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63/80

63・呪い(仮)を取り出しました

 

「こういう時は、やっぱりメルヘン魔法よね」

 ポンと手を叩いてリズムをとった。

 

「怖いものがいるのよ〜♬助けてほしいのよ〜♬」

「「「助けて〜♪」」」

 

 妖精さん達が現れて、コーラスに加わった。

 

「耳の中の虫取って〜♪」

「なんだか気持ち悪い歌だな」

 

 デレクが一歩引いた。わかる。私も気持ち悪い。

 

 すると、私の前に光の円が現れた。直径50センチくらいかしら。

 ズゴゴゴと音がして、そこから出てきたのは。

 

「こんにちは、鶴です」

「……鶴ね」

「見たことない生き物だな。鳥の仲間か?」

 

 鶴も異世界の生き物なのね。

 

「鶴さんが、アレと戦ってくれるの?」

「お安いご用です」

 

 鶴がペコリと頭を下げた。そしてバルトルトを睨む。

 

「ほほう、そんなところに隠れているのか」

「なんだこの生き物は。なぜ私を睨む」

 

 バルトルトさん、今年、厄年かもね。

 

 鶴はズイズイとバルトルトに近づくと、ばっと羽を広げた。バルトルトはびくっと反応したけど、立ち上がることはなかった。あれ多分、足が痺れて動けないやつ。

 

「く、来るな!あうっ、足が、足が痺れて、うおっ!」

 

 鶴は羽を手のように使ってバルトルトの頭をがしっと掴むと、耳の中に嘴をつっこんだ。

 

「うおおおおあ!」

 

 たまらずバルトルトが叫ぶけど、皆彼を見たまま固まっていた。

 何故なら、鶴が嘴で取り出したものがいたから。

 

「何これ」

「生き物か?」

「虫みたいだけど、微かに闇の魔力を感じるわ」

 

 光魔法部隊の皆さんが恐々鶴に近づいて、嘴に挟まれてぴちぴちしている、細長い生き物を観察している。

 それは黒くて長いモノだった。端に二つの光るものがあるけど、恐らく目ね。ドジョウっぽいけど、まさかそれで鶴が出た?

 

 ワンコが光魔法を展開して檻を作った。鶴がその中に嘴を突っ込んで離すと、謎の生き物は檻に囚われた状態になった。

 

「鶴さん、ありがとう」

「いえいえ、言い忘れていましたが、決して見ないで下さいね」

「もう手遅れ」

「私は助けてもらった鶴です」

「順番いろいろ違いすぎてる」

「それでは、ボンジュール!」

 

 いろいろツッコミどころ満載だが、鶴は光の円の中に消えていった。

 

「ところであのドジョウみたいなやつ、あれは何かしら」

 

 ボソっと呟くと、光の円の中から手紙が出てきた。

 

『鶴です。さきほどのドジョ……もとい、アレは、スキルで作られたものです。生き物ではありません。言い忘れていました。テヘペロ』

 

 読むと手紙は羽になって、消えた。

 

「演出は凝っているのにねえ」

「いろいろ残念な鶴でしたな」

 

 伝言妖精にもツッコまれている。

 

 それにしても、これが固有スキル?

 

 アレを取り除いたバルトルトは意識を失っていた。だけど、誰も助け起こそうとはしなかった。

 

 やっぱ厄年に違いない。

 

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