表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/16

3・木と遭遇しました

 川から這い上がって、ゼーゼーハーハー息をはく。つらかったわ、マジ死ぬかと思ったわ。

 まだ頭は混乱していたけど、ゆっくり息を吐きながらあたりを見回した。

 

 私が今いるところはわからないけど、元は婚約者の領地へ呼ばれて来たところからはじまっている。義父となるアッコンチ侯爵から、婚姻前に領地へ招待されたのだ。

 その時に川で移動するからと船に乗せられて、そのまま簀巻きにされたと。


「ってことは、侯爵もグルか。あんのタヌキ親父〜」


 だが、なぜ私を殺す必要があったのだろう。


「こんなに普通なのにね。へ、へ、へっくしょい!」


 そういえば、ずぶ濡れで、風邪ひいて死にそうな運命からも免れていなかったわ。

 今いる場所がわからないから、本当は川沿いに進むのがセオリーかもしれないけど、追手が来ないとも限らない。私は仕方なく隣の森の中へと足を進めた。どこか隠れるところを探さないと。

 とりあえず風魔法で着ている服を乾かすことに。火魔法も混ぜれば乾きも早いわよね。武器は取り上げられていたし、頼りになるのは通常使用できる魔法と、怪しいスキルだけか。

 

 メルヘンって、どういう魔法なんだろう。あの時、私の周りを円を描くように光に包みこんだわね。その中は波も穏やかになった。魚が、ゆるキャラになった。そして、私を助けてくれた。


「これを使うと、動物が助けてくれるってこと?」


 疑問符が頭部からザクザク出て来そうな気分だが、こればかりはね。


「試してみましょう」


 私は近くの木を見つめながら、


「メルヘン」


 と唱えてみた。また私の周りが光出した。

 ずんちゃずんちゃ…

 きたよ、歌が聞こえてきたよ…


「やっほ、やっほ、おいらは木ー!」

「まんまやないかーい」


 速攻で目の前の木につっこむ。予想通り、私が見つめた木が3頭身のゆるキャラに変化していた。


「お困りですかなー、そこのイケメーン〜♪」

「まあ、紳士な木ですこと」


 褒められて悪い気はしないわ。素直な木ね。


「私、逃げておりますの。どちらへ向かえば助かるかしら」

「それは、困った問題だー♫」


 ずんちゃずんちゃ。

 木が踊ってターンする。

 よく見たら木が増えている。みんなでダンスを始めたんだが。


「右かーい」

「いや、左よーっ」

「どっちが、正解、きーみーのためー♪」


 寒いから、早くして。

 最初に聞いた木が、中央に躍り出る。彼をスポットライトが照らす。


「そー、おー、だー」


 くるるるるる。びし。


「まっすぐ進めば、辺境伯領。ここは安全な土地なのさー♫」

「おおお、領主はいい人、みんないい人、安心してすすめ〜♪」


 じゃーん。

 とりあえず、拍手しておこう。


「ありがとう、まっすぐ進むわ」


 木が道を開けてくれたので、そこを走って進むことにする。

 ゆるキャラたちに見送られ、私はまっすぐ進んだ。

 

 急いでいたから、最後まで歌が聞こえなかった。


「気をつけてね」

「気をつけてね」

「ここは、魔の森〜♩」

「狼でるよ」

 私がいなくなった場所は、光が消えて、元の森へと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ