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97/99

97・野球の中のパワーストーン

 

 結局パワーストーンというより、壁が出来たと思うことにしよう、うん。

 

「あかり、素敵な防御壁が出来たわね」

「それ、喜んでいいのかわからない」

「私もわからない」

 

 ないよりマシよね。

 

「ところで、あかり。訓練は順調?」

「聞くのは野暮ってもんよ、ひかりちゃん」

「……わかった」

 

 難しいスキルだものね。

 そうだわ、野球といえば。

 

「そういえば、ここに野球場ってあるの?」

「スキル用にってこと?あるわけないじゃん」

「そうよねえ。野球場があれば、どうなるのかなって思ったのよね」

「確かにスキルで野球道具は出てきたけど、結局グローブとボール程度しか使ってないんだよね」

 

 前回あかりの固有スキルの『野球』で、バットとかグローブとかの野球道具が出てきたのよね。あと、ベースとかの野球場を作るための物も。

 

「辺境伯様、空き地を貸してくれないかしら」

「ひかりちゃん、少し空気読む練習しようか。魔物魔物で、それどころじゃないんだよ」

「そうよね、ダメよね。でも、こっそり小さく作るのは許されるわよね」

「だから、空気読む練習しようね」

「わかっているわよ。というかね、一つ思いついたことがあって」

「何?」

「ベースって何に使うのかなって」

 

 あかりが手をポンと叩いた。

 

「そうだね、考えたことなかった」

「でしょ?」

「うん」

 

 私達は騎士さん達に話をして、ベースを置いてみることにした。

 

「別に狭くてもいいと思うの。要するに4箇所並べるのが大事だと思うのよ」

「そうだね、とりあえず並べてみよう」

 

 あかり達が訓練する場所はそれなりに広くはあるけど、他の人もいるから全部使うわけにはいかないし。

 

「極端な話、1メートル四方でもいいわけよね」

「それなら簡単だね」

「まずはそのくらいでやってみましょ。それから段々大きく広げていけばいいわね」

 

 私達は訓練場の隅にベース三個とホームベースを並べてみた。その真ん中にあかりが立つ。

 

「どう?なんかご利益降りてきた?」

「ひかりちゃん、パワーストーンは忘れようよ。まあ、野球場の内野ってダイヤモンドって言うけど」

「内野?」

「ベース三個とホームベースで作った四角形の場所のこと。つまり今の状態だね」

「それならやっぱり、パワーストーンなのよ」

「こじつけじゃね?」

「そうね、多分まだ失敗を引きずっているからね」

「「我々を失敗にしないで!」」

 

 イシダサンとイワタサンが泣いている。

 

「冗談よ。でもイシダサンは小銭が出るから、毎日手を繋ぐのは悪くないよね」

「それは毎日試したい」

 

 あかりが頷いている。近くの騎士さん達もこっそり頷いている。

 そういえばさっきみんな、イシダサンと握手していたわね。

 

「イシダサン、騎士さんと握手してもお金が出たの?」

「いや、ダメだった。多分あっしの今のレベルじゃ、一日一回程度かな」

 

 近くの騎士さん達が、悔しがってる。

 

「イシダサン、早くレベルアップしてあげてね」

「それはそれで、イワタサン並みのダークな影響がありそうなんだけど」

「とりあえず早朝、イシダサンの握手会の争奪戦が始まるわね」

 

 パワーストーンって、なんだっけ。

 

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