97・野球の中のパワーストーン
結局パワーストーンというより、壁が出来たと思うことにしよう、うん。
「あかり、素敵な防御壁が出来たわね」
「それ、喜んでいいのかわからない」
「私もわからない」
ないよりマシよね。
「ところで、あかり。訓練は順調?」
「聞くのは野暮ってもんよ、ひかりちゃん」
「……わかった」
難しいスキルだものね。
そうだわ、野球といえば。
「そういえば、ここに野球場ってあるの?」
「スキル用にってこと?あるわけないじゃん」
「そうよねえ。野球場があれば、どうなるのかなって思ったのよね」
「確かにスキルで野球道具は出てきたけど、結局グローブとボール程度しか使ってないんだよね」
前回あかりの固有スキルの『野球』で、バットとかグローブとかの野球道具が出てきたのよね。あと、ベースとかの野球場を作るための物も。
「辺境伯様、空き地を貸してくれないかしら」
「ひかりちゃん、少し空気読む練習しようか。魔物魔物で、それどころじゃないんだよ」
「そうよね、ダメよね。でも、こっそり小さく作るのは許されるわよね」
「だから、空気読む練習しようね」
「わかっているわよ。というかね、一つ思いついたことがあって」
「何?」
「ベースって何に使うのかなって」
あかりが手をポンと叩いた。
「そうだね、考えたことなかった」
「でしょ?」
「うん」
私達は騎士さん達に話をして、ベースを置いてみることにした。
「別に狭くてもいいと思うの。要するに4箇所並べるのが大事だと思うのよ」
「そうだね、とりあえず並べてみよう」
あかり達が訓練する場所はそれなりに広くはあるけど、他の人もいるから全部使うわけにはいかないし。
「極端な話、1メートル四方でもいいわけよね」
「それなら簡単だね」
「まずはそのくらいでやってみましょ。それから段々大きく広げていけばいいわね」
私達は訓練場の隅にベース三個とホームベースを並べてみた。その真ん中にあかりが立つ。
「どう?なんかご利益降りてきた?」
「ひかりちゃん、パワーストーンは忘れようよ。まあ、野球場の内野ってダイヤモンドって言うけど」
「内野?」
「ベース三個とホームベースで作った四角形の場所のこと。つまり今の状態だね」
「それならやっぱり、パワーストーンなのよ」
「こじつけじゃね?」
「そうね、多分まだ失敗を引きずっているからね」
「「我々を失敗にしないで!」」
イシダサンとイワタサンが泣いている。
「冗談よ。でもイシダサンは小銭が出るから、毎日手を繋ぐのは悪くないよね」
「それは毎日試したい」
あかりが頷いている。近くの騎士さん達もこっそり頷いている。
そういえばさっきみんな、イシダサンと握手していたわね。
「イシダサン、騎士さんと握手してもお金が出たの?」
「いや、ダメだった。多分あっしの今のレベルじゃ、一日一回程度かな」
近くの騎士さん達が、悔しがってる。
「イシダサン、早くレベルアップしてあげてね」
「それはそれで、イワタサン並みのダークな影響がありそうなんだけど」
「とりあえず早朝、イシダサンの握手会の争奪戦が始まるわね」
パワーストーンって、なんだっけ。




