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第42戒 至高の祝福と闇の力

「新婦様方、ご入場お願いします」


 アナウンスが流れた。


「呼ばれたぞ」


『うん』


 4人は扉に手をかけた。その時、陽炎の頭に素朴な疑問が浮かんできた。


「そういえばだけどさ、この世界って一夫多妻ありなの?」


 3人は一瞬黙ったあと、笑いだした。


『あはははは!』


「あ、おい笑うなよ」


「ごめんごめん・・・だって陽炎くんがそんなこと言うんだもん」


「そうだよ。かげくんは一国の王なんだから、そういう法律でも作ればいいじゃない」


「そういうもんなのか・・・」


 そして3人は中へと入っていった。扉は閉められ陽炎は1人その場に残された。その時陽炎は、魔王になってからずっと着けていた仮面を手に取ってこれまでの事を思い返していた。


(もう、ここまで来たのか。長いようで短かった。まだ来て、1、2ヶ月程度しか経ってないんだもんな。最初はわけもわからん場所に突然呼ばれ、冒険者になろうと思ったら試験を受けて・・・テム、ディリー、ルーシャと出会って家族にも久々に会えたな。まぁ、殺したけど)


 陽炎は思い返していて不意に涙を流した。・・・そうか、そうだったのか。


「俺も、心のどこかでは家族と会いたかったのかもしれないな」


 小さくそう呟いた。そして、アナウンスが流れてきた。


「それでは新郎様、ご入場お願いします」


 陽炎は足を進め、扉に手をかけた。


(俺は、皆を幸せにする。これで終わりじゃない。まだ、敵はいる。この世界も調べたいことは星の数ほどある。・・・そう、これは皆を幸せにするための1歩目なんだ)


 扉を開くと、そこにはベールをかぶり、ドレスに身を包んだ3人がこっちを見つめていた。それを見ていると、今自分が怪我していることなど忘れてしまいそうだった。それほどまでに3人は美しかった。そして、陽炎は足を進める。カツンッという音が鳴り響く。周りは人がたくさんいて、拍手がなり続けている。そして、3人の目の前まで来た。


「え〜、では、始めましょう」


 神父らしき人物が何か言い始めた。これはあれだ、いつもの決まり文句的なやつだ。日本と変わらないらしい。


「・・・健やかなる時も・・・」


『誓います』


「誓います」


「では、誓いのキスを・・・」


(・・・どうやんの?全員一緒にやるの?無理じゃね)


 陽炎が困っているとテムが手招きをしている。そういう事ね。陽炎は1人ずつキスをしていった。皆を大事に思って、守りたいっていう気持ちを、幸せにしたい気持ちを込めて・・・


「え〜、では、指輪の交換を」


 3人に指輪をはめてあげた。3人も陽炎に、指輪をはめてあげた。それからも色々続いて、式は終了した。


「・・・おめでとうございます!」


 ギルドの人達、街の人達から言われる。陽炎達は全員に手を振り魔王城へと帰って行った。


「おめでとうございます。陽炎様、お忙しいところ申し訳ないのですが、至急牢屋まで来てください」


「なんだよ、急だな」


 とか何とか言いながら陽炎達は牢屋に向かった。牢屋に着くとそこには驚きの光景が待っていた。


「何してんだよフェルル、ファルル」


「魔王!?」


 2人がそういうとギルシアの視線が鋭くなった。


「お願いだよ。私達をここから出してくれよ」


「いや、そもそも何故ここにいる?」


「あの・・・私が捕まえました・・・」


 そう言って出てきたのはμだった。


「あぁ、あの後か・・・」


 陽炎は呆れて何も言えなかった・・・。2人は魔王と面識がある。その場の全員がそう思って牢屋から出すか出さないか迷いだした時陽炎は平然と言った。


「出すわけないじゃん。お前らは俺の情報を持ちすぎだ。このまま自国に帰られても困るしな、当分ここで暮らしてもらう」


「え?」


「どうして・・・?」


「いや、だから今言っただろ。俺は同じことを2度言うタイプの人間じゃないんだ。まぁ、多分だけど直ぐに出られるよ」


 そして陽炎は手を振っていなくなった。


「そういうことだ。あなた達はそこで暮らしてもらうわ」


 そして、全員いなくなってしまった。フェルルとファルルは牢屋で静かにへたりこんだ。


 ━━毎度の如く陽炎はいつもの椅子に座っている。横にはテム達が、目の前にはギルシア達がいる。


「それで、サモナール王国はどうなっている?」


「現在、この国へと進軍を進めています。あと2日もすれば到着するかと」


「フッ、予想通りだな。ギルドに伝えろ。ゴールド以上の冒険者は直ちに戦闘の準備をしろとな」


「はっ!」


「指揮はβとγに任せる。δ、η、μは後方支援だ。その他は魔王城にてテム達の護衛に着いてもらう」


『はっ!』


「ギルシアは今回戦闘には参加するな。もしもの時は参加してもらうが・・・まぁ、そんなことは無いだろう。今のうちに全員の持ち場を説明する」


「はっ!」


 ━━それから陽炎はそれぞれの持ち場を説明した。そして陽炎は話終わると一つだけ疑問を投げかけた。


「そのはっ!てやつ、なんなの?」


「王に対する返事はこれかと・・・」


「まぁいいけどさ、もっとほかのやつ無いの?了解とかそう言うの」


「わ、分かりました。考えておきます・・・」


「・・・ま、とりあえず今言った担当で守ってくれ。何かあれば直ぐに連絡しろ。それじゃあ各自行動に移れ!」


『了解!』


 ━━それから各自行動を開始して2時間がたった。その間陽炎は自分の部屋で倒れていた。その傍らには3人が手を握っている。


「かーくん・・・」


「やっぱりきつかったんだ・・・」


「こんなになるまでほっとくなんて・・・ダメだよ。死んじゃったらどうするの・・・?私達悲しいよ」


「ははは・・・ごめんね・・・」


 そう言って陽炎は頭を撫でようと体を起こしたが体が思うように動かずルーシャの上にもたれ掛かるように倒れた。


「かげくん!?」


「まずいわ!治癒魔法をお願い!」


「うん!”リカバリーホープ”」


 陽炎が白い光で包まれる。しかし、傷が治ることは無い。黒い何かが体から出て陽炎を蝕む。


「う・・・あ・・・が・・・」


「かーくん!?」


「やめて!陽炎くんが苦しんでいるよ!」


 咄嗟に治癒を辞めた。黒い何かは動きを止めたが、陽炎は痛みに涙を流し始めた。


「かーくん・・・どうしよう・・・私達じゃどうにも出来ないよ・・・」


「・・・・・・・・・ちょっと待って、陽炎くんはどうやって式に出たの?」


 3人は一斉に陽炎を見た。確かにそうだ。どうやって式に出たのか?どうやって傷を塞いでいたのか?そんな疑問が頭によぎった。だが、その答えは簡単だった。


「う・・・はぁ・・・はぁ・・・あれ・・・は・・・目で・・・うっ・・・」


 突如陽炎が胸を抑え苦しみ始めた。吐血をして涙を流している。しかし、そんな状況でも何かを伝えようとしている。


「目?目がどうしたの?」


 しかし、喋れない。否、喋れないことは無いがこれ以上喋ると死んでしまい総出皆が止めた。


「目・・・目・・・目・・・あ!古代眼(エンシェント・アイ)!それで超回復を進化させるのね!」


「でもそれじゃあ陽炎くん自身がやらないと・・・」


「そんな・・・」


「神様!どうか・・・どうか、かーくんを・・・」


 テムが祈りだした。すると陽炎が突然テムの手を握り微笑んで言った。


「大・・・丈夫・・・だ・・・」


 そして陽炎の目から血が流れ出した。よく見ると古代眼(エンシェント・アイ)を発動している。


「ダメ・・・!それ以上は・・・むぐっ!?」


 突如口を塞がれた。陽炎の人差し指だ。人差し指をどけると下を向いた。すると傷口から黒い何かが出てき出した。さらに陽炎が何か呟いている。


「出ていけよ・・・俺の中から出ていけ。ゴタゴタ言うなよ・・・」


 すると、テム達の頭に何かが直接送られてきた。


【我を追い出すか。無駄な足掻きだ!例え貴様が魔王だろうと我を追い出すことは不可能だ!】


「な、何・・・これ・・・?」


「黙れ・・・そもそも誰なんだよ・・・いずれ見つけ出して殺してやるよ・・・雑魚が・・・」


【舐めるなよ小僧!貴様ごときが我を・・・このダークロートを追い出すことは出来ん!】


「え?ダーク・・・ロート・・・だって・・・」


「お前こそ舐めるなよ・・・」


【諦めることだな。貴様はもう・・・何!?何故だ!?何故貴様の体を掌握できん!?】


「だから・・・舐めるなって・・・言ったろ・・・・・・・・・」


 陽炎は1度黙ると息を大きく吸い込んで叫んだ。


「失せろ!」


【な、ぐぁぁぁぁぁぁ!】


 そして黒い何かは断末魔とともに塵となり消えてしまった。


「かーくん!?」


 黒い何かが無くなると陽炎は俯いたまま起き上がらない。まさか、と思ったが寝ているだけだった。


「なんだ・・・良く頑張ったねかげくん」


 そしてベットに寝かせると3人は服を脱いで陽炎の布団の中に入っていった。

読んでいただきありがとうございます。

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