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96/99

96・パワーストーンの検証をしました

 

 キムラサンにはたぬきちの守護を任せて、私はイシダサン・イワタサンコンビと一緒に、あかりが訓練している所に向かった。

 

「あかりー、どう?うまくいってる?」

「お、ひかりちゃん来たの?」

 

 軽く肩を回しながら、あかりが近寄ってきた。丁度休憩に入ったところみたい。

 

「で、ひかりちゃんの後ろの二人は、誰?」

「助っ人かしら?」

「何故、疑問形」

 

 まあねえ。自信ないというか。思いつきで連れてきただけというか。

 

「お初にお目にかかる。私はイシダサン」

「私はイワタサン」

「「二人合わせて、石と岩」」

「ああ、ひかりちゃんの固有スキルか」

「何あっさり納得しているの」

 

 せっかくポーズまで決めた二人に、あかりの反応は冷たかった。

 

「仕方ないじゃん。ひかりちゃんのせいじゃん」

「ひどいわ。せっかくあかりのボディーガードにと思って連れてきたのに」

「王都の騎士さんや、辺境伯領の皆さんの方が安心できるなー」

「何故に棒読み」

 

 まあ、仕方ないよね。

 

「実績ないから仕方ないわね」

「それでは、試してほしいですな」

「そうです。我々のパワーを実感してほしいです」

「ねえあかり、異世界にもパワーストーンってあると思う?」

「何、急に」

 

 私は彼らを両手で指差す。

 

「異世界にもパワーストーンってあるかなって思って、彼らを呼んだのよ」

「ってことは、本当に石と岩なの?」

「「そうです、二人で石と岩」」

 再びポージング。戦隊モノみたいね。

 

「ってことで、持ち歩いたらご利益あるかもよ」

「いやいやいや、持ち運べないって」

「お試しくだされっ!」

「私もどうぞっ!」

 

 二人が手を差し出して頭を下げた。告白タイムか。

 

「これ、どうすればいいのよ」

「私もわかんないけど、とりあえず手を繋いでみたら?」

「わからん言うな」

 

 渋々あかりがイシダサンの手を取った。

 

「これで何かご利益くるの?」

「パワー降臨!」

 

 イシダサンが叫ぶ。この時点で、変質者で逮捕されてもおかしくないわよね。

 

「誰か逮捕して、こいつ」

「お嬢、指を刺してはいけねえぜ」

 

 がんばれ、イシダサン。

 

「で、どう?なんか変化あった?」

「そんなすぐに何か起きたら……あれ?」

「ん?」

 

 あかりの前に何か落ちてきた。しゃがんで拾い上げる。

 

「硬貨だわ」

「落ちてきたよね、これ」

 

 それは、銅貨だった。

 

「それ、どのくらいの価値があるの?」

「向こうの世界だと10円くらいかしらね」

「び、微妙だね」

「金運ってことかしら」

 

 微妙だけど。

 

「それじゃあ、次はイワタサンと交代ね」

「おけー、ベイベー」

「うわ、うざ」

「あかり、心の声が出ている」

 

 今度はあかりがイワタサンと手を繋いだ。あかり、若干体が向こう側に引いてる。

 

「どう?」

「パワー降臨!」

 

 イワタサンも叫ぶ。こいつも不審者にしか見えないわね。

 

「どう?何かご利益出た?」

「うーん、何も……あ」

 

 また、あかりの前に何か落ちてきた。しゃがんで拾い上げる。

 

「今度は何?」

「普通の石だわ」

「どうして石が?」

 

 みんなで首を傾げた。

 

「すみません!大丈夫でしたか?」

 

 すると騎士さんが、慌てて飛んできた。

 

「どうしました?」

「いや、たまたま石を投げたらそっちに飛んでいってしまって。当たりませんでしたか?」

「ということは……」

 

 みんなであかりの前に落ちた石を見る。

 

「災いを避けるということ?」

「魔除け的な?」

「そういうもの?」

 

 みんなで首を傾げていたら、また何か飛んできた。

 

「うわっ!」

「なにっ?」

 

 今度はあかりの前に矢が飛んできた。

 

「すみません、大丈夫でしたか?」

 

 慌てて別の騎士さんが飛んできたけど、これは危ないわ。

 

「ま、まさか」

 

 全員でイワタサンを見る。

 

「イワタサン、あかりの手を離してあげて」

「はい……」

 

 流石に本人も悪そうに手を離そうとした瞬間に、更に矢が3本落ちた。ついでに石も飛んできた。全部当たらなかったけど。

 

「これって、悪運ってこと?」

「運良く当たらないけど、災いが次々飛んでくるってこと?」

 

 イワタサンが手を離したら、何も飛んでこなくなった。

 

「……イシダサン、イワタサン」

「「はい」」

「あんたら、物理的にあかりの盾、決定ね」

「「ううっ、パワーストーンなのに」」

 

 二人とも泣いていたけど、仕方ないじゃん。

 あかりの目が、視線が、痛かった。ごめん。

 

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