第25戒 炎と氷の融合
扉の向こうには驚きの光景が待っていた。目の前には椅子のようなものに座ってる男がいた。
「っ!?」
男は仮面を被っている。男は顔を上げるとその場に立ち上がった。
「俺の質問にだけ応えろ。お前は何者だ?」
「・・・」
男は答えない。
「応えろ。さもないと容赦はしない」
「・・・」
やはり男は答えない。すると、男は背中の剣に手をかけた。
陽炎も腰の刀に手をかけ抜刀の準備をした。
「お前ら気をつけろ」
そう言うと、3人も構えた。男はこちらを一瞥すると一瞬で間合いを詰めてきた。
「いきなりだな」
男は刀を抜くといきなり攻撃してきた。
「危ないな。”影流抜刀術・影月”」
甲高い金属音とともに火花がちった。陽炎の刀は三日月を描きながら相手の剣を弾き返した。
「・・・」
男は1度自分の剣を見つめると背中に戻して振り返った。
「ちょっとどこ行くのよ、っ!?」
テムが止めようとしたが陽炎がそれを止めた。
「むっむ!むんむんんん!」
「・・・」
陽炎はバックの中の仮面を1度見て相手の背中を見た。すると、男が振り返って何かを言ってきた。
「お前も俺と同じ・・・最下層で待ってる。すぐに来るんだな」
男はそのまま消えてしまった。
「なんだったの?」
「・・・分からん。無視しよう」
陽炎は無視して階段の近くまで行った。
「え、え?ちょっと!待ってよ!」
すると陽炎が何かを拾った。
「何それ?」
「マント・・・だな」
「なんでこんなのがあるの?」
「知らねぇけど・・・貰っとくか」
テムたちがこっちを睨んできたけど、熱い説得で了承を得た。
━━42階層・・・
「また雰囲気が変わったよ・・・」
「でも、もうなんか気にしてないよね」
「いや、気にせざるをえないだろ。炎と氷の間だぞ」
そこは炎と氷が吹き荒れる場所だった。確かにディリーにとっては最悪かもしれない。でも、陽炎にとっては最高だった。
「なんで喜んでんの?」
「いや、よく見ろよあれを」
そう言って指を指したのは炎と氷の間だった。そこを見ると不思議な色の氷と炎があった。
「あれが炎と氷を混ぜた結果だ。まさかこんな所で分かるとはな。よし、行くぞ」
そう言って陽炎は足を進めた。3人も続いて歩き始めた。すると意外なことが起こった。なんと、ディリーに炎と氷の耐性が着いたのだ。
「え?ねぇ、陽炎くん・・・なんか熱くないんだけど・・・冷たくもない!」
「マジか・・・本当に耐性が着いたのか。よし、これならもう気にしなくていいな!」
「少しは気にしてよ!」
そんなやり取りに思わず吹き出してしまった。それにつられて3人も笑いだした。そして、さらに足を進めた。
━━45階層・・・
遂に完成した。42階層でヒントを貰ってから陽炎はさらに思考して今、完成されることが出来た。何ができたかと言うと・・・
「名ずけて、氷炎魔法だ」
『凄い!』
「やっとできたんだ!」
「これでこの国に来てやることの2つはクリアしたね!」
「あと2つ頑張らなくちゃね!」
「そういやあったな、そんなのが」
「もぅ、かーくんが忘れちゃダメじゃん!」
「悪い悪い。ま、これで戦闘が楽になるのは間違いないな」
「そうだね!」
4人はニコニコで進んだ。よく見ると周りの魔物が凍っていた。
━━49階層・・・
「”フリーズファイア”」
陽炎の魔法で魔物は凍った。陽炎はこの魔法を使い続けてかなりの速さでこの階層まで降りてきた。
「あはははは!楽い!楽いぞ!こんな簡単にここまでこれるなんて!」
「なんだか楽しそうだね、かげくん」
陽炎は大笑いしながら魔法を連発していた。そのまま何事もなく下の階層に行く階段を発見した。下に降りると今度は扉がカチコチに凍っていた。
「凍ってるのか?なら燃やすだけだ」
「私に任せて!」
陽炎が魔法を使おうとしたところテムが自分がと言ってきた。陽炎はお言葉に甘えることにした。
「よろしく、テム」
「うん!”ファイヤーボール”」
しかし氷は溶けない。
「あれ?」
テムは少し慌てた。任せられたのに壊せなかったから。しかし、陽炎はもっと慌てた。
「ごめんかーく・・・」
「ちょっと待て。もしかしてこの扉・・・熱っ!」
「だ、大丈夫!?」
「やっぱりだ。この扉、バカ熱い」
「え?」
不思議に思ってディリーが草を投げた。すると扉に当たった途端瞬時に燃えつきた。
「どうするの?こんな熱くちゃ開けられないよ」
「まぁまて。こんだけ熱いんだ。ガチガチに冷えた水を当てればいい」
「なんで?」
「まぁ見てろよ。”ウォーター””アイス”」
すると扉にヒビが入った。そのヒビはすぐに大きくなり扉は2つに割れた。
「な、言ったろ」
『・・・凄い!』
4人はかなり喜んだ。しかし、そんなことで喜んでいる暇はなかった。陽炎達はこれまでのように簡単にボスが倒せると思ってた。しかし違った。扉の向こうには魔物ではなく人がいる。それも陽炎の知っている人・・・
「え?父さん・・・」
3人は陽炎の顔を見た。なぜなら陽炎から驚きの一言が発せられたからだ。相手の顔が見えてきた。すると、確かに顔が似ている。
「やっと来たか・・・」
目の前の男はそう言った。そして続けて何かを言った。
「遅かったよ。我が息子よ」
それは、3人を驚かせた。目の前の男は陽炎のことを息子と言ったのだ。だとすれば当然目の前の男は陽炎の父である。しかも、よく見ると陽炎に似ている。その時陽炎が言った。
「なぜ・・・なぜ、ここにいる?」
「それは、お前と同じ理由だ」
「っ!?まさか・・・じゃあ父さんだけじゃなくて母さんも・・・」
「そうだ。俺の親父も来ている」
「まさかじいちゃんもか!家族揃ってこんなところに来るとはな。今どこにいる?」
「今は最下層で待ってるよ。皆な」
「じゃあ父さん、俺は行かせてもらう。どいてくれないかな」
「それは拒否させてもらう。たとえ我が息子だとしても、弱者を通す訳にはいかん」
「まぁ、俺は弱くないんだけど・・・いいだろう押し通させてもらう。”ファイヤーボール”」
「小賢しい。効くと思っているのか?」
陽炎の父は炎を剣で切り裂いた。陽炎が突然攻撃を繰り出したせいか、テム達は一体何が起こっているのかよく理解できない。
「かーくん!?1体どうしたの!?」
テムは驚いて声を裏返しながら聞いた。
「ちょっとまて、後でな」
陽炎はそんなことを言って魔法を乱打する。
「いや、もうわけわかんないよ!」
テム達は陽炎が魔法を乱打するせいで熱風を浴びていた。
「ちょっと落ち着いてよ!」
「どうしたの!話を聞いてよ!」
「あ、ごめん」
陽炎はテム達が熱風で泣いているのを見て魔法を打つのをやめた。
「ちょっと、どうしたの!?」
「どうしたって言われてもなぁ・・・」
「もう、話してよ・・・隠し事はなしだよ・・・」
「う〜ん・・・どうしようかなぁ〜・・・話してもいいんだけどな〜」
「もぅ、陽炎くんのバカァ♡」
ディリーは頬を赤らめてあざとい目や顔 表情を作る。
「ズルいなぁ・・・仕方ない。話してやろう。・・・あいつは俺の父さんでな、まぁ、なんか、あれだな。あんまり一緒に過ごしたって言う記憶は無いな」
「家族なのに?」
「家族なのにだ」
「・・・」
テム達は呆れて何も言えなくなった。陽炎はその様子を見て微笑んだ。それに対して、3人も微笑み返す。すると、陽炎の父が突然話しかけてきた。
「話は終わったか?それならやるぞ。”空絶”」
「”空裂”」
陽炎の父はいきなり攻撃を仕掛けてきた。陽炎は飛んできた風の刃を切り裂く。しかし、余波で爆風が飛んできた。
「キャッ!」
陽炎は父を見つめた。父も陽炎を見つめている。
「なぜあの時俺を家から追い出した?そのせいで俺の人生はめちゃくちゃだ」
「お前が弱いからだ・・・お前は陽炎の名を受け継ぐに値しなかったと思ったからだ」
「あっそ」
「なっ!?」
陽炎の素っ気のない返事に素っ頓狂な声を上げてしまった。しかし、すぐに冷静になると剣に手をかける。
「やる気か?気が早いな。あと、別に俺の人生がめちゃくちゃになったのはお前のせいじゃない。別の人のせいだ」
「そうか・・・・・・・・・なら殺す!」
陽炎の父はそう言い放った。
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