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第33戒 闇の本能

 陽炎達は街から少し離れた木から外に出た。


「何だったんだ・・・突然攻撃しやがって。お前ら無事か?」


「うん・・・何とかね」


「陽炎くんも大丈夫なの?」


「あぁ何ともな・・・」


「あぁぁぁ!皆見て!街から火が出ているよ!」


 街の方に目をやると街の中から火の手が上がっているのが見えた。陽炎達は周りを確認すると急いで街へと向かった。


 ━━街に着くと既に日は消し止められていた。しかし、何やら忙しい様子だ。人々が慌ただしく動いている中を陽炎はかき分けてギルドへと向かった。すると、ギルドの前で誰かが拘束されているのが見えた。


「一体何が起こっているんだ?それにあれは・・・っ!?」


 拘束されている人を見ると、ハル、ソルト、メロンの3人だと分かった。しかしなぜ拘束されているのか?その疑問だけ頭に浮かんだがそれも直ぐに無くなった。なぜなら3人の前には女の子が立っている。そのまわりには10人の人が忠誠を誓うように膝まづいている。女の子は陽炎の気づくとフードを脱いで何かを言ってきた。


「やぁ、待ってたよ。我が愛しの弟よ」


 そう言って手を広げた。


「・・・やっぱりか。前にあった時は全然気づかなかったよ。でも、父さんに会ってから分かった」


「そうなのね。でも、気づいてくれて嬉しいわ。さ、こっちに来て」


「・・・」


 陽炎は無言で微動打にしなかった。陽炎の後ろではテム達が陽炎のことを心配そうに見ている。


「聞こえないの?こっちに来てよ。さぁ、早く!」


「・・・嫌だね・・・」


「っ!?なんで!?こんなに優しくしてるのよ!」


「何でって、嘘ばっかついてそれは無いぜ。愛しのとか言ってるけど心の中では嫌いなんだろ?」


「そんなことは・・・」


「そんなことはあるさ。顔に書いてあるからな。それに、俺の事を仲間にしたいなら後ろの人達は下がらせた方が良いよ。どこからどう見ても、俺の事を力でねじ伏せる気満々だからな」


「っ!?せっかく優しくしてるあげてんのに・・・やっぱりダメな弟ね。もう、うんざりするわ。殺して」


 すると後ろの大剣を持った男が前に出た。前に1度陽炎に戦いを挑んで勝った奴だ。その男は前に出るとすぐに臨戦態勢になった。


「フッ、まぁ待て。お前一人ってのも不公平だ」


「何?4対1がいいなら自由にしていいわよ」


「そうか。それならお前ら全員でかかってこいよ。それくらいじゃないとお前らすぐ死ぬぞ」


 そう言って右目を蒼く光らせた。その呼び掛けに陽炎の姉は腹を立てた。


「何を言ってるの!?私達を1人で倒せるとでも!?ふふふっ!愚かすぎて笑いが止まらないわ!」


「笑ってられるのも今のうちさ・・・さぁ、紅き天災の祭りを始めようか・・・」


 その言葉を言い終わると同時に大剣の男が前に出た。


「我が名はαだ。覚えておけ」


「良いよ。どうせ全員俺の奴隷になるんだからな」


「ほざけ!」


 αは大剣を振り下ろした。それは凄まじい威力で陽炎の右肩にぶつかった。前回はこの一撃でやられた陽炎だった。しかし、驚いたことに今回は剣が肩にぶつかっただけで傷1つ着くことは無かった。


「っ!?どういうことだ!?」


 陽炎の後ろでは余波で家が破壊されている。それなのに、陽炎は微動打にしていない。


「フフフ・・・どうやら俺の方が強いみたいだ。早めに本気を出した方が良いんじゃないのか?」


「そうだな・・・なら、本気で行かせてもらおう。”地裂斬(グランドスラッシュ)”!」


 αの剣は再び陽炎に直撃した。前と同じく右肩に当たったはずが、陽炎はやはり微動打にしない。それどころか、服すらも傷が着いていない。しかし、陽炎の後ろは地面が割れている。


「・・・何故だ・・・!?」


 すると陽炎が、歩いて近くまで来て何かを言ってきた。


「本気を出せって言ったじゃん。このままじゃ死ぬよ」


「っ!?言ってくれるな。”限界連撃(オーバーラッシュ)”!」


 今度は連撃だ。体全身に攻撃が来た。周りの空気が渦巻く。嵐のような攻撃は陽炎の周りを破壊し尽くした。しかし、全て陽炎には効かなかった。


「どうした?傷1つついてないぞ」


「なぜ・・・だ・・・!?」


 αは腕に魔力を貯めだした。魔力が完全に溜まったのたまろうか、腕が一回りほど大きくなっている。αはそのまま腕を振り上げた。


「我が最大の一撃だ。”世界衝撃(ワールドインパクト)”!」


 その一撃は凄まじかった。陽炎に直撃したかと思えばそのまわりに巨大なクレーターを作り爆風を吹き散らかした。テム達3人はその爆風により20メートルほど吹き飛ばされた。しかし、砂煙の中から出てきた陽炎は傷どころか汚れひとつ着いていなかった。


「っ!?」


「ダメだね。戦う時はまず相手の能力を知らないと。それに、アイツらに危害を加えるのなら許しては置けないなぁ」


 そう言うと陽炎はαの顔の前に手を広げた。


「何を・・・」


「地獄の波動で吹き飛べよ。”暗黒波動(ダークネスヴァース)”」


 αは100メートルほど吹き飛ばされた。しかし、余波など何も無い。その場の全員がただαが飛んでいくのを呆然と眺めるだけだった。


「言ったろ。全員でかかって来ないと死ぬよって」


「ふざけないでよ!」


 突然そんな声が聞こえた。陽炎の姉だ。


「こんなの認めないわ。全員で殺しなさい!今すぐ!」


『了解!』


 ━━それから数分がたった。陽炎の姉の仲間はそれぞれ魔法を使い、剣で切り裂き、弱体化させようとした。しかし、との攻撃も陽炎に届くことはなく、たった一撃で全員動けなくなってしまった。


「これでわかっただろ。姉貴ごときじゃ俺は倒せない」


「う・・・まだよ!まだ私の・・・」


「無駄だよ」


「っ!?どういうことよ!?」


「もう詰んでるってこと。”こうそ・・・拘束(バインド)””領域(テリトリー)”」


 陽炎の姉は瞬く間に拘束された。そして、くらい領域へと誘った。


「ギルシア様!」


 陽炎の姉の側近らしき人の1人がそう叫んだ。ギルシア?・・・あぁそういう事か・・・


久遠琉義亜(くおんるぎあ)・・・そう言えばそんな名前だったな。それをもじってギルシアか・・・考えたものだな」


「良く覚えてくれてたわね。でも、もうその名前は捨てたの」


「あっそ。なんでもいいけどギルシア・・・お前には俺の奴隷となってもらう」


「っ!?突然ね・・・陽炎、貴方なら分かるでしょ?私達だって大変だったのよ」


「だから何とかしてやろうと思ってんだよ。話を逸らして逃げようとするな。それに、大変なら早く奴隷になってくれよ」


「クッ・・・嫌だ・・・嫌だぁ!奴隷なんて嫌だぁ!」


 ギルシアは暴れだした。しかし、鎖に含まれている闇の力がどんどん蝕んでいきギルシアは力が抜けていった。完全に力が抜け切ると膝から崩れ落ちそうになったが、鎖で釣られる形で止まった。


「さて、始めるか。この世界では首輪をつけるだけで良いらしいな」


 そして、ギルシアの首に首輪をつけた。するとギルシアが黒い光を放ち出した。


「キャッ!」


 しばらくすると光は収まった。そして、暗い領域も解けた。


「かーくん!」


 テム達がよってきた。どうやら領域に入る前に吹き飛ばされていたようだ。服が汚れている。それに装着していたものが荒れている。そして、陽炎はふと思った。


「なぁテム、ダンジョンでテイムしたクマはどうした?」


「え?・・・あ、忘れてた・・・」


『・・・』


 その場が沈黙に包まれた。誰かこの沈黙を打開できないだろうか・・・するとディリーが平然と言ってのけた。


「それならずっといるわよ」


『え!?』


「どこにいるのよ!?」


「ほらそこに。小さくなってくっついてるよ」


 よく見ると確かにテムの胸にくっついている。


「大事にしろよ。意外と可愛いんだからな」


「あ、なんか意外。かげくんがそんなこと言うなんて」


「何だっていいだろ。とりあえずアイツらを奴隷にしないとな」


 陽炎がギルシアの側近の方に目を向けた。しかし、ルーシャが横から言ってきた。


「いや、あの人たちはかげくんのお姉さんに忠誠を誓っているから自動的にもう奴隷になってるよ」


「そうなのか?それならいいが」


 陽炎は自分のステータスプレートを確認した。すると、確かに奴隷認定されている。陽炎は周りを確認するとギルドの方に足を向けた。その時、陽炎は突然殺気を感じ後ろを振り向いた。そこには意外な人が立っていた。

読んでいただきありがとうございます。

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