表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/79

65・ルカスとフランシスのお茶会(1)

 

(ルカス視点)

 

「急に申し訳ありません」

「そんなことないわ。私もずっとあなたと話したかったのよ」

 

 そう言ってお茶を用意してくれるのは、兄のフランシスだ。


 異母兄だが、幼い頃は仲良くしていた。兄の母は元メイドで、私の母は側室だが元は辺境伯領の者。身分などあまり気にしない世界で生きてきた。

 私達の母親が親友となるのに時間もかからなかった。そのおかげで私もフランシス兄上とは仲が良い。


 だが、兄は所詮メイドの子だ。それを排そうとする者もいた。

 そんな兄を守るために神殿に入れたのだが、元々兄は優れた聖魔法使いだった。

 

「この力を存分に発揮するには、やはり神殿で学ばないとね」

 

 笑顔で兄は旅立っていった。その笑顔の裏に、辛い想いもあっただろう。それを一つも見せずに。

 

 だが今思うと、もう少し話しておくべきだった。それならこんなことにはならずに済んだのではと、後悔ばかりしている。

 

「なあに、どうしたの?」

 

 ティーセットをテーブルにセットして、私の顔を覗きこんでくる。

 金色の長い髪がサラッと揺れて、私の頬に触れた。白く透き通った肌。唇は赤く、笑みを浮かべている。

 

「これで、男だと?」

「やだ、うれし。綺麗でしょ」

「そうですよ、綺麗ですよ、兄上」

「んもー、ちゃんとフランシスって呼・ん・で」

「呼べるかーっ!」

 

 危なくテーブルをひっくり返すところだった。勢いで立ち上がってしまったので、腰を下ろした。

 それを見てクスリと笑うと、兄も私の前の席に座る。

 

「それで、何を話したかったの?」

「それは……顔をみたら、何が言いたかったのか、忘れてしまいましたよ」

「そういうことにしておきましょ」

 

 兄は笑っていた。その笑顔が無理に作っているようには見えなくて。それで私も笑った。

 

「兄上は今、お幸せですか」

「普通ね」

「え、そこは幸せよとか、弟を心配させないために言うのでは?」

「何それ、めんどくさい」

 

 もともと兄は正直だ。その兄が言うのだから、嘘ではないと思うのだが。

 

「それでは先に仕事の話をしましょう。今日の件、どう思いますか?」

「そうね。あれは呪いではないの?」

「スキルだと聞いています」

「教えてくれたのは、エミさんね」

「はい……」

 

 兄が口元だけで笑みを浮かべる。

 

「兄上、エミは」

「あなたのお友達、そうよね」

「そうです。事情を聞いてください」

 

 私は兄にエミの事情を説明した。勇者の兄であったことを。

 彼は黙って聞いて、お茶をひと口飲んだ。

 

「勇者様のためなら、仕方ないわね」

「頼みます」

 

「それにしても、不思議なスキルね。()()は彼の仕業ではないの?」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ