第24戒 新しい力
それからしばらく言い合いは続いた。どれくらい経っただろうか・・・ついに陽炎の堪忍袋のおが切れた。
「あぁもうどうでもいいんだよ!全員ここに立て!」
「な、何よ急に!」
「うるさい!”おしおき・・・”」
「ごめんなさぁぁぁぁぁい!」
ディリーは流れるように土下座を決め込んだ。
「あれぇ、俺のおしおきは好きじゃなかったのかなぁ」
「いや、それは・・・怒ってる時じゃなくて楽しんでいる時の方が・・・」
「んんんー、わがままなこだねぇ。これはおしおきが必要かなぁ?」
「い、いえ!いりません!許してください!」
「うんうんいい返事だ。じゃあ次はテムだな・・・」
そう言ってテムの方に目をやると既に裸で土下座をしていた。上着から下着まで全て放り出されている。
「良くできるじゃないか。そうそう、初めからそうしておけばよかったんだよ」
「は、はい・・・これからはすぐにこうします・・・」
テムはブルブル震えながらそう答えた。陽炎は2人の頭を撫でるとサッと立ってルーシャの近くまで寄った。ルーシャは今の様子を見ていて、怯えているかと思えば頬を赤らめてボーっとしている。
・・・あれ、もしかして・・・
「わ、私・・・言ってなかったんだけど、ドMなの・・・」
「・・・うそ?」
するとルーシャは首を横に振ってつぶらな瞳で見てきた。
・・・あぁ、これマジなやつだは。まさかの3人目のドM属性、この世界ドMしかいねぇのか!
そんな思いを胸に隠し、バレまいと陽炎は作り笑いで誤魔化した。それから陽炎達はさらに足を進めた。
━━29階層・・・
何事もなく陽炎達は来ることが出来た。これまでの事が嘘だったかのように順調だった。強いて言うなら、何故かテムは服を着てなかったし、何故かディリーは口にボールのようなものを加えていたのがとても不思議だった。
「それにしても、この階層は肉が多いな。肉の博物館かよ」
「本当だね。でも、食べれそうだよ。かげくん、どうする?」
「そうだな・・・持っていくか」
『さんせーい』
それからしばらく肉を集めることにした。肉を集め終わるとすぐに焼いて食った。食ったがクソまずかった。しかし、食べれないことは無い。
「うぅわ、クソまず!」
「これ、ドラゴンの肉じゃない?うげぇ!」
全員吐き出してしまった。陽炎は何ともなく食った。
「・・・食べちゃったの!?」
「食べたらダメなのか?」
「ドラゴンの肉は食べたら死んじゃうよ!体の細胞が破壊されちゃうよ!」
「・・・それ・・・早く行ってくんない」
「何ともない?どこか痛いところは?」
「今のところは無いな。何かあったらその時はその時だ」
『・・・うん』
━━30階層・・・
「また同じだよ。この光景3度目だな」
「じゃあ、いつも通りで行く?」
「そうだな」
そう言って扉を勢いよく開いた。すると今度は軽すぎて勢いよく開きすぎた。扉は壁にぶつかると外れて倒れてしまった。
「・・・軽すぎだろ・・・」
その刹那、何かが顔目掛けて飛んできた。咄嗟にかわしてその場から離れた。
「フゥ〜ン、次はフクロウねぇ。良い相手だ」
フクロウは羽を広げると無数の羽を飛ばしてきた。
「当たったらヤバそうだ。”雷流・轟鳴閃舞”」
フクロウの羽は轟音ではじき飛ばした。そのままさらに技を繰り出した。
「”雷流・稲妻之一閃”」
体位を崩されたフクロウは陽炎による一瞬の攻撃で首を落とされ絶命した。
「終わったな。さ、次行くぞ」
「待って!そのフクロウなんか落としたよ!」
「何!?」
陽炎は慌てて戻った。するとそこには何かが落ちていた。フクロウの体を退けて体を陽炎がバックに詰めるふりをして魔法で収納した。さらに、フクロウがいた場所からはルービックキューブのようなものが現れた。
「っ!?何だ・・・これ?」
「これは・・・キューブかな・・・」
「キューブ?」
「そう、キューブです。別名、りっぽう・・・たいしき・・・ふういんじゅつ?といった名前だったと思います」
「立方体式封印術ねぇ・・・俺これ得意なんだよね」
陽炎はそれを拾うといとも簡単に全面揃えてしまった。すると突如キューブが光出した。
「え?」
キューブはそのまま弾け飛んだ。すると中から大量のキューブが現れた。そのキューブは宙に浮くと陽炎の中に入り込んできた。
「大丈夫!?」
「・・・う、うん・・・」
「なんで突然入っていったの?」
「分かんないよ。もしかしたらかげくんが全面揃えたからかな?」
「ちょっと待ってくれ!なんか俺、キューブ出せるんだけど・・・」
『・・・えぇぇぇぇぇ!』
━━・・・35階層
「マジなんなんだよ・・・」
「本当に不思議だよね」
「出てくることだけでもおかしいのに、めちゃくちゃ強いんだよね。かげくん自身はなんともないの?」
「・・・なんともないな」
「あ!魔物だ!」
陽炎はサッと手の平を相手に向けて伸ばした。少し力を込めるとキューブが出ていき魔物を封印した。
「やっぱこれチートだよな・・・」
あの時・・・30階層でキューブが体の中に入ってきた陽炎は何とか取り出そうと頑張った。しかし、全く出てくる気配は無かった。それで力を込めるとキューブが現れた。
「やっぱり出たな・・・」
何度も試したため出し方はよくわかった。
「”オープン”・・・魔法の欄に立方体式封印術が増えてる・・・」
・・・そしてそのまま何事もなく35階層まで来たのだ。それまで大量の魔物が現れたが全て封印してきた。35階層にもたくさん魔物がいたがやはり全て封印する。するとまた、何かを見つけた。
「これは・・・?」
「仮面・・・だね」
「この仮面・・・どっかで見たことあるんだよね」
「なに?テム見覚えがあるのか?」
しかし、テムは悩んだ後思い出せないと言った。陽炎は何かしらのシンパシーを感じたのか、手に取ってよく見て見た。すると、何やら禍々しいオーラを感じたのかルーシャ達が少し後ずさった。何かに怯えているようにこっちを見て震えている。
「・・・陽炎くん・・・なんでそんなに笑ってるの?」
「っ!?」
違った。ルーシャ達が怯えていたのは仮面では無い。先程ディリーが言った通り、陽炎だった。しかし、陽炎自身も笑っていることに気づかなかった。
「・・・俺、笑ってたか?」
そう聞くとディリーはうんと首を縦に振った。
「そうか・・・気づかなかったな。怖かったか?悪かったな」
「いや、大丈夫・・・だよ」
それを聞くと陽炎は仮面をバッグに入れてさらに足を進めた。
━━39階層・・・
辺りが暗闇で閉ざされた。音は聞こえるが何も見えない。
「お前らちゃんと手を握っておけ。離れたら終わりだ」
陽炎達は炎魔法で辺りを明るくしながら先に進んだ。途中所々で明るい場所があったが、奥に行くにつれどんどん暗くなっていった。
「暗いね。気をつけないと」
「あぁそうだな。だが、不思議なところだ。こんなにくらいのに魔物がいない」
「確かに!もしかしたら暗すぎて魔物も生きれないのかも」
「それはありうるな。まぁ、今は警戒を怠らないように進もう」
『うん!』
━━それからさらに奥に進んだ。周辺はもう、目がなれるとかそういう次元じゃないくらいの暗闇になっていた。しかし、希望が見えた。たまたま陽炎が階段で足をくじいたのである。そのまま階段を転がり落ちた。手を繋いでいたためか皆も揃って落ちていった。一番下まで落ちると何かにぶつかって止まった。
「痛っ!階段が見つかってよかったけど、下まで転げ落ちるとは・・・え?」
陽炎が起き上がるとすぐに上から3人が降ってきた。
『キャッ!』
「うげぇ!・・・重い・・・」
「ごめ〜ん!」
3人はサッとどくと陽炎に手を差しのべた。陽炎は手を掴むと引き上げられる勢いで簡単に経つことが出来た。
「ありがとな」
「うふふ、こんなことならいつでもできるよ!」
「そうか、それなら今度から頼もうかな。・・・それじゃあ行くか」
『うん!』
そう言って4人は扉の前に立って扉に手をかけた。
「今回もいつも通りだ。最短最速で敵を潰す!」
そう言って勢いよく扉を開いた。
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