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120/130

120・鶴さんとサギさんず

 

 騎士団の精鋭部隊が、侵入者の鎮圧に出ていった。

 相手が攻撃してくれば討って出ることも可能だけど、何もしなければそのまま見守るしかない。

 

「アッコンチの奴らが『魔王対策のために応援に来ました』とでも、しれっと言ってくる可能性があるからな」

 

 そう言って辺境伯様が唸っていた。

 

 ミサイルが失敗して、辺境伯領が破壊されなければ、そう言って逃げればいいだけだから。

 

「魔物より魔物なのは、人間ですねー」

 

 狼さんのコメントが痛いわね。

 

 

 今のところ新しいミサイルが飛んで来る気配はないけど、いつ来るかわからない。

 

「ねえ、狼さん。辺境伯領のどこにミサイルが飛んでくるかわからないから、ずっと見張るのも大変よね」

「結界にかかればわかりますし、それから我々が出向けばいいだけですよう」

「そうなんだけど、他にも武器が来る可能性もあるわよね」

 

 そう、あちらの世界にはミサイル以外にも武器はあるから、それを持って来る可能性がある。例えば、

 

「拳銃とか、それこそ戦車とか来たらどうしよう」

「ねえ、エミ」

「何、リナリア」

「拳銃はともかく、戦車ってどうやって動かすのよ」

「あ、そうか」

「相手がどんなスキルであれを動かしているのかわからないけど、戦車とかは燃料がいるでしょ。あと、絶対必要なのが」

「運転手さんよね」

「せめて操縦士とか言ってよ」

 

 異世界から誰かを召喚しないことには、多分無理よね。

 

「召喚ですって?」

「フランソワ様」

 

 息を弾ませて、フランソワ様がやってきた。しれっとあかりの隣に立って、状況を聞いている。

 

「フランソワ様。いくら固有スキルでも、召喚は難しいですか?」

「でも、相手は異世界の武器を召喚してきたんでしょ?それはないとは言い切れないわね」

「そうですよね」

 

 敵の攻撃があっても、結界の中にいれば安全だけど、恐らく相手には結界のこともばれている。

 だから、結界内に事前に侵入していて、しかも上空からのリナリアの目を搔い潜っている。

 

「厄介な敵ね」

「とにかく見つけたら無傷で捕まえて、その後は」

「私の出番ですね」

「そう・・うわっ、出た!」

 

 いつの間にかルカスの背後に、鶴さんが立っていた。

 

「鶴さん、こんにちは」

「エミさん、こんにちは」

「ひかりちゃん、マイペースだね」

 

 挨拶は基本よね。

 

「で、鶴さん、またお願いしたいことがあるのよ」

「わかっております。捕らえた敵からニョロを取り出すと。うふふ」

 

 なんか楽しそう?

 

「鶴さん、うれしそうね」

「もちろんです、エミさん。どれだけのギャラが入るか、うふ、う、うふふふふ」

「怖いです」

 

 着物姿でロン毛の美女バージョンだった鶴さんの顔が、鶴に変化した。

 

「正体、ばれてるわよ」

「しまった、正体がばれてはここにはいられません」

「鶴って名乗ってる時点でダメな気がする」

 

 あかりのツッコミを無視して、鶴さんがふかぶかお辞儀をする。

 

「んで、どこに行くの?」

「とりあえず、あっちに」

 

 鶴さんが示したのは、アッコンチの部隊が出たと言う方面だった。

 

「一人で大丈夫?誰か助っ人呼ぼうか?」

「いいえ、私のバックコーラスがいるから大丈夫ですよ」

 

 それって、サギの子達よね。あんなキャピキャピな子達だけで大丈夫かしら。

 

「エミさん安心してください。あの子達はああ見えて、プロです」

「何のプロ?」

 

 詳しく聞きたいけど、なぜかしら、背筋がぞわぞわしてきたわ。

 

「それでは手拍子をお願いします」

「でた」

 

 デレクも突っ込みつつ、手拍子を始めた。こいつも慣れてきたな。

 戸惑うフランソワ様にはあかりが手拍子を教えていた。

 

 音楽も流れだし、みんなで一緒に手拍子をする。

 

「へいっ、へいっ!」

「ほうっ、ほうっ!」

 

 謎の掛け声の中、踊る鶴さんの横に出現した光の輪から、サギさん達が飛び出してきた。

 

「あら」

 

 服装がこの前と違うわね。

 

「「「私達、サギでぇーす♪」」」

 

 挨拶は一緒だけど、全員迷彩服だった。

 

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