29・伝言妖精さんを呼び出しました
城内で借りている部屋に戻った。
その時にはリナリアは第二形態に戻っていたから、普通に城内に戻ることができた。でないと、不審者扱いだよね。
今度リナリアも朝会で、
「第三形態の私よ、覚えなさい〜!」
「へい、姉御!」
って、やるんでしょうね。
「で、冒険者ギルドに行かなかった理由なんだけど、ギルドカードの更新は後でもいいかなと思って」
「まあ、急ぐ話じゃないものね。旅に出るときで十分だし」
「そうなのよ。あと、依頼のほうは、メルヘン魔法でなんとか出来ないかなって思ったのよ」
「なるほど、具体的には?」
「妖精さんに、手紙を届けてもらえないかなって。だって、考えたら私は死んでることになってるし。相手先は私が冒険者ギルドに加盟していることは知ってるから、そっち経由でもいいんだけど、秘密が守れるかというと心配じゃない?」
「それもそうね。でも、そこまで万能な魔法なのかしら」
「それよ」
私は指をパチンと鳴らした。
「ある意味お試しよね」
「キムラサンに運んでもらうという手もあるんじゃない?」
「行く前に捕まりそうで…」
「ああ…」
2人とも遠い目でキムラサンの行く末を見た。
見えたわ。不審者枠で捕まって、牢屋で気にせずまったりぼーっとしている姿が。
「それじゃあ、試してみますか。メルヘン」
メルヘン魔法を呼び出す。光の輪が部屋に広がった。
「妖精さーん、私のお願い聞いてほしいのー♬」
ずんちゃずんちゃ。音楽が流れてきた。
それと共に、小さな光が幾つも私達の前に現れた。次第にそれが羽のある小さな人の姿に変わっていく。
「呼んだかー、呼んだかー。わしら時給制ー♬」
「なんて現実的なー♬」
「呼ぶ相手を間違えたんじゃね?」
「お願い、妖精さーん。私の友達に、お手紙届けてほしいのー♬」
「ええけど、高いでー♬わかっているんかーい♬」
「大切なー、大切なーお友達にー、私の無事を知らせたいのよー♬」
その途端、妖精さんの動きが止まった。あら、フリーズ?
「と」
「と?」
「友達?」
「そうよ友達」
妖精が一斉にその場でくるくる回り出した。それと共に光が色を変える。赤や黄色、キラキラゆれて、ペンライトみたい。
そして再び歌いだした。
「友達想いのやつだったんかーい♬」
「そうなのよー、大切な友達なのよー♬」
「わかったー、格安で引き受けてあげるううう〜♬」
「「結局金取るんか」」
よく考えてみたら、まだ手紙を書いてなかったから、待ってもらおうとしたら、
「伝言のほうが重くないから、格安でっせ♪」
と言われて、そっちになった。
「それじゃあ、ガーデン領にあるマイヤー商会のテオに伝えて欲しいの。『私は殺されかけたけど、生きている。でも帰らない。これからガーデン領は、弟が継承する。だが背景にアッコンチ侯爵がついている。早めに逃げたほうがいい』それでわかると思うわ」
「こっちに来いって言わないの?」
「あっちは凄腕の商人よ。危機管理は私以上だから、大丈夫」
「そうね、エミ以上なら安心ね」
「なんか、泣けるー♪」
「伝言は以上でいいんかーい♪」
「もちのろんよ〜♪あ、居場所がわからない人にも伝言送れるのかしら〜♪」
「追加料金かかりますぅ〜♪」
「出費がイタタ〜♪」
「値切れませーん♪」
「…まあ、仕方ないか。友人のルカスにも伝えてほしいの。私が生きてるってこと。ってこれだけで相手や居場所もわかるの?」
「わいとエミさんの仲だから〜♬以心伝心大丈夫〜♬」
「そー、れー、なー、らー♬まけて♪」
「あきまへん♪」
「そこんとこ♪」
「まだまだ♪」
値切りの歌が、しばらく流れ続けた。




