106・困った時の伝言妖精さん
「とりあえず以心伝心作戦は失敗と」
「待って」
「チャンスをクレメンス」
「根性論でなんとか」
「無理じゃね?」
カンガルー四姉妹が食い下がってくる。中には諦めている子もいるけど。
「ふっふっふ。そろそろわいらの出番か?」
「その声は」
私の背後から、なんか声が聞こえてきた。誰かわかっているけど一応聞こうかしら。
「助けてー、妖精マーン!」
「もう名前言っちゃってるわよ」
リナリアのツッコミをスルーして、私の背後から伝言妖精さんが出てきた。しっかり待機していたわね。
「やっぱ、わいらの仕事ですかな」
「テオには申し訳ないけど、そのようね」
「時給は弟子から貰うから安心してちょ」
小さな光の玉を顔の下から充ててドヤるの好きよね、妖精さん。
とりあえず、
「全員せいれーつ!」
私の掛け声で全員一列になって、テオがいる方向を向く。
「「「テオ、ごめんね~」」」
「まいど~♪」
これで謝ったから、許してもらえるよね。うん。
☆
「あれ?」
「テオ、どうかしたのか?」
「いや、なんか悪寒が……」
☆
「それでカンガルー四姉妹と私の、合計五ヶ所で同時に会話ってできるのかしら」
「ぶっちゃけ楽勝でっせ」
「どうやって?」
「元々わいらは空間移動できますもん。大変なことが起きたときにエミさんが指示してくれれば、わいらは四ヶ所に飛んで、そこに待機しているカンガルー姉さんたちに伝言すればいいだけですもん。その後で四姉妹が指定の場所にそいつを置けばいいだけでっせ」
「もっと早く伝言妖精さんに聞けばよかった」
全員崩れ落ちた。
まあ、とにかくこれでなんとかなるわね。
「後は設置場所を決めないとね。正確に測量って、これだけ広範囲だと、どうやってやればいいのかしら」
「それも不要でっせ」
「そうなの?」
「わしら空間魔法のプロや。伝言届けるんだから、場所の把握なんておちゃのこや」
おお、伝言妖精さん、後光がさしてる。ってか、普通に全身光ってる。よく見たら、仲間が背後に光の玉を持って隠れてた。背景担当か。
「そうや。いいこと思いついた!」
伝言妖精さんが、ちいちゃい手をポンと叩く。可愛いな。
「辺境伯領全部を守るための四ヶ所、そこにカンガルー姉さん達を同時に転移させたる。そこにベースとかいうやつを置けば完成や」
「「「伝言妖精、バンザーイ!!」」」
全員で妖精さん達を胴上げした。余ったメンツは踊ってた。
よし、これでなんとかなる。
理由はわからないけど、何か起きるような予感がする。
とても悲しくて、辛くて。
行かないで。お願い、ずっと側にいて。
誰のことかわからないけど。




