37・伝言妖精が帰ってきました
伝言妖精が帰ってきた。
「マジお疲れちゃんだぞー。結局ルカスって奴は…おお、ここにいるやんけ〜♬」
見つけられなかったんかい。
「そんじゃ伝言届けるかあ〜」
「いや、私から言ったから、もう大丈夫よ」
「それでも、弟子から料金もらったからなあ」
「弟子って、テオのこと?」
「そう、お茶をもっと美味しくなるコツを教えてやったんじゃ〜♬」
「おお、師匠」
思わず妖精と握手を交わす。私の指だけど。
「後で私にも配合教えてね」
「もちのロン〜♬伝言届けられなかったし」
「どうやら名前が違ったみたいなの」
「うんにゃ、名前で探して伝言を届けるんじゃない。我々は魂で相手を探す」
妖精が腕を組んで考えはじめた。
「ということは、ルカスでも王子でもどっちでも探すことはできたってこと?」
「うーん、そうなんだけど…」
妖精がルカスの周りをグルグル周り始めた。
「え、エミール、これは妖精なのか?」
「これが謎の固有スキルなのか?」
デレクも恐る恐るルカスに近づいて、妖精を見る。
やがて妖精は、ルカスの頭にちょこんと到着した。
「そうか、このにいちゃん、呪われてるんや!」
「「「ええっ?」」」
まさかの呪い発見?
「固有スキル発表会の予定が、なんだか予期せぬ展開になっていったわね」
「わ、私が呪われているっていうのか?」
「そんなことが…」
2人とも呆然としている。
でも、王子様とか雲の上の人なら、呪いあるあるじゃないの?
「ま、いっか。んで、テオからなんか伝言あった?」
「こいつ、サラッと流したな…」
「やっぱり、エミール、まだ怒ってる?」
「おお、我が弟子から伝言~。『妖精メールありがとな。正直エミールなら川に落ちて死んでもおかしくないと思っていたから、諦めてたわ。わりーな。ははっ』」
「…あいつ、許すまじ」
「テオって、怖いもの知らずだよな」
「『んでも、生きてて本当によかったよ。情報サンキュー。俺もそっちに向かうわ。でも、魔王が目覚めそうだって情報もあるし、アッコンチ領もなんかきな臭いし。少し情報集めてから動くよ。んじゃ、またなー』以上~」
「妖精さん、ありがと」
「毎度〜」
妖精はルカスの頭上から上に飛んで、そのまま消えた。
「あ、呪いのこと聞き忘れた。まいっか」
「いや、良くないから!」
「なんかこいつばっちいけど、まいっかー的で、嫌だから!」
「めんどくさいわねえ」
「「そうじゃない!」」
慌てる2人を見て、少し気分がほぐれた。このくらいにしてやりますか。
私の笑顔を見て、デレクが軽く頭を下げた。
「ごめん、エミール。本当に悪かったよ。本当のこと、言えなくて」
「エミール、すまない。身分を隠さないと留学できなくて」
「ねえ、もしかして、テオはこのこと知ってた?」
2人が苦笑いを浮かべる。
「すぐに、バレた。あいつ情報が命だし」
「そもそも私の態度で不審に思ったらしい。私は商人の息子って設定でき来たのに、商売人の匂いがしなかったからだと」
「さすがテオね。んじゃ、3人で騙していたわけか…」
「え、エミールさん」
「ゆ、許して、エミール様」
「どうせ、気がつきませんでしたよ。さて、仕事の続きに行こうかな」
「待って、お願いっ。話を聞いて!」
「悪かった。エミールならバレないって思ってて悪かった!」
「デレクっ、本当のこと言うな!あ…」
「…メルヘン」
私、今、最高にいい笑顔だという自覚があるわ。
「キムラサン、今すぐ来て、こいつらに礼儀作法を教えてやって」
「ホイホイさー!!」
速攻でキムラサンがやってきた。
2人の悲鳴が轟いた。




