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123/131

123・スパイにはスパイを

 

「スパイがいることが、まずいという意味だが?」

「わかっているわよ。ちょっとボケただけじゃない」

「「絶対嘘だ」」

「はい、すんません」

 

 早めに謝る。どうせ本気でボケたの、バレてる。

 

「スパイを見つけるのは難しいな」

「そうだな。いっそのこと、もう情報が流れるのは仕方ないと諦めるか」

 

 まあ確かに、そっちに時間も人間も割り当てるのが難しいのが、実情だものね。

 

 とにかく前回同様に敵が攻めてくるのか、それとも新たな方法になるのか、まったくわからないし。

 

 それなら。

 

「ねえ、ちよっと試してみたいことがあるんだけど」

「スキルか?」

 

 食べ終わったテオが立ち上がる。そろそろ交代しないとね。私達も、見張りの手伝いをしているのだ。

 

「時間ないから、ささっとやってみますか、メルヘン」

 

 メルヘンサークルが私達を包んだ。

 

「お願い〜、伝言妖精さん〜ちょっと来てほしいの〜、相談に乗ってほしいの〜♪」

「師匠か。それならお茶入れとくか」

「ありがと〜、テオ〜♪」

「どういたしまして〜♪」

「お茶、ごちそーさーん♪」

「お、師匠、来たか」

 

 テオの近くに、伝言妖精さんが登場した。そのままテオが持っているカップへと飛んで、魔法で妖精一口分のお茶を、宙に浮かせて口元に運んで飲んでいる。器用ね。

 

「うまー。それでエミはん、ご相談とは?」

「ねえ、妖精さんの中に、スパイ活動できる子っているかしら?」

「「「スパイ妖精ってこと?」」」

「そう、どうせスパイがいるなら、こっちもやればいいのよ。それも、絶対バレないような凄腕にお願いすればどうかなと思って」

「確かに師匠達なら、絶対バレないだろうし、情報もらいまくりか」

「それは凄いな」

 

 みんなうんうん頷いている。

 でも、伝言妖精さんは、うーんと唸ってしまった。

 

「やっぱ、ダメかしら」

「いや、出来ないことはないけど……」

「んじゃどうして唸っているんすか、師匠」

「自分でやりたいけど、忙しくて無理」

「みんなスパイに憧れるのね」

 

 わかるわ。なんかかっこいいもんね。

 

「いや、俺なら怖くてやりたくないけど」

「好みって色々なんだな」

「わかる」

 

 私と伝言妖精さんが、手を取り合ってわかりあって頷いているのを、否定しないで頂戴。

 

「それなら誰か紹介してもらえないかしら」

「オイラがやろうか?」

「しれっと木が混ざっているのは何故だ」

 

 デレクに突っ込まれても知らんぷりで、キムラサンが会話に入ってきた。

 

「ある意味適役な気もするけど」

「いやいや、すぐにバレると思うが」

「目立つことに命をかけているような奴に、スパイは無理だろ」

「だな」

 

 全員から却下されて、キムラサンが部屋を出て行った。

 

「まあ、確かに急に部屋に入ってくるあのスピード感は、何かに使えそうなんだけどな」

「使い道はないな」

 

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