96・パワーストーンの検証をしました
キムラサンにはたぬきちの守護を任せて、私はイシダサン・イワタサンコンビと一緒に、あかりが訓練している所に向かった。
「あかりー、どう?うまくいってる?」
「お、ひかりちゃん来たの?」
軽く肩を回しながら、あかりが近寄ってきた。丁度休憩に入ったところみたい。
「で、ひかりちゃんの後ろの二人は、誰?」
「助っ人かしら?」
「何故、疑問形」
まあねえ。自信ないというか。思いつきで連れてきただけというか。
「お初にお目にかかる。私はイシダサン」
「私はイワタサン」
「「二人合わせて、石と岩」」
「ああ、ひかりちゃんの固有スキルか」
「何あっさり納得しているの」
せっかくポーズまで決めた二人に、あかりの反応は冷たかった。
「仕方ないじゃん。ひかりちゃんのせいじゃん」
「ひどいわ。せっかくあかりのボディーガードにと思って連れてきたのに」
「王都の騎士さんや、辺境伯領の皆さんの方が安心できるなー」
「何故に棒読み」
まあ、仕方ないよね。
「実績ないから仕方ないわね」
「それでは、試してほしいですな」
「そうです。我々のパワーを実感してほしいです」
「ねえあかり、異世界にもパワーストーンってあると思う?」
「何、急に」
私は彼らを両手で指差す。
「異世界にもパワーストーンってあるかなって思って、彼らを呼んだのよ」
「ってことは、本当に石と岩なの?」
「「そうです、二人で石と岩」」
再びポージング。戦隊モノみたいね。
「ってことで、持ち歩いたらご利益あるかもよ」
「いやいやいや、持ち運べないって」
「お試しくだされっ!」
「私もどうぞっ!」
二人が手を差し出して頭を下げた。告白タイムか。
「これ、どうすればいいのよ」
「私もわかんないけど、とりあえず手を繋いでみたら?」
「わからん言うな」
渋々あかりがイシダサンの手を取った。
「これで何かご利益くるの?」
「パワー降臨!」
イシダサンが叫ぶ。この時点で、変質者で逮捕されてもおかしくないわよね。
「誰か逮捕して、こいつ」
「お嬢、指を刺してはいけねえぜ」
がんばれ、イシダサン。
「で、どう?なんか変化あった?」
「そんなすぐに何か起きたら……あれ?」
「ん?」
あかりの前に何か落ちてきた。しゃがんで拾い上げる。
「硬貨だわ」
「落ちてきたよね、これ」
それは、銅貨だった。
「それ、どのくらいの価値があるの?」
「向こうの世界だと10円くらいかしらね」
「び、微妙だね」
「金運ってことかしら」
微妙だけど。
「それじゃあ、次はイワタサンと交代ね」
「おけー、ベイベー」
「うわ、うざ」
「あかり、心の声が出ている」
今度はあかりがイワタサンと手を繋いだ。あかり、若干体が向こう側に引いてる。
「どう?」
「パワー降臨!」
イワタサンも叫ぶ。こいつも不審者にしか見えないわね。
「どう?何かご利益出た?」
「うーん、何も……あ」
また、あかりの前に何か落ちてきた。しゃがんで拾い上げる。
「今度は何?」
「普通の石だわ」
「どうして石が?」
みんなで首を傾げた。
「すみません!大丈夫でしたか?」
すると騎士さんが、慌てて飛んできた。
「どうしました?」
「いや、たまたま石を投げたらそっちに飛んでいってしまって。当たりませんでしたか?」
「ということは……」
みんなであかりの前に落ちた石を見る。
「災いを避けるということ?」
「魔除け的な?」
「そういうもの?」
みんなで首を傾げていたら、また何か飛んできた。
「うわっ!」
「なにっ?」
今度はあかりの前に矢が飛んできた。
「すみません、大丈夫でしたか?」
慌てて別の騎士さんが飛んできたけど、これは危ないわ。
「ま、まさか」
全員でイワタサンを見る。
「イワタサン、あかりの手を離してあげて」
「はい……」
流石に本人も悪そうに手を離そうとした瞬間に、更に矢が3本落ちた。ついでに石も飛んできた。全部当たらなかったけど。
「これって、悪運ってこと?」
「運良く当たらないけど、災いが次々飛んでくるってこと?」
イワタサンが手を離したら、何も飛んでこなくなった。
「……イシダサン、イワタサン」
「「はい」」
「あんたら、物理的にあかりの盾、決定ね」
「「ううっ、パワーストーンなのに」」
二人とも泣いていたけど、仕方ないじゃん。
あかりの目が、視線が、痛かった。ごめん。




