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35/48

35・再会しました

 

 驚いたわ。

 むっっちゃ驚いたわ。あかりが目の前にいる。どうしてこんなところに。

 

「どうしてわかったの?」

「だって、この刺繍、ひかりちゃんのオリジナルキャラの、たぬきちだったもん」

 

 そう、私は勇者の訓練服に背守りの花のアップリケと一緒に、タヌキの顔を刺繍した。

 それは私のオリジナルキャラ『たぬきち』。

 そう、タヌキ。なぜか皆に不評だったけど。現世でワンチャンないかなと思って、こっそり縫い付けた『たぬきち』。

 

「こんな変なキャラ縫うのって、ひかりちゃんしかいないじゃん」

 

 泣いた。

 

 

 ここでは何ですのでと、我々は他の部屋に連れて行かれた。

 あかりは私にべったりで、なかなか泣き止まなかった。背中をポンポンと軽く叩いてあやしながら、移動する。

 あまりにも注目を浴びて、とっても辛かったわ。

 

 恐らく関係者部屋なのかしら。私が来たことなかった部屋に案内されて、2人でソファに横並びで座った。

 

「それで、どうしてここにいるのよ」

「ひかりちゃんこそ」

「まあ、私の場合はまあ、色々ね」

 

 あかりをまじまじと見て、ふと気がつく。

 

「ねえ、あかり。あんた今何歳?」

「何急に。同い年でしょ、双子なんだから」

 

 まさかねえ。でも可能性高い。

 

「あんた、もしかして15歳?」

「そうよ。そういうひかりちゃんは…なんか老けた?」

「失礼ね」

 

 そう、年齢差を感じてしまった。

 そうか、今が()()()なのね。

 

「あかり、落ち着いて聞いてほしいんだけど」

「なあに?」

 

 すうと息を吸う。

 

「あんた、15歳の時に行方不明になったのよ。半年もね」

「ええっ?」

「多分、今がその行方不明期間なんだわ」

「ってその言い方、ひかりちゃんは私にとって未来の人ってこと?」

「うーん、そんな感じ?」

「大人のひかりちゃんと対面しているのか〜不思議、というか、変〜」

「何よ、失礼ね」

 

 ふふふとあかりが笑った。ようやく笑ってくれた。

 そうよね、急に知らないところに連れて来られて、辛かったわよね。

 私は再びあかりを抱きしめた。よかった、無事で。

 

「ところでそろそろ話してもいいかな」

 

 そうだ、勇者関係者が一緒だったのよね。

 っていうか。

 

「そういえば、あかりが勇者ってこと?」

 

 私達は双子だけど、全然似ていないタイプ。二卵性双生児ってやつね。

 男女だから余計に違いが明白で、私は母に似て背が高かった。あかりはパパに似て、ちんまりタイプ。

 こんなにちんまい勇者だなんて。

 

「そうか、あんた達が、あかりを誘拐したのね…」

 

 なんだか怒りが湧いてきたわ。許せない。

 先ほど話しかけてきた方を、睨むように見た。

 

「…あら?」

「どったの?ひかりちゃん」

 

 そこにいたのは、知っている顔だった。

 

「ねえ、あかり、この人って…」

「うん、王子様だよ。第四王子のメインデルト・キールス王子。その隣は騎士のデレクさん」

 

 そう、そこにいたのは、私の学園時代の友人達だった。

 ルカスと、デレクだ。

 

「うーん、そういえばあかり、あんた訓練の時間よね」

「そうだけど」

「積もる話は後にして、とりあえずお互いやることやらないと」

「ええー?」

「文句言わないの。勇者になっちゃったんでしょ」

「わかっているけど」

「ね」

 

 あかりは渋っていたけど、ちらりと王子を見る。王子が頷くと、もう一人の騎士があかりの元へ行った。あかりはゆっくり立ち上がってそちらへ行く。

 

「ひかりちゃん、いなくならないでよ」

「わかってるって、後でゆっくり話しましょ」

 

 渋々といった形で、あかりは騎士と部屋を出て行った。

 

 部屋に残ったのは、第四王子のメインデルト・キールスと呼ばれたルカスと、もう1人の騎士・デレクだ。

 

「さて、私の大切な妹を誘拐した件と、もう一つ話したいことがあるわ」

 

 私はゆっくり王子の方を向いて言い放つ。

 

「貴様、勇者殿の知り合いと思って大人しくしていれば、なんだその態度は!王子に向かってなんという無礼な」

「待て、デレク」

「しかし」

 

 掴みかからんばかりのデレクを、王子が制する。

 

「何か言いたいことがあるんだよね。君は何者だ」

 

 私はゆっくり深呼吸する。

 息を吐いて気持ちを落ち着かせようとする。だけど、なかなか冷静になれないわね。

 

「仕方ない。メルヘン」

 

 メルヘン魔法が発動して、光のサークルが私を包んだ。

 

「なにっ?これは魔法か?」

 

 デレクが叫んで王子の前に立った。

 

「私を元に戻してちょうだい」

 

 光のサークルが私の下から上に流れる。光が消えて、私は自分が元に戻ったことを理解した。

 目に前の2人が、驚いた顔をして私を見ていたから。

 

「エ、エミール?」

「久しぶりね。ルカス、デレク」

 

 そして、ものすごくしっかり笑顔を作った。

 

「で、王子様って、どういうこと?」

 

 目の前の2人が、怯えていた。

 

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