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第49戒 セントクロスの使者

「俺に傷は付けられない。今ので分かったろ」


 そう言った。確かに傷は無くなった。それどころか腕が再生している。左足もだ。


「さすがにここまでやられたのは初めてだよ」


 そんなことを言って足を進める。シュレイルは動くことが出来ない。目の前に人とは思えない人が存在する。その男の殺気はとんでもなく恐怖以外の何者でもない。そして遂にシュレイルの目の前まで来た。


「どうした?攻撃しないのか?」


「しても意味ないじゃん・・・」


「そうだな。じゃあもう終わらせようか」


 シュレイルは目を瞑った。死を覚悟したのだ。それを見て陽炎は剣を振り上げた。


「さよならだ。”陽流(ようりゅう)六式(ろくしき)()御影(みかげ)”」


 剣はシュレイルに突き刺さった。剣から魔力が流れ出すとシュレイルの体が燃え始めた。いや、燃えたと言うより光の粒子となっていく。さっき使った技の反対のような技だ。体中に光は行き渡りシュレイルは完全に消えてしまった。


「・・・やっと終わったよ。あぁ、疲れた」


 そして、後ろに倒れた。しかし、途中で止められた。これは・・・ふかふかのクッションのようだ。だが、少し違う。ぷにぷにもふもふ、だけど張りがあって風船のようだ。なんだか触ってて気持ちがいい。ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに・・・


「・・・はぁ♡・・・はぁ♡・・・」


「・・・ん?」


 そして振り向いた。・・・それは・・・


「かーくん・・・しゅき♡・・・」


「・・・え?」


「しゅ、しゅごいプレイでしゅ♡・・・見てるだけで満足でしゅ♡・・・」


「ええ?」


「かげくん・・・ここでそんなに♡・・・」


「えええ?」


 なんとそこには3人がいた。そして、そばには傷だらけで立っているのがやっとのフェルルとファルルがいる。


「な、な、な、なんでここにいるの?」


「だって、待ちきれなかったんだもん♡」


「そんなことより、なんでかげくんはそんなにピンピンしてるの?」


「そう見えるか?」


 そう言うと3人は陽炎の全身をくまなく見た。


『見えな〜い♡』


 声を揃えてそう言った。そして、陽炎はテムの胸に顔を埋めた。テムが陽炎の頭を撫でて褒めているとディリーがあることに気づいた。


「陽炎くんの左目、どうなってるの?」


「っ!?」


『本当だ!』


 全員声を揃えて言ってきた。やっぱり気づくのか・・・


「秘密にしておくのってダメかな?」


『ダメ!』


「やっぱりか・・・それなら、後で話すよ。その前にやらなきゃならないことが・・・」


 そして、左目を白く光らせた。すると目の色は紫に変わり光を発した。足を進める。向かうはベランダ。そこからはサモナールを一望出来る。そして、下には国民が・・・陽炎は国民のまえにたった。


「サモナール王国民に告げる!この国は我が手に落ちた!この時よりこの国は大魔界帝国となる!意義を唱えるものは本日中にこの国より出ていくがいい!その場合は攻め落とす際に容赦はしない!」


 国中にざわめきが広がった。これで陽炎のやることは終わった。あとはアイツらの姉を探すだけだ。そして、場所は分かっている。今すぐに・・・


『っ!?』


 その時陽炎の意識は途絶えた。国民から見えなくなった場所で突如倒れ込み動かなくなった。


「かーくん!?大丈夫!?」


「今すぐに回復を!」


「こっちに連れてきて!」


 その場は騒然となった。急いで部屋の中に運び込み回復の準備を行う。と、その時みんなの前にある人が現れた。


「っ!?嘘・・・でしょ・・・」


「なん・・・で・・・ここに・・・」


「フフ、会いたかったわ。フェルル、ファルル」


『お姉ちゃん!』


『え!?』


 目の前に来たのはなんと2人の姉、探していたフィルルだったのだ。フィルルはみんなを眺めて話を始めた。


「私はフィルル、フィルル・シュルト。そこの2人の姉です」


 フィルルは話を進める。


「早速なんだけどあなた達にはセントクロスに入ってもらうわ」


『え!?』


「ちょっと待って!セントクロスって・・・」


「あら、知ってたの?なら話が早いわ。じゃあ行きましょ」


「いや行きましょって・・・」


 テム達は拒んだ。それを見てフィルルは不思議そうな顔をして手を頬に当てている。


「どうして?いいことしかないわよ」


「だって、セントクロスって・・・」


 フィルルは本当に不思議な顔をした。そして、態度が急変した。


「ならいいわ。力ずくで連れていくだけよ」


 そして、床から剣が現れた。この空気はやばい。その場の全員が肌で感じた。


「さて、腕の1本でも切って連れていくかな」


『ヒィッ!』


 すぐにでも逃げたい。でも、体が動かない。このままじゃ死ぬ。皆そう思った。


「殺しはしないわ」


 剣を振り下ろした。死ぬ・・・


「そんなことはさせない。俺は俺の大事な存在を特別な人を・・・傷つけさせない!」


 皆目を瞑っていたから見えなかっただろう。でも、陽炎が起きた。死ななかった。私達を守ってくれた。色んなことが頭をよぎる。でも、そんなことより、やっぱり・・・


『ありがとう!・・・助けてくれてありがとう!』


 その言葉が一番最初に出てきた。今、そんな状況じゃない、そんなことに気を取られていられないのにその言葉しか出てこなかった。


「あら、起きたのね。なら丁度いいわ。あなたもセントクロスに入ってもらうわ」


「拒否させてもらおう。俺はお前らセントクロスが大っ嫌いなんだよ」


「そう、なら強制的に入ってもらうわ。”死閃(デットシャイニング)”」


「いきなりか!クッ!」


 甲高い音と共に火花が散った。さらにフィルルの剣は光っているせいか、よく見えない。このままだといつかやられてしまうだろう。


「なら、殺られる前に殺るだけだ!”炎流(えんりゅう)赤裂(せきれつ)”」


 とてつもない炎が剣にまとわりついた。その炎はフィルルの剣を溶解した。


「フッ、切ったって言うより溶かしただな」


「本当ね。凄いわ。・・・仕方がないわね。ここは退くとするわ」


 そう言って後ろを向いた。隙だらけじゃねえか。今殺すしかない!


「”雷流(らいりゅう)雷突(らいとつ)”」


「少し遅かったね。じゃあね」


 剣は貫くことは出来た。でも、傷はつかない。血も出ない。空間が揺らぐとそのままフィルルは消えてしまった。


「終わったの・・・?」


 テムは問いかけた。陽炎は剣を収めるとこちらを向いた。しかし、何も答えない。


「陽炎くん?大丈夫なの?」


 ディリーは問いかけた。しかし、陽炎は答えない。


「かげくん?どうしたの?」


 ルーシャは問いかけた。しかし、陽炎は答えない。そして、ニコッと微笑むとテムの前まで来て、倒れた。顔を胸に沈めて気を失った。


「カーくん・・・よく頑張ったね!ありがとう!」


 テムは笑顔になると声を弾ませそう言った。


 ━━陽炎は暗闇の中を1人で歩いている。どういう訳か喉がかわいている。それでもまえに歩いている。死にそうな程にかわいてきたくらいであるものを見つけた。それは、なんとおっぱいだった。


「っ!?」


 不思議にしか思えなかった。それなのに、何故か手が伸びる。無性に揉みたくて仕方がない。さらに、喉がかわいているせいか吸いたくてたまらない。そして遂に乳首に口をつけ吸い付いた。


「チュッパ、チュッパ・・・」


 コリコリしていて感触がたまらない。さらに、ミルクが出てくるがそれがたまらなく美味い。チュッパチュッパチュッパチュッパチュッパチュッパチュッパ・・・


「ん♡はぁ♡んん♡」


 そこで目が覚めた。目を開けると、顔を真っ赤にして喘いでいるテムの姿があった。そして、そのテムの胸にしがみつき揉んで、吸い付いている陽炎の姿も。


「あ、やっと起きた」


 皆がいる。そして、なぜだか大きい。皆が自分を見下ろしているのだ。それに、無性に胸にしがみつきたい。


「可愛いね〜♡」


「癒されるよー♡」


 え?どういうことだ?そんな考えが頭をよぎった。


「どういう・・・」


 手を挙げた。皆に触れようと手を上げると見えてきた手が異常に小さい。大人の手にしては小さすぎるのだ。


「まさか・・・これって・・・」


「ふふふ♡」


「俺、小さくなってる・・・?」


『せいか〜い♡』


 皆の声を聞くと陽炎はその場に立ち尽くした。

読んでいただきありがとうございます。

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