123・スパイにはスパイを
「スパイがいることが、まずいという意味だが?」
「わかっているわよ。ちょっとボケただけじゃない」
「「絶対嘘だ」」
「はい、すんません」
早めに謝る。どうせ本気でボケたの、バレてる。
「スパイを見つけるのは難しいな」
「そうだな。いっそのこと、もう情報が流れるのは仕方ないと諦めるか」
まあ確かに、そっちに時間も人間も割り当てるのが難しいのが、実情だものね。
とにかく前回同様に敵が攻めてくるのか、それとも新たな方法になるのか、まったくわからないし。
それなら。
「ねえ、ちよっと試してみたいことがあるんだけど」
「スキルか?」
食べ終わったテオが立ち上がる。そろそろ交代しないとね。私達も、見張りの手伝いをしているのだ。
「時間ないから、ささっとやってみますか、メルヘン」
メルヘンサークルが私達を包んだ。
「お願い〜、伝言妖精さん〜ちょっと来てほしいの〜、相談に乗ってほしいの〜♪」
「師匠か。それならお茶入れとくか」
「ありがと〜、テオ〜♪」
「どういたしまして〜♪」
「お茶、ごちそーさーん♪」
「お、師匠、来たか」
テオの近くに、伝言妖精さんが登場した。そのままテオが持っているカップへと飛んで、魔法で妖精一口分のお茶を、宙に浮かせて口元に運んで飲んでいる。器用ね。
「うまー。それでエミはん、ご相談とは?」
「ねえ、妖精さんの中に、スパイ活動できる子っているかしら?」
「「「スパイ妖精ってこと?」」」
「そう、どうせスパイがいるなら、こっちもやればいいのよ。それも、絶対バレないような凄腕にお願いすればどうかなと思って」
「確かに師匠達なら、絶対バレないだろうし、情報もらいまくりか」
「それは凄いな」
みんなうんうん頷いている。
でも、伝言妖精さんは、うーんと唸ってしまった。
「やっぱ、ダメかしら」
「いや、出来ないことはないけど……」
「んじゃどうして唸っているんすか、師匠」
「自分でやりたいけど、忙しくて無理」
「みんなスパイに憧れるのね」
わかるわ。なんかかっこいいもんね。
「いや、俺なら怖くてやりたくないけど」
「好みって色々なんだな」
「わかる」
私と伝言妖精さんが、手を取り合ってわかりあって頷いているのを、否定しないで頂戴。
「それなら誰か紹介してもらえないかしら」
「オイラがやろうか?」
「しれっと木が混ざっているのは何故だ」
デレクに突っ込まれても知らんぷりで、キムラサンが会話に入ってきた。
「ある意味適役な気もするけど」
「いやいや、すぐにバレると思うが」
「目立つことに命をかけているような奴に、スパイは無理だろ」
「だな」
全員から却下されて、キムラサンが部屋を出て行った。
「まあ、確かに急に部屋に入ってくるあのスピード感は、何かに使えそうなんだけどな」
「使い道はないな」




