44・メルヘン魔法を披露しました
「メルヘン」
メルヘン魔法を呼び出す。光り輝くメルヘンサークルが、私とあかりを包みこんだ。
「え、何これ。この光がメルヘン魔法ってやつ?」
「そうよ〜、メルヘン魔法の始まりよ〜♫」
「まさかメルヘンって、ミュージカル?」
「妖精さんも出てきてちょうだい〜♫」
「ほいほーい♫」
手のひらサイズの小さな人が、複数空に浮かんだ。背中に羽が生えていて、虹色に輝いている。
キムラサンもステップを踏みだす。
「オイラは、木だけど、ただの木じゃない〜♫ズバリ名前は♫」
「「「キムラサン〜♫」」」
「え、ダサ」
あかりのツッコミをスルーして、キムラサンが軽快に踊りまくる。
「こちらは伝言してくれる妖精さんよ〜♫」
「「「時給制〜、時給制〜♫」」」
「ハーモニーが、現実に引き戻すんだけど」
あかりのツッコミを無視して、みんなががんばって歌う。他の妖精や、初対面の木も数体やってきて、踊りだした。
「いつの間に、バックダンサー従えていたのよ」
キムラサンが、最近森に行った理由がわかった気がする。
「みんなー、メルヘン魔法の一座なのさ~♪歌と踊りが大好きで、それで事件解決なんでもできるう~♪」
「「「固有スキルメルヘン魔法に、お・ま・か・せ~♪」」」
ジャーン。ブラボー。
「まあ、こんな感じね、メルヘン魔法」
「一応聞くけど、要するにどういう魔法なの?」
「まあ、メルヘンって唱えると、メルヘンチックな出来事が起きるということね」
「……私さ、自分の固有スキル、恥ずかしいなって思っていたんだけど、これ見て安心したよ」
「……妹よ、お兄ちゃん、泣いていい?」
まあ、とりあえずあかりが自信を持ってくれたのなら、よしとしますか。
「じゃあ、この勢いのまま、カミングアウトしちゃいなさいよ」
「わかった」
あかりが大きく息を吸い込む。
「私の固有スキルは『野球』〜!!」
……野球?
「バットで戦うの?」
「言うと思った……」
あかりの固有スキルを聞いて思ったこと。
「さすが、双子よね」
「変な固有スキルう〜」
2人で吹いた。そして、大声で笑った。
遠くから騎士さん達が、恐々こちらを見ているのがわかる。
ルカス達も2階の窓からこちらを見て笑っていた。
妖精達が私達の上空でペンライトのように、色を変えながらクルクル回っている。
キムラサンは私達の横で、キレッキレに踊っていた。
「大丈夫、あかりならやれるって」
「出来るかな、野球だよ〜?ぷぷっ」
「メルヘン魔法っていう援軍がいるのよ。大丈夫、任せなさいって」
「うん、お兄ちゃん」
そうして2人でハグをして、互いの涙を拭った。




