49・尾行の相談しました
第一回尾行作戦は失敗に終わった。
現在第二回尾行作戦の打ち合わせ中。なんだけど。
「私、今、みんなで訓練しているじゃない?」
リナリアが自分の状況について相談してきた。
彼女は幽霊という特性?を使って、みんなの役に立てないかと、魔獣討伐の訓練に参加している。
「今回のキムラサンを上空で尾行して見つけられなかった件、普段の訓練でもおんなじなのよ。あと、折角何かを見つけても、飛んで戻って報告しなくちゃいけないから、時間がかかるのよね」
「こういう時にありがたみを感じるわよね、スマホ」
「わかる。普段はネットとかメールしか使わないのに、今使いたいのは電話機能ってやつ」
2人でうんうん頷く。
とは言っても、スマホなんて用意出来ないし。
「あ、そうだわ」
困った時のメルヘン魔法ね。
「メルヘン」
メルヘンサークルが現れて、私達を包んだ。
「何をお願いするの?」
「時給制じゃないといいけど」
とりあえず歌ってみますか。
「妖精さん、妖精さん、私のお願い聞いてほしいの〜♪」
「出てきてほしいの〜♬」
リナリアも一緒に歌い出す。
ずんちゃずんちゃ。音楽と共に、妖精が現れた。
「呼んだか呼んだか、毎度おおきに、時給制〜♬」
「やっぱり〜♩」
いつもの伝言妖精が現れた。仲間も数人連れている。
「時給はテオから貰ってね〜♩」
「へえ、毎度〜♩」
テオ、すまないねえ。
「で、今日は何をするんですかいな?」
「ちょっと、聞きたいことがあってね。例えばなんだけど」
私は少しリナリアと距離をとる。
「こんな風に遠くに離れている人と、会話がしたいのよ。それか、すぐに連絡つけたいの。そんな魔法はあるかしら?」
「すぐに何度も伝言を送るって感じよね」
リナリアが補足する。
「うーん、いくらワシらが優秀でも、そんなに何度も行って帰っては、疲れるのー」
妖精が全員腕を組んで首を傾げる。
「今すぐスマホが欲しいわ」
「わかる。写メりたい」
この可愛さを、目に焼き付けておくしかないわね。
「何してますのん?」
伝言妖精につっこまれて、無意識に2人で妖精達を拝んでいたことに気がついたわ。
「いやつい、可愛くて」
「エミさんは、可愛いが敵ですなあ」
妖精達の顔に、いやん照れると書いてあった。リアルで。
「多分、出来なくはないけどー」
「ホント?」
「お願いできる?」
伝言妖精が唸っている。
「わいらは無理だから、出来る子を紹介しますけど……わしらより、デンジャラスな奴らでっせ?」
「ひいい」
伝言妖精は、光の玉を顔の下から光らせて、笑顔をみせた。それ、怖い角度。
「まあ、仕方ないか。とりあえず、呼んでくれる?」
「へいっ、呼ばれると思って、ここに来てますー!」
「来てますー」
しゃしゃっと我々の前に現れたのは、2人の妖精だった。そういやあんたら、伝言妖精と一緒に来てたよね。後ろにいたよね。
「毎度〜。うちら、双子の妖精ちゃんどえーす♩」
「みんなのアイドル、妖精ちゃんどえーす♪」
緑色の髪の2人の女の子妖精は、笑顔で私達の前に降りてきた。
「2人が伝言を届けるってこと?」
「あら、こちらのお客さん、甘いわあ〜」
「仕方ありまへんわ〜、これだから素人さんは〜」
「何、こいつら」
リナリア、怒っちゃダメよ。こいつらと契約して連絡が出来るようになったら、一番助かるのはリナでしょ?
「そ、それで、どうするのかしら?」
「私達は双子で、心が通じあっているの。だから、お互い心で連絡できるのよ」
「まあ、テレパシーね」
それなら瞬時に連絡が取れるわね。
「ちょっと試してみたいんだけど、いいかしら」
「あら、大事なことを決めていないわ」
ドキ。報酬のことかしら。
これもテオにツケって言いたいけど、まったく関係ないから怒られるわよね。
仕方ない、出世払いで許してくれるかしら。今のところ、まったく出世する予定ないけど。
「ほ、報酬よね」
ドキドキ。
「そ、その前にできるかどうかよ。ダメなら、払わないわよ」
「まあ、その通りですなあ。やってみましょ」
「そうしましょ♪」
全員で外に出た。
「それじゃあ、二手に分かれてみましょ」
「1人私についてきてくれる?」
リナリアが妖精の1人に手を差し出す。双子の1人がリナリアの手のひらに座った。
「か、可愛い……」
「リナリア、不審者になってる」
「はっ、しまった」
コホンと咳をして、
「それじゃ、行くわよ」
と、リナリアが上に飛んだ。近くの木の高さくらいまで上がり、私のほうへ何か言っているが、聞こえてこない。
私はもう1人の妖精に声をかけた。
「ねえ、彼女は何て言ってるのか、教えてくれる?」
「おけー」
双子妖精が両手を前にかざした。そこに光の輪が現れ、何かが出現しようとしている。
上空のリナリア達のところも、同じく光が見てとれた。
「何か繋げているのかしら?」
やがて空間から、手のひらくらいの小さな物が出てきた。
「何これ?」
「え、使い方知らないの?」
「知ってるわよ。昔、おばあちゃんちで見たことあるから。でも、知っているからこその、何これなんだけど」
それを妖精から受け取って、耳に当てる。
「もしもし?」
リナリアの声が聞こえた。
「聞こえる?」
「うん、聞こえる……」
妖精が得意げに胸をそらす。
「これで会話出来るでしょ?」
「「いやこれ、受話器じゃん!!」」




