宮廷育ち
「それより、もういっぺん見せてくれよ。お前どうやって魔法を使ったんだ」
猫とは好奇心が旺盛な生き物だ。
別に見せてやっても構わない。
鼻先で火花が弾ける。
やったぞ。火だ。
操れてはいない。
しかし今のは確かに火だった。
「何だ。そんな物か。まあ、使えるだけでも凄いけどな」
黒猫は明らかに興醒めしていた。
「こんな物で済まなかったな。だがこれでも上出来だ。俺は魔法を殆ど知らないしな」
「えっ。魔法を知らない」
黒猫は少し興味を取り戻した様だ。
「どの程度なら知ってるんだよ」
「そうだな。俺自身ががマナの一部とか。マナは地水火風だとかだ。それで今日初めて試したら火がでた訳だ」
黒猫から驚愕の感情が立ち昇ったのが分かる。
「お前、とんでもないぞ。魔法の常識から完璧に逸脱してるぜ」
黒猫は近づいて俺の顔を見つめた。
「お前、本当に犬だよな」
「犬に向かって聞くことか」
呆れた質問だ。
「悪かったな。ともかくよ。お前はとんでもない魔法の使い手になるぜ。おいらが魔法を教えてやるからよ」
この黒猫が俺に魔法を教えるだって。
「お前。魔法に詳しいのか」
「当たり前だろ。おいらは宮廷育ちだぜ」
宮廷の魔術師にでも飼われていたのだろうか。
「手始めに一つ教えてやるぜ。マナは地水火風の四元素だけじゃない。光と闇を加えた六属性が有るのさ」
宮廷育ちの黒猫は自慢げに魔法の知識を披露した。




