31・パッチワークでポーチを作りました
私の思い出話をお茶請けに、まったりお茶会をしてから、妖精さんたちは旅立って行ったわ。頼むわね、伝言。
「妖精のメッセンジャー、儲かるなら、リナリアのパパ達のお仕事手伝ってくれそうよね」
「値切るのが上手い騎士はいたかしら」
なんだか、無理っぽい気がするけど。
「さて、手芸店の戦利品の確認をしようかしら」
「何を買ってきたの?」
マジックバッグから、買ってきたものを取り出す。
「じゃーん、見てみて〜」
「裁縫道具と、ハギレ?」
「まあ、最初だからね。少しずつ増やしていく計画よ」
「私の前世の知り合いが手芸をする人でね。材料だけが山ほどある人だったけど」
「どき」
「お店に行くと、ついつい買っちゃうんだって。作っても途中で挫折して、材料だけが増えるという」
「どきどき」
「その路線は気をつけてね」
「はい」
手芸好きあるある。
この世界は、前世よりは不便に見えるけど、その実、結構普通に暮らせる。乗り物関連はまだ開発されてないけど、上下水道は完備されている。泣けるほどありがたい。
それもこれも、恐らく私以外にも前世の記憶持ちがいたおかげね。
なので、服飾関連も充実している。染色も多彩で、いろんな色の布を買うこともできるというわけ。刺繍糸も多色ですっごくうれしい。
だけど、こっちには前世ほどの手芸の種類がないのよね。生活に密着したものだけ。
これからは趣味の時間があるのが当たり前の世の中になってほしいわ。
今回思ったよりもハギレが手に入ったことから、パッチワークを始めようと思う。
パッチワークは、いろんな形に切ったハギレを縫い合わせて1枚の布にして、それを薄い綿と一枚の布で挟んで作るもの。
大きい作品は、ベッドカバーとかタペストリーにもなるわね。小さいものは、ポーチとかバッグ、クッションカバーもいいかも。
パッチワークには型のパターンがあって、四角三角円形とかの型紙を使う。その小さな型紙で布を切り、つなげていくのだけど、色の組み合わせも楽しいわね。同色系もいいけど、グラデーションで色を徐々に変化させるのも最高。
「まずはポーチでも作ってみようかしら」
さあ。楽しい手芸の時間よ。
まずは色の組み合わせを考えて。あとはパターンね。今回は久しぶりだから、四角にしましょう。
この世界は紙が豊富にあるから助かるわ。羊皮紙で型紙は辛い。
近くにあったメモ用紙を使って型紙を作る。型紙とは言っても、ただの正方形。
でもこれで十分。
「あとは切り取るだけ」
正方形の型紙を布に当てて、鉛筆で印をつける。この世界は流石にチャコペンシルはないから、仕方ないわね。
「鉛筆があるだけ最高よね」
沢山の四角い布を作った。これを色のバランスを見ながら縫い合わせていくの。
今回は久しぶりだから、色の冒険はしないで、控えめにしましょう。白っぽい布と緑の布を交互に組み合わせて長方形に縫い合わせていく。市松模様ね。
これに薄い綿を間に、同じサイズの布で挟む。これをしつけ糸で固定して、キルティングという作業をするの。要するに、縫い合わせていく作業ね。
その縫い方もいろんなパターンがあるんだけど、今回はシンプルに、正方形の対角線に沿ってチクチク縫っていく。右下から左上に向かって。両方はやらなくていいの。
それが終わったら、一枚の綺麗な布が出来るわけ。これを使ってポーチにすると。
誰か、ファスナーを発明してちょうだい。ないから、ボタンで留めるタイプにしたわ。これで、ポーチの完成ね。
これ、一週間かけて作っているのだけどね。もちろん、繕い物の仕事はちゃんとやったわよ。時間の空いている時に、パッチワークをしてただけ。
楽しかったわ〜。
「エミ、私の友達なんだけどね。手芸好きで、やると止まらない人でね」
「どき」
「作品が完成したときは、本人ボロボロでね。肩とか腰とか」
「どきどき」
「少しは休みなさいよ」
「はあい」
手芸好きあるある。
パッチワークの説明は、超ざっくりです。すみません。




