21・メルヘン魔法について考えてみました
メルヘン魔法について考えた。
イメージしたものが、基本「メルヘン」チックになるという。
それなら、第三形態のイケメンキムラサンも、どこかにメルヘンの要素があるのだろうか。
あと、大人バージョンのリナリアも。
「でも、考えてみたら、そもそも木と幽霊が普通に歩いていること事態が、メルヘンってことか」
うん、深く考えるの、やめとこ。
そんなこと考えていたら、低空飛行のリナリアがやってきた。
「なんで低空飛行なの」
「淑女は高く飛んじゃダメなのよ」
スカートを押さえるリナリアを見て理解する。そーね。
「で、エミ、さっきのことなんだけど」
「うん?」
「一緒に行くかって言ったこと」
「うん」
リナリアの表情を見れば、もう答えはわかっていた。そうよね、やっと家族に会えたんだもの。
「わかっているわよ。ご家族を大切にね」
「うん、ごめんね、折角誘ってくれたのに」
「大丈夫よお。それに、幽霊なんだから、いつでも飛んでくればいいじゃない」
「あ、そっか」
リナリアが手のひらをポンと叩く。
「そもそもメルヘン魔法で具現化しているでしょ。だから、私が死ぬまでは自由にできると思うの。魔力が底をついたらわかんないけど。私の魔力が原動力だと思うのよね、今のリナリアは」
「え、大丈夫なの、その魔力的に」
「大丈夫よ、この魔法、コスパいいのよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「水臭いわねえ、友達でしょ」
「うん」
なんとなく残念な顔で、キムラサンが見ている。私なんか変なこと言ったかしら。
「キムラサンも、遠慮しなくていいわよ」
「一生ついていきます」
「なんか、そのセリフ嫌だわ」
リナリアがクスクス笑う。
「今後も、お供が増えそうね」
「やめてちょうだい」
「劇団員募集中ですから」
ほんと、増えそうね。
「で、さっきの話しだけどね。リナリアとは魔法で繋がっているから、離れていても、私の場所はわかると思うの。だから、暇なときは、遊びにくればいいじゃない。私もお店開業したら見に来て欲しいもの」
「そうね、遊びに行くわ」
「うん、約束ね」
すっと右手の小指を差し出す。リナリアと互いの小指を絡めて、
「指切りげんまん〜」
2人で歌ったら、その後ろでキムラサンが踊っていた。これもミュージカル化するんかい。
この間、ずっと待機してくれてたサムソンさんが、拍手してくれた。よかったね、キムラサン。
「そろそろ、戻りましょうか。お嬢様の大人の姿をみなさまに是非披露いたしましょう」
「照れるわ」
自然とリナリアとサムソンが並んで進む。私はキムラサンと。
もしもリナリアが、政略結婚じゃなくて、自由に結婚できていたら。
ふと、そんな未来を勝手に想像してしまう。
そんな2人の後ろ姿に、そっと呟く。
「これからでも、幸せになってね…」
「はい」
「…キムラサンは、勝手に幸せになってね」
城内に戻ったら、何やら騒がしい。サムソンが、仲間に尋ねる。
「何かあったのですか」
「ああ、王都から客人が来るらしい」
「もう来られるのですか。確かまだ数ヶ月は先かと思っていたのですが」
「まあ、早いほうがいいからなあ」
客人?
リナリアがこちらにやってくる。
「そっか、エミは知らないよね」
「うん、お客さんが来るなら、私もう出ていったほうがいいよね」
「そんなことないよ。というか、逆に今出ていかないほうがいいかも」
「そうなの?」
あのねと、リナリアが告げる。
「魔王が復活するのよ。それで、ここに勇者が来るの」
*****
魔王の話は私も知っている。
この世界には魔王がいる。
魔王が目覚めると、魔物が活性化する。増える。暴れる。
なので、異世界から勇者を召喚する。勇者しか、魔王を眠らせられないから。
「知っているのはこの程度ね」
魔王が現れる場所は隣国キールスのスヘルデン辺境伯領、つまりここ。
毎回場所は決まっている。数百年に一度訪れる厄災だ。
今までは他人事だったが、今回自分にめっちゃ降りかかっている。
なぜかって、魔王目覚めたんなら、魔物活性化で、旅に出れない。
かと言って、ここにいたら、隣んちのアッコンチ侯爵が来るかもしれない。
『魔王でお困りでっか。お手伝いしまっせ。おや、うちんとこの婿さん、生きてましたやん。連れ帰りますわー』からのグサっ。の可能性がある限り、ここから早く出たいのにいいい。
「困ったわね」
「勇者の召喚は終わってて、王城で教育中って聞いていたんだけどね。その後はこっちに来てもらって、戦闘訓練の予定だったけど」
「教育が早く終わったってこと?」
「それか、何か急ぐ要素があったのか」
どちらにしろ、勇者がやってくるのか。
「私、もう少しいても大丈夫かしら」
「もちろんよ。なんならうちの領地に手芸屋オープンしてもいいのよ」
「そうねえ、マーケティングリサーチからスタートね」
それもいいわね。いっそのこと私もメルヘン魔法で姿を変えて、ここで手芸屋さんをやっていくのもアリかもしれない。
「元々のキャラが違いすぎるから、以前の知り合いには、バレないかもしれないわよね」
「その気持ち、なんかわかるわ」
リナリアが遠い目をしていた。




