を吹き飛ばし、道をこじ開ける。

「悠月……クッ……」

 瞬間、体に力が入らなくなった。二度目の〈バグ技〉に体が悲鳴を上げている。

「こんなところで……ヘタってられるか!」

 脱力する体にムチ打ち、刀を杖に立ち上がり、よろよろと残りの数段を登る。

 そして、頂上へ繋がる階段を開いた。

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