69・予想通りの結末でした
みなさん、こんにちは。エミです。
今私は、黄昏ています。何故かと言うと、私の仲間のキムラサンと聖女様が戦い、その結果予想通り、二人に友情が生まれたからです。
「右フック、さすがね」
「いやいや、聖女殿のキックは最高ですな」
なんか、互いの技を褒め合って、盛り上がっている。私はボッチでそれを見ているとこ。
なんかさ、疎外感というか。戦えないから、仕方ないんだけどね。寂しいなあああ。
今夜はたぬきち、離さないぞ。
☆☆
たぬきち「なんか、怖い……」
☆☆
「一体何をやっている……」
「あら、ルカス」
そこには、ルカスとデレク、そして上空にはリナリアがいた。
「二人でこっちに行くのが見えたから、援軍を呼んできたのよ。大丈夫?」
「私は無事だけど、あっちは友情エンドみたいよ」
「なんだそれは」
デレクが首を傾げた。
みんなの前には、ゼーゼーと息も絶え絶えな聖女様と木が、手を取り合って互いの技を褒めちぎるという、謎の絵面があった。
私の出る幕、まったくなし。
「兄上、そいつは強かったですか?」
「あら、可愛い弟ちゃん。お姉様の強いところを見たかったらしら」
「いえ、お気持ちだけで結構です」
「つれないわね。あーあ、疲れた」
そう言うと、聖女様がその場に横になった。キムラサンも、倒れ込んでいる。
「キムラサン、一応聞くけど、元気?」
「大丈夫っすー。おーい、バックダンサー♪」
「「「へーい♪」」」
キムラサンのバックダンサーである、その他の木がやってきて、キムラサンをえっほいえっほい運んでいった。
「あれもあなたのスキルなの?」
「多分……」
だって、知らない間に増えていたし。
ルカスが聖女様のそばに行って、膝をついた。
「聖魔法だけでなく、戦うことも出来るのですね。でも、兄上らしい」
「あら、それはどういう意味?」
「幼い頃から私を守ってくださった、あの頃のあなたでした」
「こんなに姿が変わっても?」
「正直に言えば、驚きました。ですが、その個性全てがあなたなのだと。私の大好きな、優しい兄上そのままです」
「やあねえ、兄を泣かせてどうするのよ」
聖女様が両手で目元を覆う。でも口元は笑顔のままだ。
ルカスはその場に座り、兄と並ぶ。
「大好きですよ。昔からずっと」
少し泣き声も聞こえたが、誰も何も言わなかった。
「ねえ、ひかりちゃん、そっちにいるのー?」
「あかり?」
遠くからあかりの声が聞こえた。複数人の走る音も聞こえてくる。
その途端、聖女が一瞬で立ち上がった。途中で頭が弟の顎に当たって、二人とも悶絶していたが。
「何を急に立ち上がって……」
「うるさい」
聖女は一瞬で服の乱れと髪、メイク全ての身だしなみを整えた。すごい。その技、教えてほしい。
「あ、いた。ひかりちゃん、大丈夫?」
あかりと、お付きの騎士達がやってきた。
「ええ、大丈夫よ。どうかした?」
「なんか揉めてるって聞こえたから来たんだけど」
「これは、勇者様。何も問題ありませんよ。我々は、マブダチです」
胡散臭いキラキラ笑顔で、聖女様があかりを迎えた。
なにこれ。
「聖女様、光ってる?」
「無駄な聖魔法の使い方だな」
「それで私の顎をなおしてくれ」
顎を押さえながら、フラフラとルカスも立ち上がった。
聖女様はあかりの手を取り、まったく何もありませーんって顔で誤魔化している。
「聖女様が私のこと、ものすごく疑っていたのって、そういうこと?」
「聖女様にも春がきたのね。うふふ」
リナリアが口元に手を当てて笑っている。ルカスも苦笑いだ。
「やはり、兄上は兄上だ」
「好きな人の周りを牽制しまくるタイプなのね」
そこにはあかりに、いつもの口先だけではない、純粋な笑顔で話す聖女様の姿があった。さりげなく自分の頭に右手を当てながらではあるが(こっそり聖魔法で治してた)。




