82・ドジョウ(仮)を尋問します
「予想通り、出たわね」
鶴さんの嘴には、例のドジョウ?みたいな生き物が咥えられていた。ぴちぴちして、気持ち悪い。
テオはソファに倒れ込んでピクピクしていた。
「ピクピクとぴちぴち……」
「デレク、気持ち悪いから、言わない」
「ごめん」
伝言妖精さんが、テオの元に飛んで行って、様子を伺っている。
「お、抜けとる抜けとる。これで大丈夫ですわ」
「よかったですわ」
テオはもう安心ね。倒れてピクピクしているけど。
そっちはいいとして、私は鶴さんに聞いてみた。
「それで、こいつなんだけど、正体わかる?」
「こいつ嘴使っているから話せませんって」
「そうね。それじゃあ、メルヘン」
メルヘンサークルが鶴さんごと包んでいく。
「誰か、こいつの正体を調べてくれないかしら~♪ついでに捕獲してほしいわ~♪」
「適当だな」
「しょうがないじゃな~い♪このスキルよくわからないし~♩」
すると鶴さんの足元近くから、ズゴゴゴゴという音と共に、何かが出てきた。
「なんだこれは?」
「すっごく見覚えあるわ」
「ガラスの箱か?」
それは水槽だった。昔金魚を飼ったことがあって、その時のものと同じね。
水槽を見た鶴さんが蓋を開けて、自分の嘴を突っ込んだ。そのままなぞの生物をそこに放つと、嘴を戻して蓋を閉めた。その途端に、水槽に付いていたモーターが動きだしたんだけど。
「電力ないけど、動くんかい」
中には水はもちろん、水草もあった。それならモーター必須ね。
「エミさん、こいつのことは、任せてくだせえ」
水槽から声が聞こえた。
「あなたは?」
「へい、金魚です」
よく見たら、水槽の中に2匹の金魚がいた。赤い普通のと、黒い出目金。
「あらかわいい」
「赤い普通のやつだなとか、金魚すくい用とか、何かの餌用とか言わないでくだせえ」
「思っても言わない」
どき。心読まないで。
「で、あなたが監視をしてくれるの?」
「へい、あと、尋問もします」
「すごいな」
デレクも水槽をのぞき込む。金魚もこっちの世界には、いないのかしらね。最近いろいろ出しすぎて、感覚マヒしてきてるけど、別にいいか。
「それじゃあ、早速尋問してくれる?」
「へい」
黒い出目金が、謎のドジョウ(仮)に近寄った。
「名前は?」
「……」
「お前、なんで人の耳の中にいたんだよ。ああん?」
「……」
「そんなことで、やっていけんのか?かあちゃんが、泣いてるぜ?」
「……」
「かつ丼食うか?」
「カツドンってなんだ?」
デレクのつっこみはさておいて。どうしよう。役に立たない。
「エミさん、判明しました」
突如、赤い金魚が点滅した。ジャジャーンって効果音も鳴った。
「こいつは、スキルです。人を操ることができるもので、持ち主は『パトリシア・アッコンチ』であると」
「衝撃的内容だけど、その前に言わせて。出目金ちゃんの役目って何?」
「演出です」




