114・飛来するもの - 2
あかりの元に走る途中で、頭の中に声が響いた。
『私は第四王子メインデルトである。これは私の固有スキルで、君達辺境伯領の全ての人に伝えている。これから敵が来る。皆、訓練で決めた場所に避難するのだ。これから領土全てに結界を張る。領土から出ると戻ることが出来なくなる。絶対に領土から出てはいけない。速やかに行動してくれ!』
ルカス、辺境伯領の全ての人に伝えるって、かなり負荷がかかるとは思うけど、がんばってくれた。
私も急がないと。
「あかり!」
「ひかりちゃん!」
いつもの訓練場所に行く前に、あかりを見つけることが出来た。
「敵が来るって、どういうこと?」
「あかりもこの音、わかるでしょ?」
「音って、この飛行機みたいな……うそでしょ、こっちに飛行機なんてあるわけない」
「そう、それ以外の飛行物体といったら」
「まさか、ミサイル?」
こっくり頷く。
あかりが怯えた表情を浮かべて、私の腕にしがみついた。思わず私も妹を抱きしめた。
「あかりの固有スキルのダイヤモンドは、伝言妖精さん達が届けてくれているはず。だから、結界が機能するはずなのよ。でもそれを動かすのはあかりの魔力だと思うの」
「うん。そうだね」
あかりが少し震えているのがわかる。それでも真剣な眼差しで私に頷いてみせた。
「広範囲だから、かなり魔力消費するかもしれない。でも、無理はしないで」
「ひかりちゃん、言ってること無茶苦茶だよ」
「わかってる、でも」
「エミ!見えた!」
片手に持っていた受話器から、リナリアの叫び声が響いた。
「わかった!リナリア、ルカスにも伝えて!」
「わかったわ!」
少しして、ルカスから全員に指示が届く。
『全員耳と目を塞げ!地面に伏せろ!』
少しして、轟音と衝撃が……。
来なかった。
「あれ?」
「どうなった?」
「ひかりちゃん、あれ」
あかりの指差す方向を全員で見る。
我々の頭上に、ミサイルがぶら下がっていた。




