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94/99

94・パワーストーン仲間ができました

 

 私はあらためて別の場所で、石さんを呼んだ。

 

「はじめからここでやればよかったのね」

 

 場所はキムラサンの家の前。ここなら除草作業済み(作業者:キムラサン)だし。

 いつの間にか横にキムラサンがいるけど、まあいいか。

 

「あらためて。メルヘン」

 

 メルヘンサークルが、我々を包んだ。キムラサンも一緒だけど。別にいーや。

 

「石さん~石さん~♪ちょっと出てきてほしいのよ~♪」

「お呼びですかい、ボス〜♫」

 

 今度こそ、土の上に石がいた。

 

「応えてくれてありがとう~♪お願いがあるのよ~♪」

「なんですかい、ボス〜♫」

 

 私はなるべく彼の目線に近づくために、しゃがみこんだ。

 

「こっちの世界にもパワーストーンってあるのかしら?」

「知りませんなあ、自分、石ですけど」

「そうよねえ」

 

 エミールとしての知識でも知らないわね。

 

「まあ、いいか。よその世界ではね、パワーストーンっていうのがあってね。それを持っていると恩恵があるというか」

「どの石でもいいんですかい?」

「ううん、石の種類で意味が違うのよ。例えばこの石は恋愛運とか、これは健康運とか」

「つまり、あっしにも秘められたパワーがあると」

「うん、ポジティブでいいわね」

 

 シルバーの石が、さらにテカテカ光っている。

 

「で、お願いっていうのはね、パワーストーンとして、私の妹を守ってほしいのよ」

「妹さんを。泣かせる兄貴だぜ」

 

 石からぴぴぴと水が飛んだ。あれ、涙なのかしら。

 

「どんなパワー運かわからないけど、あなたは刀にもなれるすごい石でしょ?是非とも妹を守ってちょうだい」

「わかったぜ、ボス。俺に任せな~♪」

 

 石がクルクル回りだした。そのまま上に浮かび上がる。

 私の左手に着地して、

 

「それなら妹さんの元へ連れていってくれよ。だがその前に、俺に名前をつけてくれ。その方が、あんたの横にいるやつのように強くなれるぜ」

 

 ちらりとキムラサンを見た。こいつも強いもんな、確かに。

 

「そうねえ、あなたの名前は……」

「名前は?」

「イシダサン?」

 

 なんだか遠くから、リナリアのツッコミ声が聞こえてきた気がする。気のせいね。

 

「シンプルっていいわよね」

「なんか違う気がする」

 

 横にいる木につっこまれた。

 

「んじゃ、これからもよろしくね、イシダサン」

「ちょっと待った!」

 

 どこからか声が聞こえた。

 

「イシダサンじゃないわよね」

「あっしじゃないぜ、ボス」

「マスター、あっちで聞こえたぜい」

 

 キムラサンが近くの木々の方を指さした。

 

「あそこに何かあるの?」

「私のアミーゴと、あとは……」

 

 とりあえずそっと近づいてみた。

 キムラサンの友といえば木よね。

 見渡す限り、木木木岩木木木。

 

「ん?岩?」

 

 木々の中に、私の腰くらいの高さの岩があった。

 

「こんなところに岩なんて。メルヘン」

 

 どうやら先ほどイシダサンと話すときに作ったメルヘンサークルが、こちらにも届いていたみたいね。だから今度は意識して、メルヘンサークルを岩に送る。

 すると目の前の岩が、光り始めた。

 

「うおおおうう。俺、歌ってるうう。踊ってるうう♪」

「あ、なんかうざそうな空気」

 

 キムラサン、君が言ってはいけない。

 

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