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第51戒 力の詳細

 2人はちょっぴり泣いていた。少しの間無視されつたけていたのだ。だが、それはわざとでは無い。単に忘れられているだけだった。


「悪いな。忘れてたよ」


 しかし、2人は無反応でちょっぴり泣いている。


「はぁ、早く話せ。何で暴れたんだ?」


「・・・」


「たとえ怪我していても容赦はしないぞ」


「・・・」


 やはり何も言わない。こっちを見て泣くだけだ。本当にこいつらはやられたいのか?そんなことを思っているとテムが後ろから話してきた。


「かーくん、2人にはね喋ると喉に激痛が走る魔法をかけたの。だから、喋れないのよ」


「・・・」


 陽炎も黙ってしまった。


「・・・じゃ、じゃあその魔法を解くね」


 そう言って首に手を当て詠唱を始めた。それが終わるとフェルルとファルルは少し声を出し、陽炎の質問に答えた。


「あの時ね、お姉ちゃんが来た時に、やった!やっと会えた!って思ったの。でも、セントクロスって言われてなんだかよくわかんなくなっちゃったの・・・」


「ね、ねぇ、貴方魔王なんでしょ。教えてよ!セントクロスって何?お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃないみたいだったけどなんで?」


 2人はかなり疲弊している。それに加えて、謎の組織、いつもと違う姉、彼女らを不安にさせる要素は5万とある。


「良いだろう、教えてやるよ。まずはセントクロスの事だが・・・」


 ━━話は長く続いた。1つ言えば1つ質問が来る。話せば話すほど2人の顔は不安に染まっていく。話が終わる頃には2人は涙を流していた。


「・・・な、なんで・・・?なんで、そんなとこに・・・?」


「俺が知るか。だが、アイツらの仲間だと言うのなら俺は全力で潰す」


「っ!?そんな・・・やめて・・・」


 2人は泣きながらそう言ってきた。


「無理だね。セントクロスは敵だ。今のうち潰しておかないと後々厄介なことになる」


 キッパリ言った。こういうことははっきり、キッパリ言わないと有耶無耶になる。そうなれば、組織の欠陥となってしまう。だから、そう言った。それがわかったのだろう。2人は大粒の涙を流してはいるが反論はしてこない。


「さっきも言ったが、フィルルがなぜセントクロスに入ったのかは分からない。それに、なぜあれほどの力を手に入れることが出来たのかも分からない」


 陽炎は言った。


「それに、シュレイルがなぜ古代魔法(アーティークマジック)を使ってたのかも分からない」


 陽炎は続けて言う。


「今の戦力と状況で進行するのは無理がある。だから、しばらくの間はゆっくり過ごすつもりだ。その間に考えてくれ」


 さらに続けて言う。その言葉1つ1つに2人は重みを感じた。


「俺の敵になるか、ならないか決めてくれ。だが、敵になるなら全力で潰す。それだけだ」


 そして、陽炎は2人を拘束してある鎖を外した。そのまま牢獄を出て4人でその場を離れた。その場に残された2人はその場にへたりこむと大粒の涙を流して呟いた。


「そんなこと言われたって・・・」


「でも、答えはもう決まってる・・・」


 ━━場所は変わって陽炎の部屋では、テム、ディリー、ルーシャの3人が裸で両手を釣られていた。


「なぜ、そんな大事なことを早く言わなかったんだ?」


「だって・・・言わなくてもわかるって思ったんだもん・・・」


「分かるか!あのな、俺は治癒魔術師でも、感覚でどこが悪いかわかるような人じゃないんだ。言ってくれないと分からないんだよ」


「うん・・・」


「で、俺の左目には何が着いてんの?」


「それがね、なんだか普通のやつと違うのよ。魔力は流れるんだけど、そこに入ると別の何かに変わっちゃうんだよ」


「それでね、それが直接左目と繋がってて魔力を流すと右目と似たような紋様が左目にも映るの」


「そうか・・・」


 話を聞くと深く考え込んだ。どうやら両目に謎の力が宿ってしまったようだ。オンオフの切り替えはできるみたいだからそこは心配しなくてもいいが・・・


「代償が大きいってのは難点だよな」


「うん・・・そうだよね」


「かげくんのその場体もその目の力を使った代償なの?」


「おそらくな。それに、1度使うと1日空けないと使えないみたいだ」


 3人は俯き考え込んだ。この力を使うか使わないかを・・・だが、たとえ代償が大きいと言っても使わなければならない。代償が大きいということはそれほど強い力を持っているということ。それに、使わないと今後も勝てない。そんなことを思っていると3人が心配そうな顔でこっちをみていゆの気がついた。


「そんな心配そうな顔をするなよ」


 だが、まだ心配そうな顔をしている。


「大丈夫だって。使い所は考えるよ」


 やはり心配そうな顔をしている。


「・・・」


 陽炎はそんな3人の顔を見て、片方の手を釣っている紐を外した。


「お前達に言っておくよ。俺は負けないし、死なない」


 それでも心配そうな顔をしている。しかし、陽炎は続けて言う。


「約束だ。俺は必ずお前らの元に帰ってくるよ」


 そう言って、右手の小指を立てた。


「それ何?」


 素朴な質問だ。どうやらこの世界にはこれは無いみたいだ。


「約束をする時にやるんだよ。真似してやってみて」


 そう言うと、3人は真似して小指を立てた。それを陽炎は小指で絡め取り3人の小指を組ませた。


「じゃあいくよ。指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます♪」


 そう言うとテムは不思議そうな顔でこっちを見てきた。ディリーとルーシャも同じだ。


「これをするとね、嘘つけないんだよ。前にやっただろ、覚えてないのか?」


 そう言われると、前にやった気がする。その時も約束を守ってくれた。それだけで、3人の顔は明るくなり心配も薄れていく。


「フフフ、これも我が宿命。邪眼・・・いや聖眼か、まぁどちらでもいい。まさか、この俺が手に入れるとはな・・・」


「ふふふ、なんだか気が抜けちゃったな」


 3人はそれぞれ笑いだした。心配も無くなったみたいだ。そう思うと自然と陽炎も笑っていた。


「でも、なんだかちっさいまんまで言われると可愛いなぁ」


「え?」


「ほんとだね。あはは」


「いや、あははじゃねぇだろ。それって今の俺に威厳がないってことだろ。今の俺見られたら・・・」


 すると、突然話を止めた。そして、何かを探し出した。


「何探してるの?」


「いやさ、ほら、あの時俺仮面つけてたじゃん。マントもだけどさ、どこ行ったの?いつの間にか外れてたけど」


 すると、全員目を逸らした。これは何かある。もしかして無くしたのか?


「怒らないから言ってみろよ」


「え、いやぁ〜、だって怒るじゃん」


「いや、怒らないけど・・・てか、今怒っても怖くないだろ」


「ん〜」


「いいから言ってみろ」


 何度も聞くと決心したかのようにうなづいて、目を泳がせながら言ってきた。・・・いや、そこまで怖がるような事じゃないだろ。


「あのね、それがね、なんかね・・・」


「さっさと言えよ。そうやって焦らすから怒るんだろ」


「は、はい!その、あの時仮面とマント落としてさ無事だったんだけど城が崩れた時に一緒に壊れちゃったの!」


「なんだ、壊れただけかよ」


「え?怒んないの?」


「別にそんなことで怒ったりしないよ。また作れば良いだろ。ほら」


 そう言って作り出した。そう言えば生成と加工っていうスキルを持ってたな。3人はそう思った。


「ていうか城が崩れたのか。へぇ〜・・・じゃねぇよ!」


「え?ちょっと、なんで怒るのよ?怒らないって言ったじゃん!」


「いや、怒る怒らない以前に何しれっと城が崩れたこと言ってんの!大問題だろ!」


「だって、自分の国のやつじゃないし・・・」


 3人はそれぞれに言ってくる。確かに壊そうと思ってはいたが、なぜ生きているのか?とか、どうやって壊したのか?とか色々と気になることが多い。


「はぁ、そもそも危険だろ。そんな奴がいたらこの城も崩される可能性だってあるんだぞ」


 そう言うと3人はハッとしたように顔を見合せ、陽炎に、抱きついてきた。


「ど、ど、ど、どうしよう!このままじゃ危ないよ!」


「そこまで急変するか!?別に心配しなくていいよ。ギルシア達が結界を張っている。流石にそれは壊せないだろう」


 すると、3人はほっとするように息をはいた。


「これでわかったな。これからやることが」


「うん、そうだね」


「それじゃあ、全員集めろ。魔王の間だ」


『うん!』


 威勢のいい返事が部屋中に広がった。

読んでいただきありがとうございます。

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