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45/82

45・ステータスを読んでみました


 翌日、お互い目が腫れていた。仕方ないわよね。

 結局昨日は、遅くまで語り明かした。今までどうしていたのか、とか。

 私は急に異世界に飛ばされて、周りの人に助けてもらって、冒険者になった。たまたまここに来て、お世話になっているって。

 

 嘘だけど。

 もう転生済みなんて、絶対言えない。

 あかりが半年間行方不明になった時、つまり異世界から日本に帰った時、あの子はここでの記憶を失っていた。だけど、それでも悲しませることはしたくない。

 

「それで、とりあえずあかりの現在のステータスを知りたいんだけど」

 

 今日も訓練ってことで、2人で昨日過ごした訓練場に来ていた。

 まずはあかりの現状を知りたいわよね。固有スキルについて詳しく書いてあったら、そこを練習すればいいだろうし。

 だけど、あかりは、くるっと後ろを向いた。これ、言いたくない時のあの子の癖なのよね。

 

「プライバシーなら配慮するけど?」

「というか、ステータスって見せること出来るの?」

「自分で許可すればね」

「やだ」

「それじゃあ、確認出来ないでしょ?」

「見せたくない〜」

「仕方ないわね、メルヘン」

 

 はい、メルヘン魔法起動〜。

 

「えっ、ヤダヤダ、見ちゃヤダ〜!」

「だから、プライバシーには配慮するって言ったでしょ」

 

 メルヘンサークルが私達を包み込んだ。

 

「あかりのステータスを〜♬本にして出してちょうだい〜♬」

「そんなことできるの?」

「知らんけど〜、プライバシー配慮でお願い〜♬」

 

 すると、歌に合わない、怪しい音が聞こえてきた。

 ズゴゴゴゴ………。

 何?

 あかりと私の間の地面に、長さが20センチくらいの黒いラインが見えた。

 

「なにこれ?」

 

 2人で距離をとる。そこから黒い線が盛り上がり、地面からゆっくり上がってきた。

 線と思っていたものは、本だった。それがそのまま上に浮かびあがった。

 

「もしかして、これがあかりのステータス本……」

「すっごくやばいステータスにしか見えないじゃん」

 

 本の表紙には『あかりのステータス』って、くっそダサく書いてあった。

 

「ダサい、すごくダサいよっ!ひかりちゃんのセンス、どうなってるの?というか、私が闇の心しか持ってないみたいじゃん!」

「さて、読んでみようか」

「やめてっ!」

 

 あかりが本を奪いとるように掴んで、ダッシュで逃げた。とは言っても、5メートルほど離れた木の側に。そこで本を少しだけ開いて中を読んでいる。

 

「あれ?」

「どう?読める?」

 

 ゆっくり近づいていくと、次第にあかりの顔に安堵の表情が浮かび、私に本を差し出してくれた。受け取って中を読む。

 

「すごいわ、メルヘン魔法」

「そうだね、プライバシー配慮サイコー」

 

 中身はほとんど黒塗りだった。

 

「意味ないわーこれ」

「あ、でも、固有スキルのとこは読めるじゃん」

「ホントね」

 

 あかりの固有スキル、野球か。何が出来るのかしら。

 

『固有スキル・野球。野球に関することが出来る』

 

「これで、わかるかーっ!」

「私のプライバシーがっ!」

 

 本を投げた私は悪くない。

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