第四章 ③②
「クルクルは初耳です。ロイドのお婆さんはそのような物があるとは言っていなかったです」
「そうですか。ですがこの村にはぐるぐるもクルクルも存在しております。ですが、クルクルに限ってはぐるぐると違い、常に存在している訳ではないのです。現れる場所も不特定ですし。なのでこの浄化場を作ってくださった人間の方も、いきなり、ここにクルクルが出現し、そこから出て来て浄化場を作り、そこから帰って行かれました。まるでその為だけに現れたかのようなお方達でした。皆さん手慣れた感じで、唖然としている私達を他所にテキパキと作業を行って、聖糞する場所だと告げると手を振って消えてしまいました。なのでクルクルは帰って行く場所でもありますが、それがいつ現れるかは私達にも窺い知れないのです」
「なるほどそうですか」
僕はいい、クルクルがあれば元いた世界に帰れると思ったのだけど、そう甘くは無さそうだった。
つまり、これからも旅を続けながら帰る方法を見つけなきゃいけないという事のようだ。
「ありがとうございました」
聖水を出し、、、いや一部の性癖の持ち主なら聖水や聖糞と聞けばヨダレ物なのかも知れないけど、僕にはどうにも馴染めない言葉だった。
「因みに貴女のお名前を伺う事は、その、蔑視に当たったりしますか?」
「とんでもありません。そのような事はございませんので、遠慮なくお聞きになって構いません」
黒装束を纏った女性はマーラと言った。
重美さんと一緒にいた女の子は花葉と言ったが、ダスターズ一族には名前の統一性と言ったもは無いのかも知れない。
「では、マーラさん、僕はこれからテントで休ませてもらっていいでしょうか?」
「はい。結構です。大魚様と重美様のお2人が村長と面会するのは既に明日と決まっておりますので、明日の朝、時間に合わせて私めが伺わせて頂きます。それでは大魚様。おやすみなさいませ」
僕はマーラさんが別な方へ歩いて行くのを見届けた後、ゆっくりと周りを見ながら自分のテントの方へと歩いて行った。
テントの数はパッと見る20以上はあった。そこにダスターズという種族の人達が名名、夕食を取ったりしているのだろう。
何だか大勢の人達がいる事で、気持ちがほっこりとし始めた。
「何か良いな」
そう呟きながら、自分のテントに入るとそこには黒装束を着た女性が正座をして待っていた。
「マーラ、さん?じゃないですよね」
その女性はマーラさんと違い、目元以外は全て隠していた。かろうじて素足という事だけはわかった。
「僕に、何か用でしょうか?」
尋ねると黒装束の女性は既に敷いてある布団を指差した。その後、自分と僕を交互に指差し、両手を合わせて頬に当てて目を閉じた。
「え?な、何?貴女は僕と一緒に寝るって事?」
尋ねると女性は頷き返しプラス抱き合う仕草を見せた。
大事なお客人にはその村1番の美女を差し出し、歓迎するといった部族の話を聞いた事があるけどまさか自分がその人物に該当するって事なのか?断って抱かないとすれば、差し出された女性に対し無礼であり女性に恥をかかす事になる。
かと言って、いきなりエッチしましょうって言われて、やったぁ!やるぜ!みたいな性格じゃないし、それにやっぱり幾ら歓迎の意があるにせよ、この人だって見知らぬ男に抱かれたくは無い筈だ。旦那や彼氏だっているかも知れない。それは式たりとはいえあまり可哀想だ。
「いえ、君を抱く事は出来ない。勿論、理由は君にある訳じゃないよ。僕は、その、あれなんだ……」
そこまで行って僕はテントの外に出た。周りに誰もいない事を確かめて、改めて女性の前に座った。
「実は僕は、まだ童貞なんだ。初めての相手はやっぱり大好きな人としたいんだよね。わかるかな?」
黒装束の女性は口に手をやり何度も頷いた。
「さっきから君、何も喋らないけど、ひょっとして口が聞けないの?」
再び激しく頷いた。
「声が出せないのか……それなら色々やらされても誰も止めには来れないよね」
僕が言うと黒装束の女性の肩が震え始めた。
慌てて僕は側へ近寄り、肩を抱いた。
「君が悪い訳じゃないよ。だから泣かないで。君はとっても綺麗だし、僕なんかにはもったいない素晴らしい女性だよ。これも村の儀式の一環なのだろうけど……」
そこまで話した瞬間、女性は黒装束を脱ぎ始めた。肌が露出し、中の薄いベールの隙間にから胸の谷間が見えた。豊満な胸に思わず生唾を飲み込む。
「あ。やっぱり、村の儀式は守らないといけないのかな。うん。わかった。君がそこまでするなら、僕は逆らわないよ。うん。そうしよう。今すぐやりましょう!」
この際、関係ない。何が大好きな人に童貞を捧げたいだ!童貞は罪だ。犯罪だ。魔法使いになんてならなくていいから早くやってみたい!それが本音だった。
僕はゆっくりとその女性を抱きしめようとした。
その時だった。
「ギャハハハハハハハハハハハ!ってか大魚、テメー大好きな人に童貞捧げるんじゃねーのかよ!」
いきなり突き飛ばされた僕はフル勃起したまま仰向けで黒装束を脱いだ、いや重美さんを呆然と見上げていた。
「ったく、やっぱり大魚もエロ男だよな。肌を見せた途端に豹変すんだからさ」
「あ、いや。それは、恥をかかせてはいけないと……」
「言い訳は良いって」
「すいません」
「やりたかったんだろ?」
「……はい」
「ムラムラしたんだろ?この私に?」
「はい。しました」
「ま、私とは知らなかった訳だけど、ま、良しとしてあげるよ」
「ていうか、重美さんって、胸が……」
「意外と私。巨乳なのよね。着痩せするタイプっていうかさ。あ、大魚、お前私の胸の谷間見ただろ?」
「はい。数年はオカズに出来る程に焼き付けました」
「あはは。なら許してやる」
「良いんですか?」
「良いよ。ちょっと揶揄うつもりだったけど。最初はびっくりしたよ。マジでやらないんだ?って思ったからね。けど、そこは童貞の罪な所よ。生肌を見せた瞬間、気持ちが180度変わったもんな」
「はい。あんな近くで女性の胸をみたのも初めてでしたから……」
「ま、そうなるよね。だって大魚はド・ウ・テ・イだもん。けど、余りに私だって気づかなかったのが意外だったなぁ。絶対直ぐバレると思ったんだけど」
「目の前に抱いてって言ってる女性がいたら、頭真っ白になって周りなんて見えませんよ」
「そっか。そうだよね。ごめんね。悪ノリしすぎてさ」
「いえ。大丈夫です」
言うものの実はめちゃくちゃショックだった。
「騙したのはこっちだし。悪かったね」
「本当、もう大丈夫ですから」
「ねぇ。大魚」
「何ですか?」
「無事に元の世界に戻れたらさ」
「はい」
「大魚の童貞。私が筆下ろししてあげるよ」
「マジですか!」
僕は思わず身体を起こし、立っている重美さんの前に正座した。まるでオヤツを待っている犬のようだった。
「嘘じゃ!」
そう言い重美さんは素足を僕の顔面に押し付けそのまま後ろへと踏み付けた。
「重美さん、貴女って人は……着痩せもするって事だし、平気で人の顔を踏み付けるし、まるでこの村にいると言われているヤカラそのものじゃないですか……」
「私、ヤカラなんかじゃないもん」
言って人差し指を咥え目をパチクリさせた。
「24にもなって指咥えてパチクリしてんじゃねー!」




