25・天職に転職しました
リナリアに連れて行ってもらった場所は、洗濯物を管理する所。城の巨大なランドリールームって感じかしら。服やシーツなどの洗濯と保管管理を行っている所で、ここではまとめて『洗濯室』って呼んでいるらしい。
「ここに何の用なの?」
「戦闘服って、結構破れたりするんじゃない?」
「まあ、そうね」
「それの繕いを手伝おうかと思って」
「手芸というより手仕事的な」
理由とかどうでもよくって、正直前世を思い出してから、手芸をやりたくてやりたくてむっちゃやりたくて我慢出来なかったのよおおおお。
「本音が漏れてるわよ」
「はっ」
リナリアに笑われたけど、仕方ないよね。
「お願い、縫い物しないと壊れる体質なのよ」
「大丈夫よ、多分仕事は山ほどあるわ」
洗濯室のドアを開け、誰かいるー?とリナリアが声をかけた。
部屋に入ると、複数のテーブルと椅子が見えた。ここはどうやら休憩所のようだ。奥から恰幅の良い女性が出て来た。
「おや、お珍しい。お嬢様かい」
「あら、リンドがいるなら話が早いわ」
貫禄のある年嵩の女性。リーダーだろうか。
「エミ、こちらは洗濯室のリーダーのリンドよ。リンド、こちらは私を助けてくれたエミ。よろしくね」
「リンドさん、よろしくお願いします」
軽く頭を下げると、リンドさんがあわあわして止める。
「貴族様が、頭を下げないでくださいよ」
「そう?」
「リンド、繕い物の仕事って沢山あるの?」
リナリアの問いに、リンドはぶんぶん頷く。
「そりゃ山ほどありますよ。あいつらですよ。毎日毎日破ってきやがって、少しは加減をしろと…」
「まあまあ」
リナリアが慰める。
「たくさん、あるのね!」
「エミ、目がやばいって」
あら、どうしてかしら、2人がドン引きしているわ。
「ま、まあ、手伝ってもらえるなら、ありがたいですがね…」
リンドが部屋の奥に案内してくれた。
奥の部屋はアイロン室だった。何人かが作業をしていて、部屋が蒸し暑い。
そこを過ぎると、がらんとした広い部屋が。上部に紐があるから、雨の時に洗濯物を干す場所だろう。
そこを通りすぎて外に出た。そこでは、多くの女性が洗濯をしていた。井戸を囲んでワイワイ楽しそうに会話を楽しみながら。
そこに我々が来たから、ちょっと驚いていたけど、受け入れてくれた。
「みんな、今日からこちらのエミ様が、繕い物を手伝ってくださるそうだ。ちゃんと教えてあげるんだよ」
「ええーっ!」
「まあ、そういう反応よね」
リナリアと一緒に頷く。
「皆さん、私はエミと申します。どうぞよろしくお願いします」
軽く頭を下げる。ここの仲間も、あわあわして止めた。
「お貴族様が、そんなことしないでくださいよう〜」
「いえいえ、新人ですから」
にっこり笑ったら、なぜか静かになったわ。
「…なんだか先が思いやられるわね」
リナリアのため息が聞こえるんだけど、なぜかしら。
そんなに腕は落ちていないと思うけど。あ、現世では一度も繕い物やってなかったわ。でも大丈夫よね。魂が覚えているから大丈夫よね。
「これからあの素敵なお方と仕事が出来るの?」
「信じられない。あ、私が教育係をやるわ」
「何言ってんのよ、私が」
「いや私が」
「いやいや私が」
リンドとリナリアが目を合わせた。
「わ、悪いけど、いろいろ頼むわ」
「はあ」
ようやく手芸ネタが出てきました。遅くなって、すんません。




