61・カップさんを修理してもらいました
幸いというか、カップは大きく二つに割れただけなので、修復すれば原形はなんとかなりそう。粉々に砕け散っていたらと思うと、ぞっとする。
リナリアもすぐに助けたいけど、私では無理だわ。援軍を呼ばないと。
足や顔が痛むけど、なるべく急いで外に出た。
そこにはまだ辺境伯領の騎士さんと、光魔法部隊の人達が揉めていた。見覚えのある人がいたので声をかける。
「サムソンさん」
「ああ、エミ様。今そちらの建物から出てこられましたか?リナリア様がっ!」
やっぱり、リナリアのことで揉めていたのか。
「そうなの、リナリアが捕えられているわ。私では光の檻が壊せないのよ。誰か助けてあげて!」
サムソンがコクコク頷く。
「それと、ものすごく急いでカップを修理したいんだけど、凄腕の魔道具師とか鍛冶師さん、教えてくれる?」
「え、修理ですか?」
「そうしないと、多分副長さんが、やられるわ……」
我々の会話は、そこにいた全員が聞いていたのだけど、全員の頭から?マークが出ていた。
「エミ、何があった?」
そこに、ルカスとデレクがやってきた。
「簡単に言うと、光魔法部隊の副長さんに死人使いと思われて、死人の軍隊を作れって言われたわ」
「は?」
「木の軍隊ならわかるが」
それなら作れるかも。全員踊るけど。
「それと、リナリアが捕えられているの。奥の部屋にいるから、すぐに助けてあげて。光の檻に入れられているわ」
「なんだとお?」
ドスの効いた声がして、全員固まった。
ギギギと音をたてて音の方を向くと、そこにはリナリアのパパンこと、辺境伯がいた。背景に炎と般若のお面が見えるんだけど。
「サムソン、鍛冶師を紹介してやれ」
「はい」
辺境伯に礼をして、私はサムソンさんと鍛冶師さんのところに向かった。
その際サムソンさんに、バルトルトさんに起きた強敵の話をした。
「なんて恐ろしい敵……」
「そうなのよ」
サムソンさんも日記書いている派かしら。
鍛冶師さんは、城内で武器の製造や修理を行っている。
中には、固有スキルで『修復』を持っている人がいるとのことで、彼のところに行って事情を説明して、急ぎカップを修復してもらった。
「カップ奥さん、大丈夫?」
「エミさま、おかげ様で復活ですう~」
「よかったわね、早くソーサーさんの元に行きましょう」
我々の会話を聞いて、鍛冶師さん、びっくりしていたわね。彼にカップ奥さんが30度の角度でお辞儀していた。
*****
先ほどの建物に戻った。建物の前には数人いただけで、中へと促された。
奥の部屋に入ると、そこには辺境伯やルカス、デレク達がいた。
「リナリアは?」
デレクが指さす方を向くと、そこには土下座する人の姿が。
バルトルトだった。
「日記帳に負けたの?」
「いや、そいつも」
よく見たら、バルトルトの隣にいたのは、日記帳だった。彼も体を45度傾けている。
その前にいたのは、檻に入ったままのリナリアだった。檻の中で正座して彼らを見ている。その目が、非常にすわっていた。
そんなリナリアの横に、光魔法部隊の女性が一人立っていた。
「先ほどから、腰だの胸だの……何言っちゃってるんですか、あんたらは」
「「はいいい」」
バルトルトと日記帳が声を出す。よわーい声を。
「大人ってサイテー」
リナリアが冷めた目で追撃する。バルトルトと日記帳が胸を押さえた。




