表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
53/80

53・ペットがしゃべりました


 ふいに、声が聞こえた。

 

「誰?」

「我はここぞ」

 

 声の方を伺う。それは、箱の中から聞こえてきた。

 

「まさか、動物が喋るなんて」

「木も喋るではないか」

「あ、そっか」

「そこで納得するんかい」

 

 動物にツッコまれた。

 

「箱、開けても逃げない?」

「逃げぬ」

 

 箱を下に下ろして、蓋をゆっくり開けた。動物の姿がはっきり見えた。

 それは。

 

「タヌキ」

 

「「タヌキ」」

 

 もう一度言った。今度はリナリアとハモった。

 

 タヌキだわ、タヌキだわ、確か異世界にはタヌキがいないって話だったけど、タヌキがいるわ。

 

「エミ落ち着いて」

「ごめん、全部声出してた。わかってる、興奮してる」

「我はタヌキでは……」

「いやん、可愛い〜!」

 

 思わず抱っこして頬擦りしてしまった。うぷとか、うぬぬぬぬとかいろいろ声が聞こえたけど、なんか耳から素通りしていったわ。

 

「哀れなタヌキね」

「そう思うなら助けるのだ!」

「エミ、窒息するって」

「はっ、しまった」

 

 タヌキが私の腕の中でピクピクしていた。

 

「だから、隠したんす……」

「キムラサン、判断正しかったわね」

 

 キムラサンとリナリアがわかり合っていた。

 

「んもー、可愛い、サイコー。あんたの名前は、たぬきちね」

「たぬきち?」

 

 タヌキが目をパチパチする。その仕草も可愛すぎる。

 

「そう、たぬきち。可愛い名前でしょ?」

「判断基準がわからぬ」

「んもー、賢いんだからあ〜」

 

 頬をツンツンする。

 

「やめい、我はのう……」

「あ、タヌキって何食べるのかしら」

「雑食じゃないの?」

「私、お菓子持ってたわ。食べる?」

 

 マジックバッグからお菓子を取り出した。昨日のおやつのクッキーだ。

 

「……食べる」

 

 タヌキは器用に両手でクッキーをつかむと、口に含んだ。

 

「うまい……」

「よかったあ〜」

 

 たぬきちは、うまうまとクッキーを食べた。

 仕草が可愛すぎて、倒れそう。

 

「ダメだわ、可愛すぎて、どうにかなりそう」

「そうか?それなら、我が可愛いと皆、倒れるのか?」

「もちのロンよ〜」

「そうか……。それでは、これでどうだ?」

 

 たぬきちが上目遣いで私を見た。

 

「うきゅんっ」

 

 意識が飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ