118・あかりのステータス本、再び
まずは現状の把握から。
今のところミサイルは一発のみ。恐らく敵はこちらの様子を伺っている。
相手としたら、ミサイルで破壊された辺境伯領に、悠然と入り込んで侵略する手筈だったのだろう。
だけどミサイルは破壊されている。
「そうなると、そろそろ二発目が来てもおかしくないわね」
私は狼さんとスライム達の方に向かった。
彼らは辺境伯様達が来てから、少し私達から離れた。彼らなりに気を使ったのかもしれない。
「ねえ、また攻撃が来るかもしれないけど、大丈夫?」
「いやー、お気を使わせてしまい申し訳ございません。我ら、元気だけが取り柄ですからー」
「「「げんきげんきー」」」
確かに元気そう。うん。
「そうだわ、狼さんのお名前は?」
「そんなのないですー」
「私の魔法がかかってないけど、話せるのね。あと、なんかゆるキャラっぽいその姿……」
「そこは、魔王様がなんとかしてくれましたー。可愛くしないと勝てぬと」
「ひかりちゃんのせいか……」
「なんで私が悪いことになってんのよ、あかり」
ゆるキャラっぽいからあんまり怖くないし。そうじゃなかったら、敵だと思って攻撃していたかも。
「あかりも大丈夫?結界で魔力使っているでしょ?」
「そうなんだけどね。なんか大丈夫かな?」
「一応、ステータスも確認しておいたら?」
「そうだね。って、ひかりちゃん?」
「メルヘン」
メルヘン魔法であかりを包んだ。
「お願い~、あかりのステータスを見せて~♪」
「ぷぷぷプライバシーに配慮して~♪」
必死に歌に合わせてきたわね、あかり。
ズゴゴゴと音がして、地面からノートがせりあがってきた。表紙には『あかりのステータス』って、くっそダサい字で書いてある。
「そっちバージョンか」
「可愛いバージョンはやめたのかな」
「邪悪バージョンも可愛いバージョンも、内容は変化なかったもんね」
以前出したステータス本は、プライバシー配慮しすぎてほとんど読めなかったけど、今回はどうしても知りたいことがある。
「あかり、今回はちゃんと見せてもらうわよ。私が知りたいのは、あかりの魔力量。こんなに大きな結界を作っているんだから、心配するのは当然でしょ?」
「うん、わかった。でも、まずは私が先に読むんだからね」
「わかったわかった」
怪しさ満載のステータス本をひったくるように奪うと、あかりは三メートル程離れて本を開いた。
「あ……」
「大丈夫?」
あかりが困惑した表情で、こっちに戻ってきた。
「見て」
「うわあ、相変わらずプライバシー優先ね」
ステータス本は、黒塗りばっかりだったけど、ようやく読めそうなところを見つけた。
「『あかりの魔力量:めっちゃ多い』。アバウトの極みね」
「その下読んだ?」
何?その下って。
そこを見て、私も目が点になった。
「『なお、足りない場合は、ひかりちゃんから自動摂取確定。ツケはききます』って」
え。
「ツツツツケがきくなら、大丈夫ね」
「そそそそうだね」
私の固有スキルは、元々魔力とツケで動いている。ツケの部分は、手芸の特許料で賄うことになっているけど。
まあ、楽しい手芸をやれば世界が守れるなら、それはそれでいいか。
「手芸、がんばりますか」
「がんばれ、ひかりちゃん」




