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50/82

50・キムラサンを探しました

 

 めっちゃ驚いた。まさか上空のリナリアと電話出来るなんて。

 ちなみに受話器は、妖精が光の中に投げ込んで収納していた。ワイルドね。

 

「てっきり妖精さん達が、テレパシーで私達の会話を、伝言してくれるのかと思っていたわよ」

「何それ、めんどくさー」

 

 あ、妖精の目が冷たい。

 

「まあ、確かにスマホがいいなあって、思っていたけどね」

 

 もう1人の妖精と共に、リナリアが戻ってきた。表情は『満面笑み』そのままで。

 

「これ、すごいわ!これなら、下にいる仲間に連絡できるわ!」

「「毎度あり〜」」

 

 妖精姉妹が、ニヤっと笑ったんだけど、なんか、その顔……。

 

「何かしら、背筋が怖いというか」

「何かしら〜、ありがとって言っただけ〜♩」

「だけ〜♬」

 

 ま、いっか。

 

「支払いは、テオのツケでね」

「もちのロンですう〜♬」

 

 テオ、ごめん。出世払いは、無理だわ。なるべくお金は貯めて、手芸に使いたいの。

 いつか、テオに土下座しとこ。

 

 

「それじゃあ、早速キムラサンを探しますか」

「もうキムラサンは森へ行ったの?」

「そうなのよ、今朝も早くにね」

 

 最近のキムラサンは、夜明けと共に出掛けてしまう。

 夕方には帰ってきて、普通に他の木と一緒に立っているから、知らない人が見て、時々悲鳴が上がっている。

 薄暗い森の中に、パンイチの木(顔付き)が混ざっているのは怖い。その悲鳴でキムラサンの帰宅を知る毎日なんだけど。まいっか。

 

「普通なら、そこで踊って誤魔化すくらいなのにね」

「それはそれで嫌だけどな」

 

 そこは本人に聞くしかないわね。

 

「さて、妖精さん。最近のキムラサンの様子、知ってる?」

 

 すると、今までずっと出番がなくて、私の頭の上で寝ていた伝言妖精が起きた。

 

「キムラサンのこと、知ってますがな」

「毎日どこに行ってるかも知ってるの?」

「もちのロンですわ〜♬」

「……もしかして、案内も出来るとか?」

「もちのロンですわ〜♬」

 

 私とリナリアが、目をあわせる。


「「尾行作戦、いらなかったんじゃね?」」

 

 2人でその場に座り込んだ。そんな私達の上を、楽しそうに妖精達が飛び回っていた。

 


 少々反省会を開いた後で、私達は伝言妖精に、キムラサンのところへ案内してもらった。 

 リナリアの秘密基地のある北の森の奥に、毎日キムラサンが向かっているとのこと。私達もそちらに向かった。

 

 森の中に入った途端、早速怪しい物を見つけた。

 

「何これ?」

「怪しい……」

 

 そこにあったものは、看板だった。

 

『立入禁止』

 

「……日本語なんだけど」

「しかも裏に『キムラサンより』って書いてあるわよ」

 

 誰が作ったものかは、聞かなくてもわかる。

 

 看板を無視してそのまま進む。更に看板を発見して、そのまま進む。

 

「これ、道標じゃないわよね?」

「わざと誘い込んでいるとしか思えないんだけど?」

 

 看板の文字は『立入禁止』『入るな危険』『引き返すなら今だ』『出口はあちら』『また来てね』『ご利用ありがとうございました』。

 

「段々温泉地の帰り道に思えてきたんだけど」

 

 『高速道路はこちら』あたりを過ぎたところで、少し広い場所に出た。そこには、以前リナリアが囚われていたのと同じような、狩猟小屋らしきものがあった。

 

「こんなところに小屋なんてなかったはずよ」

 

 地元民リナリアが唸る。

 

「わかったわ、犯人はこの中ね!」

 

 びしっと小屋を指差し、ドヤる。

 

「いや、言わなくてもわかるって」

「なんでよ?」

 

 私は小屋の扉を指差す。そこにあったものは、表札だった。

 

『キムラサン』

 

 おまえ、家建てたんかい。

 

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