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14/16

14・名探偵・村人が現れました

 先ほど逃げた第一村人であるご高齢の女性を筆頭に、第二第三村人を後続に従えて、全員武器を手にこちらへ突進してきた。正直非常に怖い。

 

「あんたたち、何者だっ!」

「ここで何してるんだっ!」

 

 そーっと片手を上げて、一歩前に出る。

 

「ええと、道に迷いまして。辺境伯様のお宅はどちらでしょう」

「怪しいやつだっ!捕まえてしまえ!」

「いやいや、普通の冒険者ですよ?」

「冒険者がこんなところで迷うかっ!ここは冒険者ギルドの隣町だぞ」

「え、そんな近くだったの?」

 

 村人ずが、じーっと我々を見る。

 

「あれ、そういえばもう1人いないぞ?」

「もう1人って?」

 

 問えば、第一村人が、ぽっと頬を染めた。

 

「ほれ、あの、ズボンだけしか着ていない、たくましい…」

「そうじゃそうじゃ、ズボンしか着ない大胆なお方…」

「セクシーセクシー」

 

 第二第三もぽっと頬を染めてモジモジする。

 

「需要があったのって、そっち?」

「まさかのキムラサン、モテ期到来」

「それならキムラサンを戻せば助かるかしら...」

 

 メルヘンとコソッと唱える。

 

「キムラサンを第二形態に戻して」

 

 光の輪がキムラサンを包み込み、先ほどリナリアには好評でなかった、パンイチ姿に戻った。

 

「やあ、マダム、ご機嫌いかがかな」

「キャー!」

「ぎゃー!」

 

 二種類の悲鳴が辺りにこだました。

 そして、多数決の結果、我々は捕縛されたのだった。

 

「…少数派あ」

「ドンマイ、キムラサン」

 

 とりあえず、第三形態に戻しておいた。

 一部の愛好家は、泣いていた。

 大多数は、ホッとしていた。

 

 我々は、村人達によって、辺境伯の城に連行された。というのも、

 

「あれ、この子、お嬢様に良く似てるのう」

 

 という証言からだ。村人の中に、リナリアの顔を覚えていた者がいたのだ。

 

「そう、その件で、辺境伯様にお会いしたいのです」

 

 ようやく話が出来そう…そう思ったこともありました。

 

「そうか…あんたがお嬢様を誑かした犯人か」

「はい?」

「犯人は、お前だーっ!」

「それ、我々が言う予定のセリフー」

 

 ビシッと指を刺し、第四村人(好青年的なやつ)は語る。

 

「このお嬢様にそっくりな子供。お前はお嬢様を拐かし、結婚してこの子を…」

「いやこれ本人」

「お嬢様が3歳児なわけあるかーっ」

 

 確かに3頭身では説得力がなさすぎた。

 しかも、これ、全部キムラサンに向かって言っているのよね。

 

「パパは、キムラサンか…」

「頼むから、やめて」

「それなら私は何よ」

「ガヤ?」

 やめい。

 

 という訳で、我々は辺境伯のお嬢様を拉致した犯人として、お城へ連行されたのだった。

 

*****

 

 逃亡の恐れありとして私とキムラサンは縛られているが、流石に女の子も縛るわけにはいかず、我々は荷馬車に乗せられている。その周りをグルリと村人が囲う形で進んでいる。

 荷馬車の高さもあるから、子供はそこから飛んで逃げることも出来ないだろうと。

 まあ、飛べるだろうけど、幽霊だし。

 でもこのまま辺境伯の元に運んでくれるというのだ。ありがたく乗って行くことにした。楽だし。

 

「どうなるかと思ったけど、すんなり会えそうね」

「かなり状況は複雑になっているけどね」

 

 自称名探偵村人によって、ドラマは作られているようだが。荷馬車を警護しつつ、名探偵村人が何やら隣でブツブツ名推理を披露しているんだが。

 

「まずは2人の出会い編、次は駆け落ち編、そして愛のお別れ編」

「すごいわね、作家になれるわ」

 

 また、この語り口調がすごいのだ。名演技だ。何かの仮面をかぶっているのか。

 彼の演じる推理ドラマで、村人も我々も全員が感動して泣いていた。

 

「おお、なんという悲劇」

「救われないわあ」

「そして二人は手と手を取り合い「愛しております」「私も…」」

「おおお」

「そこで二人は…」

「お前ら何してんのー?」

 

 城の警護をしていた騎士達に声をかけられて、全員ハッとする。そう言えば、連行されていたんだった。

 

「辺境伯さまーっ!どうか、どうかお慈悲を!」

「そうだ、愛の逃避行なんだーっ!」

「…私、メルヘン魔法使ってないわよねえ」

 

 村人が、天然メルヘンだった。

 騎士達は、なんだこりゃって顔してた。


*****


 困った騎士達に質問されて、ようやく現実にただいまー出来た村人何人かが、我々の説明をした。

 

「怪しい奴らが山から降りて来まして。その内の一人が、リナリア様にそっくりなのです」

「何っ」

 

 ハッとして騎士がリナリアを見た。


「確かにお嬢様にそっくりだ。年齢的にも、お嬢様のお子か」

「わかった、話をしてくるから待ってろ」

 

 騎士の1人が城内へ走っていった。

 

 やがて何人かの騎士が出てきて、我々は城内へと連れていかれた。だが、そのまま連れていかれた場所は、牢獄だった。

 

「え、すぐに辺境伯様に会えないの?」

「今は忙しいのだ。とりあえずここで待て」

 

 牢獄の中には、私とキムラサンという構図。リナリアはお嬢様のお子様(疑)ってことで、他所へ連れていかれた。

 

「まあ、リナリアが事情を説明してくれれば、我々も助かる…わよね?」

「そうですなあ…知らんけど」

「あんたも、なんか、慣れたわね」

 

 いざとなればメルヘン魔法で逃亡出来るか。

 だよね、だよね?

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