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第30戒 思い出した厨二病の心

「遂にここまで来たな」


「そうね。私達皆の力があったからだね」


「最初の方はテムちゃんがトラブル起こしてたけどね♡」


「可愛い顔でそんな事言わないでよ!」


「フフフ、この感じ良いね。テムちゃんもディリーちゃんも仲良しで♡」


「おい、俺もその中に入れろよ」


 陽炎が皆の話を聞いて、突っ込んできた。3人はそれぞれ顔を見合わせると笑顔になって笑った。


『ふふふ』


 陽炎はその様子を見て微笑んで呟いた。誰にも聞こえないように。


「最近俺、微笑んでばっかりだな」


「え?なんて?」


「何でもないよ。お前ら気を引き締めろよ。これでこのダンジョンともお別れだ!」


 そう言って扉を開いた。そこには、椅子があった。周りは豪華な装飾がしてある。真ん中の椅子には誰か座ってあった。


「やっと来たな・・・陽炎」


「待たせたな。じいちゃん・・・いや、陰朧!」


 陽炎は祖父・・・いや、陰朧を睨みつけそう言った。陰朧も負けじと不敵な笑みを浮かべている。それでも陽炎は続けて言った。


「陰朧、あんたの顔を見てやっと分かったよ!なぜ、俺をこの世界に呼んだのか・・・あんた、自分の失敗を俺に無くさせようとしてんだろ」


「っ!?かーくん、どういうこと?」


「この世界にある古代武器(アーティファクト)、あれは全て俺が作ったやつだ。それをコイツがこの世界に持ってきた。それで、力が暴走してどうにも出来なくなったから家族を1人ずつ呼んだんだよ」


「っ!?嘘・・・でしょ?」


「いや、本当だよ。なぁじいちゃん」


 陽炎は陰朧に言った。陰朧は態度を変えることなくその問いに答えた。


「あぁ、そうだよ。よくそこまで分かったな」


「フフフ・・・なんとなくだよ。そんな気がしただけさ」


 陽炎の言ったことにテム達3人は呆れた。しかし、陰朧はずっと不敵な笑みをうかべたままこちらを見ている。


「じいちゃん、俺はじいちゃんの失敗をどうにかしようとは思わない。自分のことは自分でしてくれ・・・そう言いたいがそういう訳にもいかない。俺も自分の剣が悪の象徴にされるのは嫌だからな」


「それじゃあわしの言ったことを手伝うと?」


「いいや手伝わない。俺は俺のやり方で集める。アンタら家族とは一緒に仲良しごっこをするつもりは毛頭ない」


「そうか、それならわしの息子は?」


「殺したよ。まぁ、姉貴と母さんは楯突かなかったら殺さないけど、ばあちゃんとじいちゃんは殺すかな」


 陽炎は平然と言ってのけた。しかし、陰朧はその言葉を聞いても態度は変えない。それでも、少しだけ表情が動いた。その隙を陽炎は見逃さなかった。


「なぜって顔してるな。当たり前だろ、お前達が1番俺を突き放しただろ。何だったっけ?確か・・・お前は陽炎の名を受け継ぐに値しない。今すぐ消えろ・・・だっけか?馬鹿じゃねぇのか!そんなに陽炎の名を受け継いで欲しくないなら名前の一つや二つ変えてやるよ!」


 その言葉でさすがの陰朧も表情をひきつらせた。そして、とてつもない殺気を放ちながら叫んだ。


「それはさせん!お前の代で陽炎の名を途絶えさせることはさせん!」


「そこまで言われたら尚更変えたいよ!」


「このガキィ!言わせておけば・・・この恩知らずが!」


 そう言って陰朧は攻撃してきた。陽炎も素早く対応し、全て受け流した。


「このぉ!”マスターソード”」


「”水流(すいりゅう)波打(なみう)ち”」


 陰朧の放つ攻撃は全て受け流していく。それでも陰朧は攻撃を続けた。


「”デビルフォース”・・・貴様は陽炎の恥さらしだ!わしは貴様を呼ぶのは反対だったんだよ!」


「なら、呼ぶなよな!”アルテマソードウエポン”」


 2人の戦いはどんどん激化していった。テムやディリー、ルーシャ達3人はついて行くことが出来ず立ち尽くしていた。その時、陽炎がテム達に何か言っているのに気づいた。


「テムは援護だ!ディリーは木を生やして足場を作ってくれ!ルーシャは支援魔法(しえんまほう)だ!あと、そこの剣を投げてくれ!」


『分かったわ』


「かげくん!受け取ってぇぇぇ!」


 陽炎は投げられた2つの剣を受け取り今の刀を捨て、背中にヴェルトラウム、腰にアロンダイトを取り付けた。


「うん。やっぱりしっくりくるねぇ、自分の剣は」


「小癪な!そんな剣1つで何かが変わる訳でもない!」


「はぁ・・・昔から思ってたけど、じいちゃんって切れたら性格変わるよね」


「今はそんなことを言っているのでは無い!”滅黒刃(めっこくじん)”」


「じゃあ、教えてやるよ!変わるんだよ、この剣1つでな!”アルテマソードウエポン”」


 陽炎の放った斬撃は陰朧の斬撃を容易に切り裂いた。そして、陰朧の腕に少し傷をつけた。


「せめて、姉貴ぐらいは一緒にいるべきだったな。1体1じゃないんだ。もうじいちゃんに勝ち目はないよ」


 勝負は決した、その場の誰もがそう思っただろう。しかし、陰朧・・・ただその1人を除いては。


「ふふふ・・・あははははは!もう勝った気でいるのか?気が早いな、陽炎は!」


「何が言いたい?」


「切り札があるのはお前だけじゃないということだ”本能解放(ワイルドブースト)邪神化(ダークソウルチェンジ)”」


「な!?これはマズイぞ・・・」


「かーくん逃げて!”ブリザードランス””ウインドバスター””バーストブレイズ”」


 陽炎はその場を離れた。3人も1箇所に集まってきた。


「何かおかしいよ・・・ねぇ、おじい様どんどん強そうになっているよ」


「本当だよ・・・陽炎くんこれって大丈夫なの?」


「いや、マズイな。じいちゃんのステータスが異常に上がっている」


 3人は何も言えなかった。強くなる反面体の血管が浮き出てきて苦しんでいる陰朧を見ていると何故か悲しい気持ちになった。しかし、そんな気持ちはすぐに吹っ飛んだ。3人が陽炎の方を見るとあることに気がついた。


「かーくん・・・その手、どうしたの?」


「手?あぁ、これね。さっきの連撃の時にやられたみたいだ」


『・・・は?』


 3人の声がハモった。3人を見ると皆目を見開いてキレている。


「あ〜、その〜、なんだ?気にするな。これくらい大丈夫だ」


 陽炎は宥めるように声をかけた。しかし・・・


『ダメだよ!』


「こんな傷1つでも死んじゃうんだよ!」


「いや、死ぬか。これで死んだらとっくに死んどるわ。てかなんでそんなに怒ってんだよ。いつもはこんなに怒んないだろ」


「いつもの時とは違うの!だって、自分の孫を傷つけるんだよ!許さないよ!」


 皆凄いやる気になっている。そんな時、陰朧の準備が終わった。陽炎はそれを見ると3人に向き直って話した。


「お前らやる気になってくれるのは嬉しいが、無茶はしないでくれ。お前らが俺が傷ついて辛いのと同じでこっちもお前らが傷つくと辛い」


「かげくん・・・好き♡」


 ルーシャから即答で返答が帰ってきた。陽炎が優しく微笑むと、とてつもない殺気を再び感じた。


「凄い殺気だね。最初の時より強いかも」


「フッ、これくらい何ともないさ。教えてやるよ、俺が最恐だってことを」


「・・・なんだか、最近のかーくんって厨二病って言う割にはそこまでだよね」


 テムが突然そんなことを言い出した。


「今それを言うかな!?ムードが台無しだよ。それにお前らだからな、恥ずかしいって言ったの」


「そうだっけ?」


「そうだよ。お前らがそこまで言うならこっちも本気になってやるよ」


「え?」


「真の混沌(カオス)の力を見せてやるよ・・・」


「ええ!?ちょっと、これは恥ずかし・・・」


 その言葉を言い終わる前に陰朧が攻撃を仕掛けてきた。


「かぁぁげぇぇろぉぉぅ・・・死ねぇぇぇ!”ダークソウル・オブ・ブレイズソード”」


「孫に死ねとか言うな。”灼華(しゃっか)炎流(えんりゅう)紅蓮血斬(ぐれんちぎり)”」


 2人の剣は炎を撒き散らしながら甲高い音を上げ弾かれた。この一撃が激しい戦いの始まりの合図となった。

読んでいただきありがとうございます。

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