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77/79

77・アダルベルトとパトリシア兄妹

短めとなります。申し訳ございません。

 

(アダルベルト視点)

 

 深夜。アッコンチ侯爵邸の人々は、すでに眠りについている。そんな遅くに、

 

「お兄様」

 

 突然、妹が私の部屋を訪れた。

 

「どうした、何かあったのかい」

「ええ、私の可愛い()が、見つかってしまいましたの」

 

 私は、読んでいた本を横に置いて椅子から立ち上がり、妹を迎える。彼女の手を取りソファへと誘導する。妹は嬉しそうに微笑んで座った。私も同じソファの横に行く。

 

「珍しいね。パトリシアの()()()を見つけるなんて」

「本当に」

「それで、どうなったんだい?」

「どうやら取り出されてしまったみたいなの。いろいろ調べられても困るから、こちらで消しておきましたわ」

「そうか。どうせ彼らではそれが何であるかさえ、見当も付かないだろうけどね。それでもいろいろ調べられても面倒だから、仕方ない」

 

 人事のように、澄まして話す妹は、私の手を離さない。

 

「だが、アレを取り出すとは。やはり聖女かな。いや、聖女の姿をした第三王子か」

 

 美しい顔を思い出す。あれで男性とは、世の中は不条理だ。

 

「聖女様にも、()()()をつけようとしたのですが、弾かれてしまいました。残念ですわ」

「そうだったね」

 

 もしかしたら、固有スキルの上下により、自分より下のもののスキルは弾くのかもしれない。

 

「ということは、光魔法の奴らはもう使えないか。仕方ない、そろそろ次のものを用意するとしよう」

「そうね」

「私もね、以前から放っておいた『毒』が消えてしまったんだ。あれも恐らく彼の仕業だろう」

「本当に邪魔なお方。私、あの方が嫌いですわ」

「私もだよ」

 

 そう言いながら、微笑んでみせた。妹は嬉しそうに私の顔に両手で触れる。頬にゆっくりキスをして、妹は立ち上がった。

 

 去り行く妹に声をかける。

 

「そういえば、以前にも、()()()が使えなかったことがあったね」

「ええ、お兄様。なぜか()()()が行くのを拒んだの。だから、彼を川に捨てるしかなかったのよ」

 

 そう、エミール・ガーデン。彼の固有スキルは、読むことすらできないダメスキルと言われていたが。

 

「生かしておいたほうがよかったのか。いや、()()()が使えないのでは、生かしておく意味もないからな。そうだ、代わりの弟はどうしている?」

「安心して、お兄様。もう()()()が入っているから、いつでも使えるわよ」

 

 妹の口が、にいっと大きく笑みを浮かべた。

 

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