117・ドヤオーラ・スライムです
「ひかりちゃん、ミサイルってこれだけかな。また飛んでくる可能性あるよね」
あかりが空を指さしながら、ぼそっと怖いことを言ってきた。
「そうなのよね。考えたくないけど、可能性はあるわよね」
「右に同じ」
私とリナリアが頷く。
我々三人から、デレク達がそっと離れたのは、なぜ?
「おい、どうなっている!」
大声に振り向くと、辺境伯様達がこちらに走ってくるのが見えた。
「今、敵の攻撃が来ました。勇者あかり殿の結界のおかげで、アレですが」
ルカスも指をさして報告をする。示しているのは、ミサイルがあった場所じゃなくって、そこから降りてきてドヤオーラを放つ、スライム達と狼さんだけど。
「え、魔物?」
「落ち着け、エヴラール」
今にも剣を取り出しそうなエヴラール様を制して、辺境伯様が前に出た。
「どういうことだ」
「魔王が、彼らを派遣してくれました。彼らのおかげで、火魔法の大きいやつが破壊されました」
爆弾とかミサイルって単語が使えないのが歯がゆいけど、仕方ないわね。異世界の言葉というか、向こうにしかないものって、こちらの世界では言葉にならないみたいだし。
「お父様、お兄様。今ほどのものは、異世界の武器です。かなり強力な火魔法が降ってきたと思ってください」
「なんだと?」
「そんなものをどうやって」
「もしかして、異世界の武器を召喚する固有スキルってことか?」
デレクの推理に全員が息を呑んだ。そんなスキルで次々とミサイルを撃たれたら、どうなることか。
「そーですー。魔王さまもそうおっしゃっておりましたねえー」
私達の会話に、狼さんも加わってきた。
「……どちらさま?」
エヴラール様、キャパ超えたかな。敬語になってる。
「どもー、魔王・たぬきち様からのご紹介で参りました。狼でっす」
「「「スライムでっす」」」
魔物さん達が、ぺこりとお辞儀する。
「彼らが異世界の武器を溶かしてくれたんです」
「おお、ありがたい。本当に感謝する」
辺境伯様も頭を下げた。ついてきていた他の騎士さん達も。
「お礼はまだ先ですー。これから敵がやってきますー」
「それって、アッコンチ侯爵領からね」
「エミ様、ナイスう~」
親指突き出して、グウ~ってされてもな。
「例の武器が爆発して壊滅した後の、辺境伯領を奪うという寸法か」
「叔父上、指示を」
「わかった。まずは避難の確認。それからアッコンチの方角を中心に警備の強化だ。リナリア」
「わかったわ、上から知らせる」
「頼んだぞ」
リナリアがそのまま上空に飛んだ。片手には受話器を持ったままで。
ルカスが自身の固有スキルで、皆に指示を送りはじめた。




