第41戒 本当の愛の力
「お前らの姉を助けるの、手伝ってやるよ」
陽炎はそう言った。嘘をつくなと今すぐにでも魔法を発動させこの男の首を落としたい。まるで、自分たちのことをなんでも知っているように見透かした目をしているこの男を・・・魔王を殺したい。2人の頭がそんな考えでいっぱいになった。
「ふざけないで!私達の手で助ける!そう決めたの!」
「ふざけないで!あなたに何がわかるの!?私達の気持ちわかるの!?」
「ギャイギャイうるさいな!今の状況理解してんのか!?お前達のことならなんでも分かんだよ!フェルル、あんたの魔法が大きさを変える魔法だってことも、ファルル、あんたの魔法が生産系だってこともな!」
突然の大声に2人は体を強ばらせた。陽炎はそのまま手に鞭をもつと、力いっぱいお尻や胸、太もも、足の裏などを叩いてきた。
「いだぁい!」
「ひぐぅ!」
「こっちはイライラしてんだよ!あっちの時間だとあと10分後には結婚式の準備を進めなきゃならねぇんだよ!」
なんと、陽炎が怒っていたのはそんな理由だった。陽炎はそんなことを言いながらも2人を鞭で叩きまくった。先程とはうってかわり、2人の体には痣が沢山できた。胸には鞭の痕が、背中は真っ赤に太ももはりんごのようになり、お尻はりんごより赤くなっている。
「フッ・・・りんご・・・じゃなくて、確かルンゴだったな。それみたいに真っ赤だな。まぁ、そんなことはどうでもいい。お前達はどうする?勝ち目のない戦いをするか、確実に勝つように手を借りるか」
「手を借りたら・・・私達はどうなるの?」
「俺の奴隷になってもらう。そして、俺の国のためにその力を使ってもらう」
2人の顔が少し暗くなった。
「下を見るな。俯くな。前を見ろ。もう一度聞く・・・お前達は俺の力を借りたいか?」
2人は黙ってしまった。そして、静かに口を開いた。
「お・・・お願い・・・します・・・」
「私達・・・の・・・姉を・・・助けて・・・ください・・・」
2人は泣きながら懇願してきた。陽炎はその様子を見て不敵な笑みを浮かべた。
「上出来だ。お前らの姉は助けてやろう。魔王の名にかけてな」
「あの、私達に首輪を付けなくてもいいのですか?」
「何だ急に?・・・まだ、お前らの姉を助けたわけじゃない。お前らを奴隷にするのは助けた後だ。だから敬語もまだやめろ」
「う、うん・・・」
「ねぇ、もし失敗したらどうするの?」
ファルルがそう聞いてきた。
「奴隷にしないだけだ」
「何もしてくれないの!?」
「なぜ俺が勝ったのに負けたお前らに何かしないといけないんだよ。お前ら理解してんの?今の状況。俺はお前らをどうにでもできるんだ。こんなふうにな」
そう言って2人の体のラインを撫で回し始めた。そして胸の部分を触り揉み始めた。
「ヒィ!」
「ん♡あ♡やめ・・・て・・・」
2人はそれぞれの反応を見せる。それでも陽炎はやめない。胸を揉み終えると後ろに周りお尻を揉み始めた。
「これで分かったか?お前らは黙って俺の言うことを聞いてればいいんだよ」
『ふぁ、ふぁい・・・』
2人は滑舌が回らなくなっていた。
「姉を助けるのは今すぐじゃないが、近いうちに必ず助けてやるよ。それまで待ってな」
そして、陽炎は領域を解いた。裸の2人はその場に座り込んだ。
『あれが・・・魔王・・・』
2人は小さくそう呟いた。
━━一方陽炎は、少し歩いたところで倒れていた。
「体が・・・動かない・・・毒が今更聞いてきたのかよ・・・」
陽炎はそう呟いた。
━━テム達は今、式に向けて準備を進めていた。
「かーくん遅いね。もう、かれこれ3時間は帰ってこないよ」
「あと三十分で式が始まるのに、大丈夫かな?」
「それに、なんだか外が騒がしかったよね」
3人は静かになった。その時ディリーが言った。
「大丈夫だよ。陽炎くんを信じよ」
その言葉で3人は元気になった。・・・だが、なんと陽炎は25分経っても帰ってこなかった。
「どうしよどうしよ!あと5分で始まっちゃうよ!」
とてつもなく陽炎のことを心配してディリーが慌てふためいている。
「さっきまで信じよとか言っていた人が1番慌ててるよ」
「うふふ、そうだね。でも、本当に大丈夫なのかな?心配になっちゃうよ。それに、あと5分しかないし・・・」
「テム様、ディリー様、ルーシャ様、そろそろお時間です。先がつかえておりまして、時間通りに行わないと予約に遅れが出てしまいます」
式場の受付の人が言ってきた。
「あ、はい。すみません、あの、夫がまだ消えてないんです」
「本当ですか!?それはまずいですね・・・」
「私探しに行ってくるよ!」
「お待ちください!入れ違いになるといけません!」
「でも、そんなこと言ったって・・・」
その時、勢いよく扉を開く音がした。慌てて行ってみると、そこには腹を手で抑え血を流しながら壁に寄りかかる陽炎の姿があった。
「かーくん!?大丈夫!?」
「まぁね。残り3分、ギリギリかな」
「かげくん・・・もう式が始まっちゃうよ・・・」
「待ってろ。直ぐに戻るから・・・」
そう言って受付の人を連れ部屋に飛び込んだ。そして4秒後に戻ってきた。
「早!?」
「またせたな。さぁ、行こうぜ」
4人はそれぞれ陽炎にくっつき式場内へと向かった。
━━時を遡ること1時間、何が起こったかと言うと・・・陽炎は剣に付着していた毒にやられて道に倒れていた。
「だ、大丈夫!?」
そんな陽炎を見つけたのか、それとも知ってて追いかけてきたのかフェルルとファルルが来た。
「ごめんなさい!あの剣にはダークロートの魔力を注ぎ込んだ魔毒が塗られていたんです!本当にごめんなさい!」
「ダー・・・ク・・・ロート・・・?・・・それ・・・邪神・・・だろ」
「はい。昔、勇者が倒したという邪神を誰かが魔力だけ復活させたそうで・・・」
「あの、とりあえず誰かの家に入れてもらいましょう。・・・だから・・・だから、お仕置だけは勘弁してください!」
今そんなことやってる場合じゃねぇよ。と、心の中で思いながらあることを思いついた。
「それ・・・だ!”領域”・・・ダメだ・・・まだ、ちょっと余韻が・・・μ、今すぐ来い・・・」
そこで陽炎の意識は失った。それから30分後に陽炎が目覚めると自分はベットの中にいた。どうやら2人が運んでくれたらしい。そして、、傍らにはμが座っていた。
「お目覚めですか?陽炎様」
「あぁ、突然呼んで済まないなμ」
「いえいえ、主のためならどこへだって行くのが私達の仕事です。しかし、傷は治せませんでした・・・邪神の魔力が強いためか陽炎様の魔力が万全じゃないとどうにも・・・」
「フッ、構わないさ」
そう言って陽炎はμの頭を撫でた。
「それと・・・あと30分は安静にしてないと・・・」
「・・・嘘だろ・・・」
そして25分が経って、陽炎は大慌てで外に出た。待ちきれなかったのか・・・今いる場所から式場までは走って10分である。陽炎は転移魔法で直ぐに向かった。そして今である。
(う・・・ちょっとやばいかも。30分って言った理由が分かったよ。傷が開いてきやがった。てか、もう開いてるし・・・)
「大丈夫?顔色悪いよ」
「え?あ、あぁ、うん。大丈夫だよ。そんなことより、この世界の結婚式って俺が前にいた世界とあんま変わらないんだな」
「そんなことよりって・・・てか、かーくん結婚してたの!?」
「いや、人のやつに呼ばれただけだよ」
「はぁ、そうなんだ。良かった・・・あ!そうだ、先に説明しておくけど私達が呼ばれた後にかーくんが呼ばれるのよ。間違えないでね」
「あぁ、わかった」
「・・・」
陽炎がテムと話していると、ディリーとルーシャがこっちを見つめていた。
「な、何だ?」
「いやさ、ほら、陽炎くんって何だかこの服似合わないなって思って」
「え、それ今言う?あと5分くらいで入場だよ」
「アハハ!確かに!かーくん、エンブレイズ王国に行った時の服もダサかったしね!」
「しかも、めっちゃ似合ってなかった」
3人がとことん陽炎の服をいじる。俺の話を聞けや!・・・いや、ちょっと待てよ・・・
「あの服選んだのお前らだろ!お前らまさか、ダサくて似合わない格好でエンブレイズ王国に行き、フレアの街に入り、遺跡に潜らせたのか?」
「うん・・・だって、かーくんが他の女の子に取られるのが嫌だったんだもん」
テムが目を潤わせながら言ってきた。それはズルい。ズルいぞ!そんな顔されたら誰でも許しちゃうじゃないか!陽炎は微笑むと3人の頭をそれぞれ撫でた。
「んっ♡んっ♡」
「どうした?気持ちいいか?」
『うん♡』
「ねぇかげくん、今から私達の可愛ところ40個言ってよ」
「40個!?何故またそんな微妙な数を・・・う〜ん・・・」
「思いついた?」
「う〜ん・・・ダメだ!ありすぎて絞れないな」
「え?」
「なぁ、多すぎて言いきれないからさ・・・一言で言っていいか?」
3人は静かにコクンと頷いた。
「俺が、お前達を可愛いと思ったところはな・・・全部だよ」
陽炎は自信満々で優しい声でそう言った。
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