94・パワーストーン仲間ができました
私はあらためて別の場所で、石さんを呼んだ。
「はじめからここでやればよかったのね」
場所はキムラサンの家の前。ここなら除草作業済み(作業者:キムラサン)だし。
いつの間にか横にキムラサンがいるけど、まあいいか。
「あらためて。メルヘン」
メルヘンサークルが、我々を包んだ。キムラサンも一緒だけど。別にいーや。
「石さん~石さん~♪ちょっと出てきてほしいのよ~♪」
「お呼びですかい、ボス〜♫」
今度こそ、土の上に石がいた。
「応えてくれてありがとう~♪お願いがあるのよ~♪」
「なんですかい、ボス〜♫」
私はなるべく彼の目線に近づくために、しゃがみこんだ。
「こっちの世界にもパワーストーンってあるのかしら?」
「知りませんなあ、自分、石ですけど」
「そうよねえ」
エミールとしての知識でも知らないわね。
「まあ、いいか。よその世界ではね、パワーストーンっていうのがあってね。それを持っていると恩恵があるというか」
「どの石でもいいんですかい?」
「ううん、石の種類で意味が違うのよ。例えばこの石は恋愛運とか、これは健康運とか」
「つまり、あっしにも秘められたパワーがあると」
「うん、ポジティブでいいわね」
シルバーの石が、さらにテカテカ光っている。
「で、お願いっていうのはね、パワーストーンとして、私の妹を守ってほしいのよ」
「妹さんを。泣かせる兄貴だぜ」
石からぴぴぴと水が飛んだ。あれ、涙なのかしら。
「どんなパワー運かわからないけど、あなたは刀にもなれるすごい石でしょ?是非とも妹を守ってちょうだい」
「わかったぜ、ボス。俺に任せな~♪」
石がクルクル回りだした。そのまま上に浮かび上がる。
私の左手に着地して、
「それなら妹さんの元へ連れていってくれよ。だがその前に、俺に名前をつけてくれ。その方が、あんたの横にいるやつのように強くなれるぜ」
ちらりとキムラサンを見た。こいつも強いもんな、確かに。
「そうねえ、あなたの名前は……」
「名前は?」
「イシダサン?」
なんだか遠くから、リナリアのツッコミ声が聞こえてきた気がする。気のせいね。
「シンプルっていいわよね」
「なんか違う気がする」
横にいる木につっこまれた。
「んじゃ、これからもよろしくね、イシダサン」
「ちょっと待った!」
どこからか声が聞こえた。
「イシダサンじゃないわよね」
「あっしじゃないぜ、ボス」
「マスター、あっちで聞こえたぜい」
キムラサンが近くの木々の方を指さした。
「あそこに何かあるの?」
「私のアミーゴと、あとは……」
とりあえずそっと近づいてみた。
キムラサンの友といえば木よね。
見渡す限り、木木木岩木木木。
「ん?岩?」
木々の中に、私の腰くらいの高さの岩があった。
「こんなところに岩なんて。メルヘン」
どうやら先ほどイシダサンと話すときに作ったメルヘンサークルが、こちらにも届いていたみたいね。だから今度は意識して、メルヘンサークルを岩に送る。
すると目の前の岩が、光り始めた。
「うおおおうう。俺、歌ってるうう。踊ってるうう♪」
「あ、なんかうざそうな空気」
キムラサン、君が言ってはいけない。




