45・ステータスを読んでみました
翌日、お互い目が腫れていた。仕方ないわよね。
結局昨日は、遅くまで語り明かした。今までどうしていたのか、とか。
私は急に異世界に飛ばされて、周りの人に助けてもらって、冒険者になった。たまたまここに来て、お世話になっているって。
嘘だけど。
もう転生済みなんて、絶対言えない。
あかりが半年間行方不明になった時、つまり異世界から日本に帰った時、あの子はここでの記憶を失っていた。だけど、それでも悲しませることはしたくない。
「それで、とりあえずあかりの現在のステータスを知りたいんだけど」
今日も訓練ってことで、2人で昨日過ごした訓練場に来ていた。
まずはあかりの現状を知りたいわよね。固有スキルについて詳しく書いてあったら、そこを練習すればいいだろうし。
だけど、あかりは、くるっと後ろを向いた。これ、言いたくない時のあの子の癖なのよね。
「プライバシーなら配慮するけど?」
「というか、ステータスって見せること出来るの?」
「自分で許可すればね」
「やだ」
「それじゃあ、確認出来ないでしょ?」
「見せたくない〜」
「仕方ないわね、メルヘン」
はい、メルヘン魔法起動〜。
「えっ、ヤダヤダ、見ちゃヤダ〜!」
「だから、プライバシーには配慮するって言ったでしょ」
メルヘンサークルが私達を包み込んだ。
「あかりのステータスを〜♬本にして出してちょうだい〜♬」
「そんなことできるの?」
「知らんけど〜、プライバシー配慮でお願い〜♬」
すると、歌に合わない、怪しい音が聞こえてきた。
ズゴゴゴゴ………。
何?
あかりと私の間の地面に、長さが20センチくらいの黒いラインが見えた。
「なにこれ?」
2人で距離をとる。そこから黒い線が盛り上がり、地面からゆっくり上がってきた。
線と思っていたものは、本だった。それがそのまま上に浮かびあがった。
「もしかして、これがあかりのステータス本……」
「すっごくやばいステータスにしか見えないじゃん」
本の表紙には『あかりのステータス』って、くっそダサく書いてあった。
「ダサい、すごくダサいよっ!ひかりちゃんのセンス、どうなってるの?というか、私が闇の心しか持ってないみたいじゃん!」
「さて、読んでみようか」
「やめてっ!」
あかりが本を奪いとるように掴んで、ダッシュで逃げた。とは言っても、5メートルほど離れた木の側に。そこで本を少しだけ開いて中を読んでいる。
「あれ?」
「どう?読める?」
ゆっくり近づいていくと、次第にあかりの顔に安堵の表情が浮かび、私に本を差し出してくれた。受け取って中を読む。
「すごいわ、メルヘン魔法」
「そうだね、プライバシー配慮サイコー」
中身はほとんど黒塗りだった。
「意味ないわーこれ」
「あ、でも、固有スキルのとこは読めるじゃん」
「ホントね」
あかりの固有スキル、野球か。何が出来るのかしら。
『固有スキル・野球。野球に関することが出来る』
「これで、わかるかーっ!」
「私のプライバシーがっ!」
本を投げた私は悪くない。




