41・可能性を見出しました
呪いの正体は、自分を縛る心の声ってことかしらね。
「デレクはこの話を知っていたの?」
「ああ、聞いてはいた。だが、それが留学の理由だとは知らなかった」
「デレクに言ったんだ。留学したい、少しハメを外して、冒険者になりたいってね」
「私が王子付きの騎士になったのは、その事件の後だ。だがそれをご自分のせいと思っていたとは」
デレクも衝撃を隠せないようだ。
「ルカスのせいじゃない。子供だったら普通、親に褒められたら嬉しいよね」
「みんなそう言うよ。私もわかっている、自分のせいじゃない。でもね。あの時私が笑わなかったらって、どうしてもそう考えてしまうんだ」
「それが呪いの正体。自分で自分を縛り付けている。目立たないように、従順であるように」
妖精達が再びルカスの上に乗り始めた。ルカスもまた腕を伸ばして妖精を受け止める。妖精達は皆、泣いていた。
「あんた、思ったより苦労しているんだな〜」
「元気出すんだよ」
「がんばー」
妖精の応援で、私ももらい泣きしそう。
「で、どうすれば、呪いが解けるんだ?」
あ、場を読まないデレクめ。
「少しは空気を読んで、せめて泣く真似くらいすれば?」
「そういうの、無理」
デレクらしいけど。
「妖精さん、何か知恵はないかしら」
「うーむ」
妖精さん全員が腕を組んで首を傾げた。何これ可愛すぎ。
「写メリたい」
「なんだそれは」
「そうね、絵に描いて飾っておきたいということね」
「わからんではない」
デレクは芸術的な素養はないのかしら。まいっか。
「ところで質問なんだけど」
小さく手をあげてみた。
「なに、エミール」
「あ、そこはエミでお願いね」
「そうだったな。で、何が聞きたいんだい?」
「その、サラさんだけど、神殿で診てもらったの?」
神殿には、聖女聖人様がおられる。彼らは医師では治せないものも、治療できるって聞いたことがあるんだけど。
「もちろん頼んだ。そのおかげで命は助かったわけだが、完治には至らなかった」
「聖魔法でもダメなことはあるのね」
すべてが魔法でOKという訳にはいかないものなのね。でも、
「ねえ、魔王の出現のために、今冒険者やら沢山こっちに集結しているわよね。もちろん医師やら、それこそ聖女聖人様等も来られるわよね」
「ああ、今週神殿から多くの方々が来られる予定……」
ルカスとデレクがはっと顔をあげる。
「そう、その時にもう一度診てもらうのは、どうかしら」
「だが、そんなこと……」
「いや、エミの言う通りだ」
デレクも賛同する。
「ダメかもしれないが、やってみる価値はある」
「そうよ。一つくらい自由にやってもいいと思うわよ」
ルカスが立ち上がり、窓辺に行く。空を見上げたまま、しばらく動かなかった。
「そうだな」
その声は、少し震えていた。
だが、誰も何も言わなかった。




