47・あかりの固有スキルを実行しました
黄昏ていたら、私の視界の右下に、赤い点滅が見えた。
「私のヘルプマーク?」
とりあえず、ぽちって押してみた。
「やあ、みんなのアイドル、ヘルプマークちゃんだよっ。お困りの様子だね!」
「ヘルプちゃん。とりあえず野球道具は出てきたんだけど、これからどうすればいいのかわからないのよ」
「おやあ、君ならわかるだろう?有言実行のユーじゃないか」
「そうね。とりあえずやってみればいいのか」
「その粋さ、ベイベー!」
「ひかりちゃんのヘルプって、変わってるよね」
普通のヘルプって、どんな感じなのかしら。
まあ、とりあえず、やってみるしかないわね。
「野球やってみる?」
「うーん、まずは肩慣らしだよね」
「バットで攻撃してみる?」
「なんかトラウマになりそうだから、それは避けたい」
「わかる」
「それじゃあ、無難にボール投げてみよっか」
「そだね」
あかりはグローブを手に取りはめてみた。反対の手で表面に拳を当てる。
「うん、馴染んでいる。って、これ、いつも使ってたグローブだよ」
「そうなの?」
「野球道具、日本から取り寄せしたのかなあ」
「それか、コピーね。自分の中のイメージの野球道具を、創造したのかもしれないわね」
「そっか」
「それなら、道具は大丈夫ね。投げてみたら?」
「うん」
ボールを拾うと、あかりは訓練場に設置してある、弓の練習場へ向かった。近くにいた騎士さんに確認してから、的を見る。
「かっ飛ばせー、あかり!」
「ひかりちゃん、それ違うから。逆だから!」
私、野球知らないもん。
んもー、ひかりちゃんだなあと、あかりが笑う。うん、これで肩の力は抜けたよね。
「よし」
あかりは的に向かって軽く、ボールを投げた。
そう、軽く投げたのだ。その瞬間、何かの力が加わった。
「え」
あかりの手から解き放たれたボールが、弾丸のように飛んだ。誰の目にも見えない速度だった。
「ボールが消えた?」
「なんか、すんごく飛んだ気がするけど?」
騎士さん達も的を凝視する。
パキッ。
嫌な音がした。
「「「あーっ!!」」」
的が、消えた。
「え、的がないわ。なんか、ふわーっと消えたわよね?」
「うん、あ、ひかりちゃん?」
「何?」
「う、後ろの木が……」
「あ」
的の後ろにあった木が、抉れていた。その後ろの木も。
「もしかして……」
勇者固有スキルの野球って。
「そのまんま、野球でいいんだ……」
とりあえず、戦えそうね。
「まずは、味方に当たらないようにしないと」
「ひかりちゃん、怖いこと言わないで!」
騎士さん達が、引いて行った。
「逃げないでー!」
あかりの叫び声で、更に全員逃げた。




