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第91戒 3度目の勇者

 早速陽炎は仕事に取り掛かった。色々と問題が起こったが、まずやるのは国の防衛だ。α達を失ってしまった今、この国の防衛は全て冒険者達にやらせる他ない。だが、α達を殺した相手を冒険者達が戦って勝てるかと言うと恐らく無理だろう。


 だとしたら、やはりギルシアを防衛に回す他ない。だが、それだと戦力が足りない。勇者5人程度なら陽炎1人で倒せるかもしれないが、恐らくそんな少ない数で攻めてくることはないだろう。


 それに、セントクロスと来る日がブッキングしてしまえばそれこそ戦力が足りなくなる。


 かと言ってエニム達を防衛には回せない。エニム達はいつ陽炎と融合するかわからない。もし離れていれば、力が必要な時に使えなくなる。


「……やっぱり、ギルシアを防衛に回す他ないか」


「わかったわ」


「あぁ、頼むよ」


 防衛はこれでいいだろう。次は、遠征して戦いに行く人達と、近場で戦闘をする人達を決めなくてはならない。


 エニム達は必ず魔王城から近くなくてはならない。そうでなければ力を発揮することが出来ないからだ。そう考えると、陽炎達が行く他ない。


 まぁ、魔王が魔王城から離れて戦うというのもどこかおかしな話なんだがな。別にいいだろう。


 もとより、俺は魔王城で戦うつもりはなかったからな。


「じゃあ、すぐに……」


「魔王様!勇者が……大北魔道連盟国の勇者が攻めてきています!あと数分もすればこの国に侵入すると思われます!」


「何!?クソッ、先手を打たれたか。なら仕方がない。全勢力を防衛に回せ!俺が出る!魔王城を守りつつこの城に敵を引きつけろ!」


 陽炎の一言で、全員は慌ただしく動き始めた。そして、すぐに防衛の準備を始める。


「魔法士組は魔王城のベランダにで結界をはれ!そこから魔法を放ち続けろ!前衛職は必ず防御スキルを持っているやつと組め!1人にさせるな!回復系はギルシアと一緒にいろ!」


 陽炎はテキパキ行動し、その場にあった対応をしていく。陽炎のおかげもあってか、国の防衛は数分で完了した。そのため、勇者達が来る前に対策を打つことや、どういう技を使うかの確認も出来た。


「っ!?」


 その時、とてつもない殺気を感じた。これまで感じたこともないような殺気だ。それは、まるで陽炎達を一撃で葬り去ろうとするかのように膨れ上がっていく。


 そして、その直後に魔王城に攻撃が飛んできた。その攻撃は、一瞬にして結界を壊し魔王城をむき出しの状態にしてしまった。


 しかし、1回や2回壊されたくらいどうってことは無い。冒険者達はすぐに結界を張り直す。すると、勇者の攻撃がもう1つ飛んでくるのが見えた。


「”消えろ”」


 陽炎は左目に太極図を描きながらそう言った。すると、その斬撃は一瞬で消える。そして、すぐに魔法士組が勇者の存在を確認した。


「魔王様!勇者が現れました!」


 そう言って指を指した方向を見ると、確かに勇者が居る。あの、光の勇者もちゃんといる。あんなにピカピカした剣を持っているやつは勇者以外に思いつかない。


「……はぁ、もうやる気が起きなくなったよ」


「かーくん!そんなこと言ってる暇はないよ!」


「陽炎くん!私に任せて!」


 ディリーが自信満々で言ってきた。……普段はこんなこと言わないくせに……いや、だからこそかけてみたくなる。ディリーが倒せると思ったんだ。見てみたいじゃないか。そんな力を。


「良いぜ。精霊の力を見せてくれ」


「うん!”……死樹海しじゅかい”」


 ディリーが呪文を唱えると、とてつもない魔力が勇者達に向かって放たれた。その魔力は地面を通り一瞬で勇者達の足元に来る。瞬きを1つした。すると、勇者達のいた場所は赤い樹海になっていた。


「……凄いな」


「陽炎くん!褒めて!」


 ディリーは上目遣いで言ってくる。そんなことされると意地悪したくなるが、ディリーが頑張ったので優しく頭を撫でて褒めた。すると、撫でられるのが気持ちいいのか頬を少し赤らめて笑顔になる。


「っ!?まさか……!」


 その時、陽炎は何かを感じた。そして、すぐにアロンダイトに手をかける。すると、その数秒後に光の斬撃が飛んできた。


 陽炎はその斬撃を切り裂く。すると、その余波が陽炎達を襲う。しかし、そんなことで怯んではいられない。なぜなら、目の前に男がいるから。目の前に、光の勇者が立っているから。


「魔王!覚悟!」


「おまえに構ってる暇はねぇんだよ!」


 リヒトは大声で叫びながら剣を奮ってきた。陽炎はアロンダイトで防ぎながら、ヴェルトラウムをもう片方の手で抜く。そして、左目に太極図をうかべた。


「”吹っ飛べ”」


「っ!?何っ!?」


「終わりだ」


 陽炎は2つの剣をクロスにさせて切り裂いた。しかし、リヒトはそれをギリギリのところで防ぐ。陽炎はさらに追い打ちをかけるように連撃を放った。


「お前の負けなんだよ」


「黙れ!僕だけ生きてると思うなよ!勇者を舐めるな!」


 その言葉とともに、複数の勇者が現れた。その勇者達はそれぞれ不思議な力を感じる。そして、出てくるなりいきなり詠唱を始めた。


「これで僕の勝ちだ!」


「いや、まだだね。”吹っ飛べ”」


 しかし、勇者達は全員耐える。


「言ったろ!勇者を舐めるなって!」


「……そうだな。なら、足元には気をつけろ」


「何!?」


 咄嗟に全員はその場から離れた。しかし、何かが出てくるわけでもなく何も起こらない。リヒト達は何が起こったのか分からなかったが、陽炎が攻撃を仕掛けてきて嘘だとすぐにわかった。


「嘘をついたな!」


「人聞きが悪い。これは作戦だよ」


 そう言ってリヒトに向かって剣を振り下ろした。今度は確実に当たる。そう確信した。しかし、当たらない。というより無理やり剣の軌道を変えられた。


 横を見ると、魔道士的な格好をする女の子がいた。リフレインだ。そして、その隣に謎の男もいる。


「絶対絶命……て訳でもなさそうだな。本気を出してやるよ」


 陽炎は左目の太極図をさらに光らせた。

読んでいただきありがとうございます。

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