第96戒 戦いの最後へ……
フェルルとファルルはシュレイルを見て少しだけ殺気立たせる。そして、フェルルは暗器を取り出した。そして、すぐに攻撃を繰り出す。
「そんなのが通用すると思ってるの?バカね。”シャイニングフレイム”」
『っ!?』
シュレイルは唐突に金色に光る炎を放った。その炎は真っ直ぐフェルルとファルルに向かって飛んでくる。2人はその炎を後ろに飛び退き避けた。
そして、すぐに反撃する。
「”暗器千絶”」
千個の暗器がシュレイルを襲う。
「そんなもの効くわけないでしょ」
しかし、全て弾かれる。シュレイルは全て弾くとすぐに弾いた暗器を謎の力で浮かせて跳ね返した。フェルルとファルルはそれを全て避ける。しかし、謎の力で向かってくる。
「っ!?」
「追尾してる!?」
「残念ね。これで終わりよ。”カオスファイア”」
シュレイルはフェルルとファルルに向かって黒い炎を放つ。フェルルとファルルはそれを見てすぐに逃げようとするが、暗器が迫ってきていて逃げ場がない。
「しまった……!」
「やられる……!」
2人は死を覚悟して目を瞑った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━一方その頃陽炎は……
「春……お前はなぜこの世界に来た?そしてなぜ俺の邪魔をする?」
「なぜって……世界が欲しかったからよ。だからセントクロスを強くさせてこの世界を1度滅ぼそうと思った。その後に、私好みの世界に変えればいいだけなのだから。だけどあなたはそれを邪魔しようとしてるのよ。止めるに決まってるわよ」
「そうか……なら死ねよ。”封印術式立方体”」
陽炎は手を突き出しキューブを作り出す。そのキューブは回転すると突如バラバラになり光を放つ。
そして、そのキューブを春に向かって飛ばした。キューブは青い光を放ちながら弾丸のように春に向かって飛んでいく。しかし、手に持っている剣で弾かれ有効打にはならない。
陽炎はそれを見るとすぐに背後を取る。そして、アロンダイトを背中から抜き振り上げた。
(やるしかない。今はもう忘れてしまったあの技。力と引き換えに使った技。今ここで使うしかない。理を変えるんだ)
「”理を変えろ……!””陽流・九式・炎斬華”」
その瞬間、陽炎の持っていたアロンダイトに炎がやどる。その炎は普通の炎よりも熱く、光り輝いていた。それはまるで、太陽のようだった。
「っ!?なんで……!」
春は何とか体を反らし避ける。そして、すぐにその場から離れる。しかし、陽炎は逃がさない。
「逃げるなよ。”陽流・十七式・白炎の舞”」
白く燃える炎を纏った刃が春を襲う。しかし、その刃は春には届かない。見えない壁に防がれる。
「クソッ……!」
「残念ね。あなたじゃ私には勝てないわ」
「……そうでも無いかもな」
陽炎はそう言って左目に太極図を浮かべた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━一方その頃、ファルルとファルルは……
2人の戦いは激化していた。そして、絶体絶命でもあった。目の前からは黒い炎、その他の方向は全て暗器で囲まれていた。
フェルルとファルルはそれを見て目を閉じた。次に攻撃が来る。そして、その攻撃を喰らえば2人にあるのは死のみだと分かったからだ。
しかし、いつになっても攻撃が当たらない。もしかしたら、当たったことすら分からずに死んでしまったのかもしれない。そう思っていた時、ふと目の前に誰かがいることに気がついた。
『っ!?』
「ほら、危ないでしょ。ちゃんと周りを見ないと、かーくんが怒るよ」
そう言って手を差し伸べてきた。その手をたどって見ると、なんとテム達がいた。
「なんで……!?」
「なんでって、あなた達が飛び出して行ったから追いかけてきたに決まってるでしょ」
「そうだよ。陽炎くんには悪いけど、私達も無茶させてもらうわ」
「そもそも、かげくんって私達が傷つくのが嫌じゃん。だったら2人が死んじゃったら立ち直れないよ」
そう言って結界を消す。どうやら3人はいつの間にか結界を張っていたらしい。それに、黒い炎も無くなっている。
「私が消しましたよ」
「え!?嘘……」
「嘘じゃないですよ。だって、あんなの食らったらあなた達に傷がついてしまって魔王様が悲しまれますもの」
「おい、俺が情弱みたいな言い方するな」
突如陽炎の声がする。振り返ると陽炎が呆れた表情をして立っていた。
「あれ?かーくん、お母さんは?倒したの?」
「いやまだだな」
そう言って指を指す。その方向には地獄とも思える程の灼熱の炎が上がっていた。そして、その灼熱の炎の中に春は火傷をしながら突き進んでこっちに向かってきている。
「何あれ?ゾンビ?」
「まぁ、ゾンビみたいだが違うな。恐らく、ロキのミストルティンを吸収したのだろう。その再生の力を使っているのだと思う。あの感じからしてロキ自身も取り込んでいる。それどころか、オーディンやデュスノミアーも武器ごと取り込んでいる」
「まさに、最強の敵ね」
「そうだ。だが、魔王は魔の王者だ。要するに、魔法が1番強い人のことだ。だから、俺が最強だ」
「何それ?屁理屈すぎでしょ。でもいいんじゃない?勝てるんなら」
「逆に俺が負けると思ってるのか?」
陽炎のその問いに皆は怖いくらいににっこりと笑う。どうやら満場一致で同じ答えのようだ。
「フッ、まぁこれまでの旅とかそういうのでわかってるだろ?」
「うん!わかってるよ!かーくん負けるよね?」
「は?」
一瞬固まってしまった。どうやら陽炎は魔法の放ちすぎで耳がおかしくなったようだ。やはり、魔法はむやみに使わない方がいいらしい。
「……負けるのか……なら戦う意味無くね?」
「じょ、冗談だよ!かーくんをおちょくっただけだよ!勝てるって!絶対!」
「……後でお仕置ね」
「ヒィ!ごめんなさい!許して!」
テムはそう言って泣きながら謝る。こんな状況になってもいつも通りだ。ここまで来ると笑えてしまう。
「良いじゃねぇか。これくらいが良いんだよ。ほら、来てるぜ。アイツらに教えてやろうじゃねぇか。俺達の力を」
『ん!』
「フッ、じゃあ行くか!”お仕置執行だ”」
その瞬間、陽炎達を含め春とシュレイルが陽炎の作りだした領域に囚われた。
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