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綾音は剣を片手に町の中を駆け抜けていた。
町に溢れかえるのは暴走する〈ゴーレム〉だけにとどまらず、あろうことか大量の〈魔者〉も共に出現している。全てが先日戦った〈コボルト〉か、それ以上の実力を持っていた。
しかし……。
「やああっ!」
掛け声とともに振り抜いた一閃が〈魔者〉を打ち倒した。これで六体目だ。
(不思議……。最初は手こずったけど、段々戦うのが楽になって、戦えば戦うほど、剣も体も軽くなっていくみたい……)
〈魔者〉を倒した所で、綾音は携帯を取り出し〈アナライザー〉を起動する。
(レベル28……。さっきまで12だったのに、こんなに急に上がっていくなんて……)
思えば、最近レベルが上ったのも急だった。先日の戦い以来積極的に訓練することを意識していたが、いつの間にか5から12まで上がっていたのだ。元が低かったとはいえ、一般的な〈適応率〉の上昇速度と比べれば急な上昇率である。
(ううん、今はそんなこと考えてる場合じゃない)
目の前にまた新たな〈魔者〉が現れていた。綾音は剣を構え、猛然と斬りかかっていく。
数度交えた刃は、やがて〈魔者〉の爪を砕き、肉を裂いた。息絶えた〈魔者〉は光の粒子となって消えていく。
「……これなら、行ける」
ここに来て、ついにそれは確信に至った。
これまで負った傷も軽くはない。しかし、力の強まった〈ロール〉により加速する自然治癒力のお陰でそれも気にならない。
綾音は真っ直ぐに島の中央にそびえる塔へと目を向けた。どうやら〈魔者〉はあの塔に向かっているらしい。
〈アルターストーン〉に向かって伸びる真っ白な塔。確かに異世界からの死角が狙うものと言ったらあれしかないだろうと綾音は考える。
〈アルターストーン〉が狙われている。ならば、それを守るのも勇者の役目。
あの親玉もきっとあそこに来るはずだ。それを倒せば全てが解決するはず。
「……っ…………」
戦闘が一段落して集中が途切れたのか、急に膝の傷が痛んだ。
訓練中に転んだ時の傷だ。もう治りかけていたが、激しく動いている中できずが開き始めてしまったらしい。
「こんなの……!」
綾音は意地と気合でその痛みを抑えつける。
志乃を、みんなを守るためにも、戦おう。戦わなくてはならない。
「……大丈夫、やれる!」
力を込めて剣を握り、綾音は再び町の中を駆け出していく。




