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第二章 ①④

「サヨリはどうしたいの?私達と一緒にこの森を出て行くか。それとも残りたい?」


「私めはこの森が大好きです。生まれも育ちもこの森ですしこの森の事しか知りません。貴方達のように自由に歩ければ私めも森の外を見てみたいと思うでしょうけど」


「あ」


「大魚、何?」


「サヨリさん、前に僕達に似た人、見たことないですか?」


「何を、聞いて……あ、あぁ」


重美さんも気づいてくれたようだった。僕がサヨリさんに聞きたかったのは鳩三郎さんの前にあの地中の家で管理人をしていた人や、タバコを鳩三郎さんにプレゼントした人の事だった。


森は広大だし闇で覆われているけど、ひょっとしたらその人達もサヨリさん達の種族と出会っているかも知れないと思ったのだ。


「そうですね。私めは出会った事はありません」


「そうですか……」


「その方達がどうかされたのですか?」


「きっとこの森を通って行った筈なので、ご存知なら向かった先をしりたいななと思ったんです」


「そうでしたか」


「因みにサヨリさんは森の終わりを見た事はありませんか?」


「終わりですか。完全ではないですが、森が途切れた場所の近くまでなら行った事、いえついて行かされた事はあります」


「というとやっぱりそれは動物でしたか?」


「はい。ヤギという動物です。奴等は垂直な崖を登るので、しがみついて寝てしまったりしたら大事になってしまう事が多いので私めの所ではヤギ禁止事項ってのがあった程です」


「それってつまりこの森の中にヤギがいるって事ですか?」


「はい。います。そのヤギはあるものにとってはかなり美味らしく、ヤギを巡って争事を起こすものもいます」


「で、サヨリは禁止されてるのにヤギにしがみついちゃった訳だ?」


「面目ございません。あの時はとても美味しそうな匂いが森の何処からかしていまして、ヤギもそっち方面へ向かって歩いておりましたのでついしがみついてしまいました」


「サヨリはその美味しい匂いのしたものにはありつけたの?」


「いえ。無理でした。途中までは良かったのですが、何を思ったかヤギが途中からヒステリーを起こしまして、わけのわからない事を喋り出したかと思えば、突然、全力で走りだし、気づけば崖に登ろうと片足を掛けている所でした。私めは恐ろしくなり直ぐに身体から離れました。その後、家に戻るのは本当に苦労しましたよ」


そうだろうなと僕は思った。というか寧ろ良く家に帰ろうなどと思ったものだ。動けないと言ってら差し支えないのに。普通、その付近で暮らす方が賢明ではないのか?僕がそのように尋ねるとサヨリさんは親指を立てた。


「新婚だったのです。おまけにあっちもまだ未経験でしたので、どうしてもやってみたくて頑張りました。


「性欲馬鹿は大魚だけじゃなかったみたいだね。良かったな大魚。これでいつでもチンコを勃起させてもいいぞ」


「何を言ってんですか!」


「何をってサヨリはヤリたくて家に戻るほど性欲馬鹿なんだよ」


「違います。種の存続の為です。それは本能だから帰っただけに過ぎません」


「どっちでも同じだって」


重美さんはいい、手の平を上にして腕を伸ばした。


「多少、小降りになったけど、もう少しここにいた方がいいかもだね」


そういうと重美さんは地面へ座った。


「ヤルならここからどっか遠く離れた場所でやってね」


そういうと重美さんは目を閉じた。


「眠くなったから先に寝るね。サヨリも私達、ううん。大魚について来たいならそれでも良いけど、私達はこの森を抜けるつもりでいるから」


「はい。ありがとうございます。お言葉に甘えて途中まではご一緒させて頂きます」


サヨリさんはいい僕の左足のふくらはぎへ向かって動きだそうとした。だが一向に動いている感じがしなかった為、仕方なしに僕が左足をサヨリさんの前へと投げ出してあげた。


「お心遣い痛み入ります」


そう言いながら僕の左足のふくらはぎにガッツリとしがみついた。


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