127・アッコンチ侯爵邸にて-②
「ほう、よう見つけたな」
「少し遠いな」
「行ってみましょ」
「そろそろ自分でも動けるであろ?」
「そうですね、大分体の状態がわかってきました」
そう言うと、ルカスがその場でジャンプする。勢いのまま、天井を抜けていった。
「おお、さすがだな」
「俺達もやってみよう」
「えいっ!」
みんなで上に飛んだ。天井を抜けて、二階の廊下に出る。
「デレク、この階か?」
「いや、もう少し上だ」
デレクが先導する。二階の廊下にも人気はなく、堂々と移動した。
三階に行ったら、廊下に人がいて、思わず床に沈んで隠れた。
「そういえば隠れる必要なかった」
「つい、隠れちゃうわよね」
そのまま人が通り過ぎるのを床から見ていた。
その人物はお盆を持って奥の部屋に入っていった。部屋の前には椅子があって、別の男が座っている。
「あれは、見張りか?」
「多分」
部屋から先程の男が手ぶらで出てきた。お盆ごと置いてきたのか。
彼は見張りらしき男と、楽しそうに話して帰っていった。残った見張りは暇そうに、椅子を扉の前に戻して座り直した。
「入ってみましょ」
私達は床から浮上して、そのまま堂々と見張りの前を通った。恐らく男ごと通りぬけられるんだろうけど、それは嫌だからやめて横の壁から侵入する。
「こいつは」
薄暗い部屋だった。それでも広い部屋で、家具はそれなりにいいものだ。奥にバストイレ完備ってとこね。ベッドが端にあって、その横にソファセット。
そのソファに座って食事をとっているのは、年老いた男だった。
「エミ、彼は」
「ええ。アッコンチ侯爵本人よ」
私の将来のパパの予定だった人ね。
「なんか、やつれたわね。以前はもっと圧があったというか、うるさいというか、野心の塊というか」
「どんな人物だったかは、なんとなくわかった」
「それが閉じ込められているということか。エミの元婚約者の姿はないな」
「そうね。それにあと息子が二人いるわ」
彼らもどこに行ったのかしら。
アッコンチ侯爵は、淡々と食事を続けていた。
こんなところに閉じ込められているのに、やつれている様子はない。暴れた様子もなし。まるで閉じ込められていることを、受け入れているような。
まさか。
「アッコンチ侯爵の中にも、ニョロが入っていたりして?」




