第31戒 終結!裁きの光!
2人の戦いは激化した。目にも止まらぬ早さで攻撃を続ける2人の周りには濃い気のようなものが立ち込めている。
「テムとルーシャは魔法を連続で打ってくれ。広範囲の魔法だ。ディリーは足場を生やし続けてくれ」
「分かったわ!”植乱無双”」
「いくよ!”トルネード”」
「それっ!”ファイアーフォース”」
辺りに炎の竜巻が現れた。どうやら2人の魔法が混合したみたいだ。それを見た陰朧は多少動きが鈍ったが、すぐに立て直した。陽炎はディリーの生やした木に着地すると強く踏み込んで、木を破壊しながら飛んだ。
「”炎流・炎遠”」
「小癪な!”断熱閃”」
陽炎のはなった炎は陰朧に直撃した。しかし、陰朧は火傷1つ負ってない。
(熱を切ったか。熱がなければ炎も意味をなさないな・・・)
「それなら、これはどうだ?”ブリザードフレイム”」
陽炎のはなった炎はビキビキ音を立てながら周りを凍りつかせていった。それは、早いスピードで陰朧の元まで届き陰朧の辺りを凍りつかせた。しかし、陰朧には届かない。
「こんなものが聞くとでも?わしの魔の力を舐めるな」
「そうかよ。だったら、聞くまで攻撃すればいいだけの事だ。”キューブ解放”」
その言葉と同時に陽炎の目の前には1つのキューブが現れた。それは、一瞬で26の小さいキューブに別れた。
「焔の雨だ。存分に味わえ。”ビックバン”」
ドカン!という音があちこちから鳴り響いた。26のキューブはあらゆるところでとてつもない大爆発を起こしている。
「もうめちゃくちゃだよぉ・・・陽炎くん!どこにいるの!?」
しかし、返事は来ない。ディリーはさらに不安になった・・・が、そんな不安はすぐに吹き飛んだ。崩れかけた足場の上に立っていたのだ。
「まさか、これでも倒せないなんてな・・・」
「わしに効かないと言っているだろ」
「確かにな。だが、それは熱に対してであって熱変動ではないだろ」
「何が言いたい」
「フフフ・・・時は満ちた!我が一撃を思い知れ!”集束”」
陽炎の手元に周りに漂っていた熱が集まりだした。
「炎は効かないと言っているだろ」
「これが炎に見えるんならお前はもう負けてるよ。・・・極低温の炎は全てを凍りつかせるんだよ・・・”プラズマブリザードブラスト”」
プラズマ化するほどまでに高温になるまで集められた熱は極低温の炎と変えられ光線となり飛んで行った。
「だから効かないと・・・なに?」
プラズマの光線は陰朧の魔素にぶつかると辺りの空気ごと凍りつかせていった。ビキビキと音を立て凍りつく魔素の壁は氷が崩れ出すと一緒に崩れていった。それにより陰朧は魔素の壁を作るための魔力を練だし隙が見えた。陽炎はその隙を見逃さなかった。
「”風流・瞬旋風”」
陽炎が消えたかと思えば一瞬のうちに間合いに入り剣で切り込めるよう構えた。陽炎の剣が首を落とす直前まで来て陰朧は体を剃り交わされた。
「あはは!残念だったな!”暗黒火炎”」
「1回だけとは言ってないだろ。この技は連撃だ」
すると陽炎の体が消えた。出てきたかと思えばまた消える。これを繰り返していつの間にか間合いに入り込んでいた。しかし、傷をつけたが浅い。そこで突然テムの声がした。
「そろそろ限界だよ!魔力が尽きてきているよ〜!」
「そうか、確かにディリーとルーシャもキツそうだ。だが、時は満ちた」
「え?」
「全員下がれ!」
『わ、分かった!』
3人は急いで後ろに下がった。・・・準備は出来た・・・
「忘れてないよな?子供の頃俺が考えた技のこと」
「覚えてないな。そんなもの1つでどうなるってんだ」
「見てのお楽しみさ。さぁ、始めようか!世界を照らす天の裁きだ!」
そう言って手を上に向け上げた。すると1つのキューブが現れた。それもとてつもなくでかいヤツを。それは回転を始めるとあっという間に無数の小さなキューブに別れた。
「このキューブは通常の大きさのキューブが4万個集められできたものだ。そしてそれは小さなキューブへとなり数は増える。ざっと100万個だ」
『ひゃ、100万!』
その場の陽炎以外の全員が声を上げた。しかし、陽炎はそれを無視して話を続けた。
「光魔法を圧縮してある。これが天の裁きだよ。”聖激閃光連弾”」
その言葉と同時に光は降ってきた。光は辺りを隙間なく埋め尽くし、地面に着いた途端瞬く間に爆発した。━━それから少し経つと光と爆発は収まった。煙が立ちこめる中その中には驚きの光景が写っていた。
「・・・ははは・・・まさか生きているとはな!」
陰朧は爆発に耐え切り、立っていた。それでも、たっているのがやっとの状態だ。
「ま、どの道その体じゃもう持たないだろ。楽にしてやるよ」
「・・・陽炎・・・最後にお前に伝えておかなくてはならない。確かにこの世界にお前を呼んだのはワシ達だ。だが、それには理由がある」
「どうせ古代武器の回収だろ」
「それもあるが・・・そうでは無い・・・。お前を呼んだ理由は〈聖十字連合軍〉を止めるためだ」
陽炎は思いがけない言葉を聞いて目を見張った。
「っ!?セントクロスがこっちにいるのか!?」
「そうだ。今この世界ではセントクロスが最大の勢力となっている。新しくできた国があるがそこは9割がセントクロスの一員だ。ワシが古代武器を集めていたのもその理由だ。それに、他の奴らも・・・」
その話を聞いて陽炎は黙った。そして、陰朧の目を見た。どうやら嘘はついてないみたいだ。その時、陽炎の頭にある仮説が浮かんだ。
「なぁじいちゃんはさ、何歳なの?普通に考えてみれば、若すぎない?肌とか。それに、神器がそんなすごい速さで世界中に散らばるわけないし、じいちゃんの魔法も魔素って言ったよね。それを使えばあるいは・・・」
「ふっ、予想通りさ。今は20歳の体にしているが、この世界に来てからはもう1000年はたっている」
「やっぱり・・・じゃあセントクロスが来たのも・・・」
「1000年前だ」
「それならなぜ今頃になって国など作る?もっと前から作れば良いだろ」
「いや、前から作り続けてまた新しく作ったんだ。今この世界は〈聖十字連合軍〉〈暗黒侵略軍〉〈混沌古代文明〉この3つが主体となって収めている」
「まさかあいつらまでもか!?俺にそいつらを止めろと?」
そう聞くと陰朧は静かにうなづいた。後ろを見ると3人とも話の内容を理解していないようだ。今この2人にしかこの話は分からない。だから、決めるのは陽炎自身だ。・・・そんなの決まってるじゃねぇか・・・
「どうせ無視しても向こうから関わってくるんだどうにかしてやるよ。それに、俺のやりたい事の妨げになるしな」
そう言うと陰朧は今までに見せたこともないような笑顔になった。・・・こんな顔もできるんだな・・・
「もう良いだろ。そろそろお別れだ」
「任せたぞ」
陰朧はそう言って陽炎に真っ直ぐ向き直った。陽炎も剣をかまえ向き直った。
「じゃあな。育ててくれたこととかは感謝しているよ」
ブスッというような擬音語がつきそうなくらい深深と剣は刺さった。陽炎の剣は心臓を完璧に貫いた。陽炎はその剣を抜くと血を振り落として鞘に収めた。すると、3人が寄ってきて何かを言ってきた。
「大丈夫!?何か話してたみたいだけど何を話してたの?」
素直に聞かれた。陽炎は少し悩んだあと意を決して話し始めた。
「昔俺のいた国に3つの組織があったんだ。セントクロス、ダークインベージョン、カオスアトランティスって言うやつがな。そいつらは革命を起こそうとした。国民をジェノサイドしたんだ。しかしそいつらの革命は失敗に終わった」
「急にどうしたの?その人達が何か関係でも?」
「そいつらが来てるんだ。しかも1000年前に」
『え!?』
3人は声を合わせて驚いた。そしてヒソヒソ何かを言い合いだした。それから話がまとまったのかモジモジしながらこっちを見ている。
「あの・・・もしかして、そっちに行こうと・・・?」
「違うわ。俺はそいつらとは敵だ。向かってくるようなら戦わなければならない」
するとほっとしたのか安堵の息を漏らした。陽炎はそれを見てそっと微笑むと3人に言った。
「なんでもいさ。俺は今俺のやるべきことをやる。それだけだ」
「ちょっと待って!なんでそんなに知ってるの?」
その場の全員がハッとした。それもそのはず、ついさっきまでそんな素振りも見せなかったのに突然言い出したのだ。陽炎は少し悩むと静かに語り出した。
「さっきじいちゃんに言われてな。それに、俺は前にいた国からずっと因縁がある」
「・・・そうなんだ・・・」
「そのあとの話は帰りながら話そうぜ」
「帰る・・・?」
「多分どっかに仕掛けがある。それを探そう」
そう言って陽炎は辺りを探り出した。
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